ハナビラタケの栄養生長にともなう菌糸体中の低分子炭水化物,グリコーゲンおよび有機酸の分布変化を検討した.培地中にギ酸,酢酸,シュウ酸,コハク酸,フマル酸,リンゴ酸,クエン酸およびイソクエン酸が集積し,シュウ酸の集積は他の有機酸類よりも顕著であった.乾燥重量あたり,栄養生長中の菌糸体の低分子炭水化物含量は9.5〜15.5%の範囲であった.菌糸体からトレハロース,グルコース,フルクトース,アラビトール,マンニトールが確認され,主成分はアラビトール,マンニトールおよびトレハロースであった.乾燥重量あたり,菌糸体のグリコーゲン含量は7.0〜11.1%の範囲であった.トレハロース,アラビトール,マンニトール,グリコーゲンは菌糸体に蓄積し,貯蔵炭水化物としての機能を有しているものと思われる.菌糸体の有機酸含量は0.5〜1.2%の範囲であり,9種の有機酸が確認された.主成分はリンゴ酸,クエン酸,フマル酸,シュウ酸およびピログルタミン酸であった.
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