Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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60 巻
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  • Yuzo Mano
    2009 年 60 巻 p. 1-6
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
       Recent infrared sounders such as AIRS and IASI have thousands of channels. Because computational efficiency is crucial for practical soundings, it is important to reduce the number of channels that are used. One approach is channel selection, in which a limited number of channels with large information content are selected from among all the channels of a sounder. Here we study another approach. Virtual channels, which are referred as Maximum Information Composite Channels (MICC) hereafter, are constructed by a linear combination of original channels so as to maximize the entropy reduction in atmospheric retrieval. We found that the number of MICCs that had almost the same entropy reduction as the original channels was about a tenth the number of original channels when the MICC method was applied to 185 channels of AIRS. MICCs can be used in the same way as conventional channels in atmospheric retrieval. The channel number reduction leads to a reduction of the matrix size and the computational cost in the retrieval. A numerical experiment on temperature and humidity retrievals showed that the CPU time for the MICC approach was significantly smaller than that of the conventional approach with almost the same retrieval error.
  • 真野 裕三, 橋本 徹, 奥山 新
    2009 年 60 巻 p. 7-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/18
    ジャーナル フリー
       気象衛星センターは2007年3月からNOAA-18の可視チャネルを用いた陸域エーロゾルのリトリーバルを開始した。開始以来約1年間の陸域エーロゾルの光学的厚さを地上のAERONET観測データで検証した。すべての地点で統計的に有意な相関は見られたが、ばらつきも大きかった。今後のアルゴリズムの改良のために、誤差が大きい例について誤差の原因を考察した。
    (1) 厚い黄砂に関しては、気象衛星センターの光学的厚さは過大評価またはLUT(Look-up Table)の範囲を越えて値付けができなかった。LUTの作成に用いた鉱物性エーロゾルの複素屈折率を見直す必要がある。
    (2) 厚い灰色の靄に関しては、気象衛星センターの光学的厚さは過小評価であった。LUTの作成においては鉱物性エアロゾルを仮定しているので、カーボンを含むような大気汚染であればこの結果は十分考えられる。将来的には、黄砂のようなダストと靄を識別する手法の開発と、靄のためのLUTの作成が必要になろう。
    (3) 光学的厚さが中程度以下(<~2) の例では、光学的厚さが大きすぎる例の多くで雲の影響が示唆された。気象衛星センターでは雲域除去を行っているが、小規模雲群や雲の縁の近くでは雲の影響を除くことは困難である。MODISの高解像度画像を参照して雲の影響が疑われる例を除くと、AERONETデータとの対応は大きく向上し、ほとんどのAERONET地点で0.6以上の相関係数を示した。しかしながら、いくつかの地点では系統的な過小評価が顕著であった。
    (4) 上記の系統的過小評価が見られた地点のうち海岸付近にあるAERONET地点では、気象衛星センターの近隣海上のエーロゾルの光学的厚さはAERONETデータと非常に相関が良く過小評価も見られないことから、この過小評価はLUTの作成過程で使われる地表面反射率の誤差に由来すると考えられる。地表面反射率の誤差のありうる原因の一つは、地表面反射率を推定する際の最低アルベードがエアロゾルフリーに対応しているとの仮定の誤りである。実際、AERONET地点での光学的厚さの月間最小値は無視できない正の値を示しており、そのような仮定が妥当でないことを示している。AERONETデータの最小値の情報を取り入れることができれば、陸域エーロゾルの推定値は有意に向上するであろう。
       気象衛星センターにおける陸域エーロゾルの推定アルゴリズムの改良に向けて、以上の諸点を考慮する必要がある。
  • 山本 剛靖, 小林 昭夫
    2009 年 60 巻 p. 17-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/09
    ジャーナル フリー
       近畿地方北部の敦賀・今津観測点においてボアホール型3成分歪計による観測が行われている。両観測点で得られた1996年から12.5年間のデータについて調べた。今津のデータに見られる季節変動は並行観測されている地下水位との相関が高く、敦賀のデータに見られる季節変動は降水量を入力としたタンクモデルを使って説明することができた。設置後の安定化過程を指数関数で近似し、これを除去した。季節変動、指数関数的減衰過程を除去した歪変化には、2000年頃と2005年頃に歪速度変化が見られる。この歪速度変化は機器の感度変化、および降水量の長期的変化では必ずしも説明できない。東海地域で同時期に発生したゆっくりすべりによって生じうる歪を計算して観測された非定常的な歪変化と比較したところ、歪の大きさは観測値の方が1桁大きいが主歪の方向は整合的だった。
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