日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
12 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 吉田 博
    原稿種別: 本文
    2004 年 12 巻 4 号 p. 157-163
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    菌床栽培ハナビラタケ子実体の発育過程(子実体原基,幼子実体,成熟子実体)における化学成分(一般成分,無機成分,低分子炭水化物,有機酸,遊離アミノ酸)の変化について検討し,以下の結果を得た.発育過程における水分含量は86.1〜87.8%であり,顕著な含量変動はなかった.乾燥重量当たり,粗タンパク質は13.4〜33.2%,粗脂肪は1.4〜1.7%,粗灰分は2.8〜3.2%,炭水化物は61.9〜82.4%であり,発育にともない炭水化物は増加し,粗タンパク質,粗脂肪,粗灰分は減少した.無機成分含量は,1.45〜1.69%であり,子実体原基から幼子実体にかけて減少し,成熟子実体で増加した.主成分はカリウムで,ついでリン,マグネシウム,カルシウム,ナトリウムであった.低分子炭水化物含量は,6.2〜15.4%であり,トレハロース,マンニトール,グルコース,フルクトース,アラビトールが同定された.主成分はトレハロースとマンニトールであり,発育にともないトレハロースとマンニトール含量は増加した.有機酸含量は,2.6〜3.7%であり,発育にともない減少した.リンゴ酸,クエン酸,フマル酸,ピログルタミン酸,コハク酸,シュウ酸,乳酸,α-ケトグルタル酸,酢酸およびギ酸が検出され,主成分はリンゴ酸,クエン酸,フマル酸,ピログルタミン酸およびコハク酸であった.遊離アミノ酸含量は,0.49〜1.07%であり,発育にともない減少した.主成分はグルタミン酸,アスパラギン,アスパラギン酸,チロシン,アルギニン,アラニンおよびセリンであった.
  • 中野 明正, 馬場崎 勝彦, 上原 洋一
    原稿種別: 本文
    2004 年 12 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    易分解性もしくは易吸収性の窒素および炭素を多く含むフスマやコーンコブ(トウモロコシの芯を調製した培地基材)のδ^<15>N値およびδ^<13>C値は,シイタケのそれらの値に反映された.シイタケがどのような施肥履歴を経て得られた添加培地により生産されたものなのかをδ^<15>N値から,また,そのシイタケが栽培された培地がC_3植物由来かC_4植物由来かをδ^<13>C値から推定できる.
  • 荒井 康恵, 鈴木 彰, 北本 豊, 白坂 憲章, 吉川 賢太郎, 阪本 禮一郎, 寺下 隆夫
    原稿種別: 本文
    2004 年 12 巻 4 号 p. 171-177
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    コーンファイバー(CNF)はコ-ンスターチ製造工場から多量に排出される廃棄物である.著者らは食用きのこ類の子実体(fb)形成に対するCNF-HWSF(CNFの熱水抽出物)の効果を調べた.CNF-HWSFを添加してシイタケを培養するとfbの発生フラスコ数が,供試10本中の4本(対照区)から9本に増加し,成熟fb形成日数も70日から56日に短縮した.さらに,fb収量は無添加対照区の2.0倍に増加し,促進効果はエノキタケとヒラタケでも観察れた.促進機構を探るため,シイタケをグルコース・ペプトン・酵母エキス液体培地で生育させ糖質分解酵素の生産性を調べた.培地へのCNF-HWSFの添加によって菌体外Amylase活性は3.5倍に上昇し,CMCaseおよびXylanase活性では最大活性を示す時期が接種後30日目(対照区)から10〜20日目にシフトした.
  • 種坂 英次
    原稿種別: 本文
    2004 年 12 巻 4 号 p. 179-183
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    西南日本の野生きのこ食習慣における島状地域,鳥取県,岡山県,広島県の起因について,以前に提示した相関モデルを用いて中国地方の自然植生との関連において分析した.2つの要因,利用種数および保存のために塩蔵される種数と乾燥される種数との差,を用いた散布図において常緑広葉樹林帯にある地域と夏緑広葉樹林帯にある地域は異なるクラスターを形成した.利用種数と保存の方法は両地域間で有意に異なった.この結果は西南日本における島状地域の起因が,中国山地に分布する夏緑広葉樹林帯の地域がもつ東北日本と類似した食習慣にあることを示す.さらに,地方的な野生きのこ利用に関する限り,東北日本と西南日本にみられる2つの典型的な食習慣の境界は,地域の所在位置よりもむしろその地域の植生に対応している事は注目すべきである.
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