篤志観測船「ありげーたりばてい」の北太平洋航路上(主に北緯30~40度)において、海水(pCO
2sea)および大気中の二酸化炭素分圧(pCO
2air)の観測を1999年1月から2000年10月までの期間に9回行った。pCO
2seaとpCO
2airの観測結果から、180度以西の海域では8月を除いた期間、海洋は大気から二酸化炭素を吸収しており、一方西経160度以東では、11月から5月の期間に吸収域となっていた。西部海域においては、4~6月に全炭酸が東部海域に比べてより大きく減少したと見積もられた。この全炭酸の減少は硝酸・亜硝酸イオンの減少とよく対応しており、両者の比率が C/N = 9.5であったことから、生物活動の影響によるものと考えられた。観測されたpCO
2seaと表面水温との関係を利用して、西部海域における2000年の月別二酸化炭素フラックスを評価した。当該海域は、夏には~0 GtC yr
-1、冬には~0.4 GtC yr
-1、年平均で0.2 GtC yr
-1の二酸化炭素を大気から吸収したと見積もられた。この年間吸収量は、1990年代に全海洋が年間吸収した二酸化炭素のおよそ10%に相当する。
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