日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
26 巻 , 2 号
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  • 森 智夫
    2018 年 26 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル オープンアクセス
    木材腐朽担子菌や昆虫病原性子嚢菌などの子実体から胞子を放出する高等菌類の菌糸体は,生態系における分解者として機能している事が知られている.これら高等菌類は,リグニンやクチクラといった芳香族あるいは脂肪族高分子に対する優れた分解機構を保持している.高等菌類による有機汚染物質分解に関する報告は様々あり,木材腐朽菌や冬虫夏草菌による残留性有機汚染物質(POPs)―例えば,ダイオキシン類やその類縁化合物,塩素系農薬,多環式芳香族化合物(PAHs)およびネオニコチノイド系殺虫剤―の分解は既に実証されている.これらの反応では,多くの場合でチトクロムP450 酵素が初期反応を触媒しており,汚染物質の構造を変化させ,その毒性を低減する.さらに,食用キノコであるヒラタケや薬用キノコであるサナギタケが,土壌中のDDT やPAHs を分解できることも明らかになっている.この様に,キノコを含めた高等菌類は環境中のPOPsを代謝可能であることから,将来的には生物的環境修復技術の微生物源としてキノコ廃菌床の応用利用が可能となるかもしれない.
  • 亀井 健吾, 福田 泰久, 大沼 広宜, 白坂 憲章
    2018 年 26 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル オープンアクセス
    キシランを添加して培養したTricholoma matsutake NBRC 30605がキシラン分解活性を示した.ブナ由来キシランを基質とした分解活性を指標にして菌体培養液から精製した酵素はSDS-PAGEとHPLC-GPCで分子量はそれぞれ81 kDaと88 kDaを示した.精製酵素はpH 4.0, 55℃で最大活性を示し,pH 3.0 - 4.0,30℃まで安定であった.本酵素はβ-1,4結合キシロオリゴ糖2 - 5糖とブナ由来キシランからキシロースを遊離し,p-nitrophenyl β-D-xylopyranosideに対するKm値とVmaxは1.28 mMと14.45 U/mgであった.MnCl2,ZnCl2 ,NiCl2 ,EDTAにより強く阻害された.また,精製酵素のN末端アミノ酸配列はT. matsutakeのβ-xylosidase様酵素タンパクと100%一致した.これらの結果より,本酵素がGH family 3に属するxylan分解型β-xylosidaseであることが示唆された.
  • 辻山 彰一, 大垣 蓮
    2018 年 26 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル オープンアクセス
    乾燥きのこ中に残存する酵素を活用した酵素製剤として利用することを目的として,栽培きのこ5種類の乾燥品にβ-グルコシダーゼが残存しているかを確かめたところ,全ての乾燥きのこに活性が検出された.乾燥シイタケ中の酵素活性は37℃の方が60℃よりも高かったが,乾燥マイタケと乾燥ブナシメジでは60℃で活性が高かった.1年間保管後,乾燥エリンギと乾燥ブナシメジで酵素活性の保存性がよかった.乾燥過程の加熱の影響を調べるため,乾燥機による加熱乾燥と加熱を伴わない減圧乾燥により乾燥きのこを調製した.乾燥直後は,減圧乾燥試料のほうが活性が高い傾向が見られたが,1年保管後には差が顕著には見られなくなった.干しシイタケ製造の乾燥方法で調製した乾燥きのこ中の酵素が安定であるということは,既存の装置と乾燥手法で酵素製剤の製造が可能であることを示唆する.
  • 折橋 健, 檜山 亮, 原田 陽
    2018 年 26 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケ菌床栽培において,オノエヤナギのおが粉の粒度がシイタケ発生に及ぼす影響を検討した.おが粉製造後,4区分に粒度調整したおが粉を試験区,粒度未調整のおが粉を対照区に用いて栽培試験を行った.その結果,主な粒度が0.5 - 1.0 mmのおが粉を用いた試験区で,対照区や他の試験区よりも子実体収量,特に商品価値の高いMサイズ以上の子実体収量が高くなった.この結果は,ヤナギおが粉の粒度調整がシイタケ生産におけるヤナギの有用性を高める可能性を示している.
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