Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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59 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 松枝 秀和, 町田 敏暢, 澤 庸介, 中川 由紀夫, 廣谷 和生, 池田 肇, 近藤 直人, 後藤 啓太
    2008 年59 巻 p. 1-17
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
       2005年12月以降、新しい空気採取装置(ASE)を利用して、オーストラリアと日本を結ぶJALの旅客機によって西部太平洋上の高度約10kmにおける大気中二酸化炭素(CO2)の測定結果を収集した。ASEで観測されたCO2は、同じフライトで観測した二酸化炭素連続測定装置(CME)の結果と非常に良く一致していた。また、ASEのデータは高時間分解能を持つCMEのデータに比べて観測密度が粗いが、両データとも、北緯30度から南緯30度までを5度間隔で分割した緯度帯平均のCO2濃度は、近い値を示した。JAL旅客機による新旧観測において一貫したデータセットを作成するために、気象研究所と国立環境研究所で使用しているCO2標準ガスのスケールを比較した。新観測で得られたCO2のデータには明瞭な季節変化と増加傾向が見られ、それらは、過去12年間の旧観測で得られたCO2変動の気候値の外挿から再現された変動とほぼ一致していた。特に、新観測において、長期的トレンドを除去した季節変動の緯度帯変化は、旧観測の気候値から得られるものと極めて良く類似していた。これらの結果から、JAL旅客機による新旧の観測データが一貫した連続性を保っていることが示された。
  • 吉村 裕正, 行本 誠史
    2008 年59 巻 p. 19-29
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
       地球システムモデルを作成する目的で使用可能な、汎用のシンプルなカップラーScup (Simple coupler)の開発を行った。Scupを用いて例えば大気・海洋大循環モデルや化学輸送モデルのような要素モデルを柔軟に結合することが可能である。Scupは気象研究所の地球システムモデルを効率的に開発するために必要な機能を備えており、その基本設計は他の地球システムモデルにも適用可能である。Scupライブラリを呼ぶことにより要素モデルの各々のプロセスはお互いに直接通信を行っており、このことは要素モデルのプロセス間で大容量のグリッドデータを効率的に交換するために必要である。Scupは3次元データのグリッド変換や局所的かつ全球的に正確に保存する2次元データのグリッド変換をサポートしており、これは異なる座標やグリッドを持つ要素モデルを結合するために必要な特徴である。単純さと使用しやすさはScupの長所である。ScupのすべてのソースコードはFortranで記述され、Fortran95コンパイラとMPIライブラリを有する多様なプラットフォームでコンパイル可能なので、Scupは可搬性に優れている。
  • 吉川 久幸, 深澤 雄亮, 谷本 浩志, 松枝 秀和, 澤 庸介, 和田 晃
    2008 年59 巻 p. 31-38
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/22
    ジャーナル フリー
       2006年12月から2007年3月まで北海道利尻島(45°07′N, 141°12′E)において大気中CO2とO3の濃度測定を実施した。観測されたCO2とO3濃度は数分から数ヶ月の時間スケールで変動しており、12月から2月中旬までの期間CO2濃度はO3濃度の変動と逆相関を示した。この逆相関はユーラシア大陸の高緯度地域及び利尻島での土壌呼吸によるCO2排出と地表でのO3分解消失によって引き起こされるものと考えられた。12月から2月中旬までの逆相関とは対照的に、2月中旬以降大気中CO2濃度とO3濃度は、時折正相関を示した。これら高濃度のCO2とO3は日本及び朝鮮半島の人為起源による排出・輸送の影響を受けていることが示唆された。
  • 山本 哲也, 高木 朗充, 福井 敬一, 大和田 毅
    2008 年59 巻 p. 39-64
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
       安達太良山沼ノ平火口では1996年頃から熱泥噴出など火山活動活発化の傾向が見られたが、地震活動には明瞭な変化がなかった。火山活動を捉えるために、沼ノ平火口付近で地磁気、GPS、重力、自然電位の観測を行った。地磁気観測では累積で最大110nTにおよぶ顕著な全磁力変化が観測された。観測された地磁気変化から、1997年から2000年頃までは火口底南東部の温度上昇による消磁が、2000年以降は火口底北東部の温度低下による帯磁が進行したことが推定された。GPSによる地殻変動観測からは、2000年頃まで火口付近の膨張と、その後の収縮が観測された。重力観測では観測点の標高変化の影響を評価できるように、重力観測点におけるGPS観測を並行して行った。2001年から2005年にかけて沼ノ平で重力の増加が観測され、その変化は観測点の標高変化で期待される変化よりも大きかった。火山活動に伴う地下水の変動を反映したものと推定される。自然電位連続観測では、銅・硫酸銅平衡電極によってキャリブレーションを行うことで長期的安定性を維持し、また観測点の地中温度を観測することで電極電位の温度補正をする手法を用いた。この手法によって、小規模な熱水活動によるとみられる変化を捉えた。実施したこれらの観測から、沼ノ平火口の火山活動は2000年頃まで比較的活発な状態であったが、その後低下したとみられる。観測された火山活動は熱水の動きに密接に結びついているとみられるため、深部から熱水の供給を受けたとき地下水の流れや温度分布がどのように変化するかを熱水シミュレーションで調べた。沼ノ平火口付近の地下の固有透過度をモデル化し、様々なケースについて計算を行った結果、地磁気観測から推定されるような温度変化を説明するには、南北2箇所の熱水供給源が必要であることが明らかになった。また、熱水シミュレーションの結果から、地磁気変化や重力変化を定量的に求めたところ、それらは観測と調和的だった。安達太良山のように地震観測で火山活動が捉えにくい火山では、地磁気、重力、自然電位、火口付近のGPS観測などの総合的な観測を熱水シミュレーションと組み合わせて用いることが、火山活動を包括的に把握する有力な手法である。
  • 山崎 明, 青木 重樹, 吉田 康宏, 小林 昭夫, 勝間田 明男, 阿部 正雄, 森脇 健, 大河原 斉揚, 長田 芳一, 松岡 英俊, ...
