日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
17 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 中村 友幸
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 4 号 p. 137-144
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    メシマコブは古くから漢方に供せられてきたきのこであり,高い生物活性を有するきのことして注目されている.近年,メシマコブ菌糸体は機能強化食品として幅広く用いられてきている.本報告では,メシマコブを用いた遺伝解析,培養条件の検索,および各種機能性の調査に関する最近の研究成果を報告する.特に,抗酸化作用,抗腫瘍作用,抗アレルギー作用,さらに新規の興味深い機能性研究に関しても紹介する.将来の研究でメシマコブの培養菌糸体とその有効成分が各種疾病に利用されることを期待している.
  • 寺嶋 芳江, 渡辺 智子, 鈴木 亜夕帆, 白坂 憲章, 寺下 隆夫
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 4 号 p. 145-149
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    米ぬか,ふすま,あるいは両者の混合物を栄養材とし,トレハロースを培地へ3%添加してシイタケを栽培した.添加により,ふすま培地において3回目までの総収量は比較的多くなり,Mサイズ以上の子実体個数割合はやや大きくなった.ふすま培地からの子実体のトレハロース含有量は全発生回を通して多かった.しかし,添加した場合,各集中発生における子実体の15℃で6日間保存後のヒダの明度を示すL^*値は明確には高くはなく,鮮度保持効果は認められなかった.官能検査の結果,ふすま培地からの子実体の「総合評価」は特に高かった.以上から,栄養材としてふすまを用いた場合に子実体収量と食味評価にトレハロース添加のプラス効果が最も大きく現れることがわかった.
  • 田畑 麻里子, 林 多津子, 松井 徳光
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 4 号 p. 151-154
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    血液凝固自動測定装置であるコアグロメーターを用いた凝乳酵素の活性測定法を検討した.Mucor miehei由来レンネットを試料とした測定範囲は,0.005mg/ml-5mg/mlでレンネット濃度と凝固時間との間に良好な相関関係を示した.測定精度は相対標準偏差で4.93%(n=10)であり,従来,凝乳酵素活性測定に用いられる有馬法に比べて高い精度を示した.また本法の測定値と従来法の測定値とは良好な相関関係を示した.本法は凝固物の生成した時間を機械的に測定できるため,測定誤差が少ない点,測定に必要な試料が少量ですむ点,測定が簡便である点で従来法より優れている.また,本法と従来法とで担子菌の粗酵素の凝乳酵素活性の測定を行ったところ,測定値間に良好な相関関係が認められた.
  • 新田 剛, 宮崎 和弘, 目黒 貞利
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 4 号 p. 155-160
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    九州地域で栽培されている食用菌6種類とそれらの栽培現場で分離された害菌17株を組み合わせて,食用菌に対する害菌の菌糸成長速度の比として求めた成長指数と,両口試験管を用いた対峙培養試験により求めた害菌の侵害力との関係を検討した.その結果,害菌の菌糸成長速度が食用菌と同等,もしくは食用菌より遅い場合には,いずれの食用菌に対しても侵害力が弱く,害菌の病原性は極めて低いと推定された.一方,害菌の菌糸成長速度が食用菌よりも速くなるにつれて,食用菌に対する害菌の侵害力が強くなる傾向が明らかに見られた.特に,食用菌に対して2-3倍以上の成長指数を示す害菌の多くには,著しく高い侵害力を示すものがあることが明らかになった.これらの結果から,食用菌の菌床に感染した害菌の侵害力の強さは,食用菌と害菌の菌糸成長速度を比較検討することにより,推定可能であると考えられた.
  • 熊倉 慧, 五十嵐 圭日子, 江口 文陽, 鮫島 正浩
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 4 号 p. 161-165
    発行日: 2009/12/31
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    マンネンタケ菌株と培地基材が子実体形成とアンギオテンシン変換酵素阻害活性に与える影響について検討をおこなった.4種の菌株について栽培をおこなったところ,SMY寒天培地での菌糸成長速度と木粉-フスマ培地での子実体形成時期に相関がみられた.また,同一菌株においては,菌糸成長速度と子実体形成時期についてウメ木粉とコナラ木粉の間での培地基材による差異は少ないことが示された.一方,子実体抽出物のACE阻害活性能は,本実験条件内では菌株依存性が高いことが示唆された.薬理作用を目的とする菌株選抜においては,子実体収量や栽培速度のみを重視することなく,期待される薬理作用の機能性試験を合わせて実施し,総合的評価により判断をおこなうことが重要であると考える.また,剪定枝から得られるウメ木粉がマンネンタケ培地基材として利用可能なことも本研究の結果から明らかとなった.
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