ヤマグワの心・辺材,およびクヌギ木粉を用いて,メシマコブの菌糸成長を他の数種の木材腐朽菌と比較した.その結果,ブナ,クヌギおよびヤマグワ辺材では,メシマコブは白色腐朽菌のカワラタケ,シイタケ,褐色腐朽菌のオオウズラタケなどと比較してかなり成長が劣り,これらの腐朽菌によって容易に駆逐された.一方,抗菌物質オキシレスベラトロールを多量に含有するヤマグワ心材では,メシマコブはあまり大きな影響を受けなかったが,他の腐朽菌はその成長が著しく抑制された.したがって,メシマコブはヤマグワ心材部では他の木材腐朽菌と対等もしくは優位に競争できるものの,ブナやクヌギで繁殖させるためには滅菌処理によって他の腐朽菌を除く必要があると考えられた.
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