    2008 年59 巻 p. 65-82
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
       2004年9月5日に紀伊半島南東沖で発生した地震(Mj7.4)は南海トラフ軸付近で発生した津波を伴う大地震である。この地震の発震機構は南北方向に圧縮軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレート内あるいは上部マントルで発生したものと解釈されている。我々はこの地震の詳細な余震分布とその時空間推移を調査するため、自己浮上式海底地震計(OBS)による余震観測を実施した。余震観測は2004年9月から2005年8月までの期間、断続的に3回にわたって実施された。震源決定に用いた1次元P波の速度構造はOBSの観測海域で実施された速度構造探査結果を参照して求めた。また震源の決定精度を向上させるため、PS変換波を用いた堆積層補正をおこなった。その結果、気象庁一元化震源に比べ詳細かつ高精度な余震分布を得ることができた。OBS観測から求めた余震の震源は気象庁一元化震源と比較すると、深さは20kmほど浅く5~30kmに分布し、震央については全体的に南東方向に10kmほどシフトした。気象庁一元化震源では余震活動は主にトラフ軸より陸側に分布するように見えていたが、主たる余震活動はトラフ軸沿いで発生していることがわかった。また、余震活動は深さ5~10 kmの比較的浅い地震群と、深さ15~30kmの比較的深い地震群の2群に分かれていることが見出された。前者は余震域の中央部から北部にかけてのフィリピン海プレート内およびその上部の付加体内で発生しており、後者は前震および本震の破壊域と思われる海溝軸下の上部マントルで発生していることがわかった。さらに、浅い地震群の中にいくつかの地震クラスターが見出された。これらの地震クラスターは付加体からフィリピン海プレート内までほぼ鉛直に下降しているとみられる。これら余震域の中で発見された地震クラスターは、超低周波地震の発生源となっている付加体の分岐断層との関係において興味が持たれる。
  • 高山 寛美
    2008 年59 巻 p. 83-95
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
       地震発生直後に地震データを用いて推定された震源の位置と規模に基づく現行の津波予報では津波地震の場合には過小評価となる。実際に沖合で観測された津波波高データを活用することによって、沿岸での津波波高をより適切に予測できる可能性があると考えられる。気象庁の東海沖、房総沖、海洋研究開発機構の室戸沖のケーブル式海底地震観測システムに設置された圧力計を用いた海底津波計データから時間領域でのフィルタ処理によって津波成分を抽出した。これによって得られた沖合の津波計による津波波高を沿岸の検潮所での津波波高と比較し、その統計的関係を調べた。震央距離による補正を行うか否か、振幅あるいは震央距離の関数と仮定するか否かの場合について、AICを使って最も良い回帰モデルを得た。
  • 北畠 尚子
    2008 年59 巻 p. 97-114
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/04
    ジャーナル フリー
       台風0423号(アジア名Tokage)は2004年10月に強い勢力で西日本に上陸し、東日本で温帯低気圧化した。この台風は進路左側を含む大雨と強風が特徴であった。この台風について気象庁領域客観解析(RANAL)を用いて診断を行った。台風が西日本に上陸した際には台風は上層ジェットストリークの入り口及びトラフ下流に位置していたが、トラフは比較的弱いもので、温低化後に再発達がなかったことに整合的であった。台風の強い下層低気圧性循環が西日本に以前から停滞していた下層前線を強化し、最終的に台風はその傾圧帯で前線性低気圧に変わった。台風が上部対流圏ジェット気流に接近したことによる条件付対称不安定と、前線帯の寒気側かつ日本海南部の比較的暖かい海面上の下層条件付不安定が、台風の進路左側である西日本日本海側の降水に寄与したと考えられる。台風の中緯度での勢力や構造に対する大気海洋相互作用の影響についてさらに研究する必要がある。
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