Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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61 巻
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  • 高木 朗充, 福井 敬一, 山里 平, 藤原 健治, 加治屋 秋実
    2010 年 61 巻 p. 1-11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル フリー
       噴火準備期における伊豆大島火山のマグマ蓄積過程を明らかにするため、2004年から2009年に14回の相対精密重力測定がなされた。重力変化は山頂カルデラ北縁を中心に減少する傾向であり、重力減少速度は最大で0.015 mgal/yearであった。茂木モデルを仮定して圧力源パラメータを求めると、観測データを説明できるパラメータとして、7.6×106 m3/year の体積膨張する海抜下3.65 kmの深さの圧力膨張源が見積もられた。しかし見積もられた体積膨張から計算される隆起速度はGPSによる観測値の5倍にもなり、これら見積もられた膨張源のパラメータは、重力と隆起の変化を同時には説明することはできない。
       伊豆大島火山は単純な物理モデルで示すことができない複雑なマグマ蓄積系を有する火山であるのかもしれない。このような複雑な火山のマグマ蓄積系を明らかにするためには、隆起量の観測とともにさらなる高精度の微小重力観測を今後も継続する必要がある。
  • 新堀 敏基, 相川 百合, 福井 敬一, 橋本 明弘, 清野 直子, 山里 平
    2010 年 61 巻 p. 13-29
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/28
    ジャーナル フリー
       気象庁では、火山現象予報の一つとして、2008年3月31日から降灰予報の業務を開始した。この論文では、降灰予報を高度化するために気象庁・気象研究所で開発している降灰予測システムを用いて、降灰量の量的予測を行う方法について論じる。降灰予測の方法は、まず初期値となる噴煙柱モデルを、仮想質量をもつ火山灰トレーサーで構成する。次に、トレーサーの時間発展を移流拡散モデルにより計算する。火山灰移流拡散モデルは、気象場に気象庁メソ数値予報モデル(MSM)を用いたラグランジュ記述のモデルであり、移流・拡散・降下・沈着の各過程を考慮している。そして沈着したトレーサーの仮想質量から、単位面積あたりの重量(面密度)として降灰量を算出する。噴煙柱モデルに気象レーダーで観測された噴煙エコー頂高度を用い、降灰量の算出にMSMより細かい水平格子間隔を用いて、本方法を2009年2月2日浅間山噴火の事例に適用した。観測値と比較して、降灰域の定性的な特徴は概ね予測でき、分布主軸上の降灰量も同じオーダーで予測可能であることが示された。
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