日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
17 巻, 1 号
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  • 佐藤 利次, 永井 勝, 渡辺 久敬, 高橋 真智子, 中出 啓子, 坂本 裕一, 山内 隆弘, 青木 貴行, 枝 克昌, 鮎澤 澄夫, 小 ...
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    シイタケ上面栽培で生じる廃液(上面水)のバイオレメディエーションなどへの有効利用を目的に,リグニン分解酵素の1種であるラッカーゼに注目し,上面水に含まれる各種酵素活性,上面水による内分泌撹乱物質の減少,上面水におけるラッカーゼ活性の変動,上面水の濃縮法などについて検討した.上面水中には,子実体発生処理後22日目に,ラッカーゼ,セルラーゼ,キシラナーゼ,及び酸性プロテアーゼ等の酵素活性が確認できた.この上面水にビスフェノールAと4-t-オクチルフェノールを500ng/mlになるようにそれぞれ添加して40℃で23時間反応させたところ,それぞれ17.9%と23.5%まで減少した.上面水に含まれるラッカーゼ活性は,最初に液を交換する時期の3-4週間目に最大となり,それ以降減少した.上面水は限外ろ過法により100-200倍に濃縮可能であり,凍結乾燥法によってラッカーゼ活性を66%以上保持した状態で粉末化することも出来た.濃縮上面水を低温保存したところ,約100日までは,ラッカーゼ活性が約80%維持された.以上の結果から,上面水はラッカーゼの酵素源として,濃縮可能で保存性もよいことから,バイオレメディエーションなどへの有効利用の可能性が示された.
  • 山内 隆弘, 鮎澤 澄夫, 枝 克昌, 飯塚 和也, 横田 信三, 石栗 太, 吉澤 伸夫
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    シイタケ菌床栽培において,高品質きのこの高収量生産を実現するために原基形成および子実体発生数と部位の調整を可能にする温度,水分条件について検討した.培養完了後,27℃,7日間の高温処理を行うことで原基形成数および子実体発生数を減少することができたが,部位の調整は困難であった.この高温処理と70%以上の高含水率条件を併用することで原基形成および子実体発生数だけでなく発生部位も上面に制御できることが分かった.本研究で効果の得られた栽培法を上面栽培法と名づけた.
  • 新田 剛, 工藤 哲三, 上米良 壽誕, 吉留 高志, 目黒 貞利
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    ソバ焼酎製造時に副次的に発生する焼酎粕から調整した焼酎粕乾燥物を,シイタケ菌床栽培用培地にふすまや米ぬかなどの栄養体の一部として添加し,シイタケ子実体収量および栄養成分に及ぼす影響を検討した.栽培試験等の結果,栄養体として米ぬかと焼酎粕を併用することにより,子実体発生個数が約20%,収量が約17%も増加し,商業シイタケ栽培施設を用いた実証試験の結果でも約12%の増収効果が認められた.また,焼酎粕を添加した培地から収穫された子実体には多量のアミノ酸が含量され,中でも食品の旨味に関与するとされるグルタミン酸,甘みに関与するとされるグリシンとアラニンの含有量が多いという特徴が見られた.これらの結果から,ソバ焼酎粕乾燥物をシイタケ菌床栽培用培地の資材として有効活用可能であることが明らかになった.
  • 平野 真也, 鷲見 亮, 森 伸夫, 綾部 園子, 江口 文陽
    原稿種別: 本文
    2009 年 17 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2009/04/30
    公開日: 2018/03/15
    ジャーナル フリー
    健康食品クロレラの製造工程より発生するクロレラ抽出残渣は栄養豊富であることから,キノコ栽培の栄養剤としての利用を検討した.4種の食用きのこを用い,スギ木粉とクロレラ抽出残渣を混合した培地で子実体を栽培したところ,5:1で混合した培地で,子実体収穫までの日数が短縮される傾向と収量の増加がみられた菌種と培地の組み合わせがあった.子実体の外観は対照区と比較して大きな差異がなかった.子実体中の一般成分およびミネラルの含有量は対照区と同等であったが,ビタミン類およびアミノ酸含有量については,既存の培地のものと比較して有意に増加しているものがあった.以上の結果から,クロレラ抽出残渣のキノコ菌床栽培における利用は,食品産業廃棄物の有効利用および減量化に十分貢献できるとともに,子実体の栄養成分が顕著に増加することが明らかとなった.
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