Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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52 巻, 3+4 号
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原著論文
  • 村崎 万代, 木田 秀次, 千葉 長
    2002 年 52 巻 3+4 号 p. 67-80
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     南北半球間の大気交換がおこなわれている熱帯においては、中高緯度に比べると経度方向の変化が少なく、大気中の物質輸送はハドレー循環に依存する部分が大きい。本研究では、大気大循環モデルを2次元軸対称に変え、全球海洋の条件下で数値実験をおこなうことにより、擾乱の影響のない純粋なハドレー型循環が微小空気塊をどのように輸送しているのかをラグランジュ的手法により調べた。
     赤道を横切る物質交換は空気塊が熱帯収束帯(ITCZ)上で起こりやすい。その際、大気の水平方向の時間変動成分が大変重要な因子となる。また、ITCZが赤道から変移したことによるハドレー循環の赤道非対称性は両半球のハドレー循環間の大気交換の大きさ、速さに影響を与える。
     両半球のハドレー循環間での大気交換時間は約0.1~0.2年と見積もられた。この大気交換時間は、従来の現実大気での南北半球間の大気交換時間研究による約1年という見積もりに比べきわめて短い。理想化された2次元軸対称モデルにおける大気交換時間を即座に現実大気に適用することは出来ないが、この差違の存在自体大変興味ある問題である。そして少なくとも本研究で得られた結果は、軸対称モデルのハドレー循環は半球間の物質輸送において極めて重要な役割を担っていることを示唆している。
  • 中村 雅基
    2002 年 52 巻 3+4 号 p. 81-94
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     自動的に、P波の初動極性を取得し、発震機構解を決定し、十分な精度で発震機構解が決定できているか否かを判別する手法を提案した。P波の初動極性を取得する際には、まず、ベッセルバンドパスフィルタを適用し、次に、ARモデルを用いてP波の初動到達時を得、ARフィルタを適用した。発震機構解の決定には、グリッドサーチによる手法を用いた。十分な精度で発震機構解が決定できているか否かを判別するために、解の安定性、過去に発生した地震の発震機構解等から総合的に判断し、発震機構解の決定精度の評価を行った。気象庁によって読みとられた初動極性の70%が、本手法を適用することによって得られた。また、両者でくい違った験測を行っているのは全体の3.5%以下であり、十分な精度で初動極性の自動験測が行われた。さらに、本手法を適用することにより、気象庁で発震機構解が得られた地震の2.8倍以上の地震について、決定精度の良い解を得ることができた。M<2の内陸浅発地震やMが決定されていないような小さな深い地震でも、十分な精度で発震機構解が決定できることもある。本手法を適用することにより、十分な精度で効率的に発震機構解を決定することができる。
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