噴火準備期における伊豆大島火山のマグマ蓄積過程を明らかにするため、2004年から2009年に14回の相対精密重力測定がなされた。重力変化は山頂カルデラ北縁を中心に減少する傾向であり、重力減少速度は最大で0.015 mgal/yearであった。茂木モデルを仮定して圧力源パラメータを求めると、観測データを説明できるパラメータとして、7.6×10
6 m
3/year の体積膨張する海抜下3.65 kmの深さの圧力膨張源が見積もられた。しかし見積もられた体積膨張から計算される隆起速度はGPSによる観測値の5倍にもなり、これら見積もられた膨張源のパラメータは、重力と隆起の変化を同時には説明することはできない。
伊豆大島火山は単純な物理モデルで示すことができない複雑なマグマ蓄積系を有する火山であるのかもしれない。このような複雑な火山のマグマ蓄積系を明らかにするためには、隆起量の観測とともにさらなる高精度の微小重力観測を今後も継続する必要がある。
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