マイコトキシン
Online ISSN : 1881-0128
Print ISSN : 0285-1466
ISSN-L : 0285-1466
51 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
  • 田中 健治, ロナルド・ディー・ プラットナー, 山岸 礼子, 南澤 正敏, 真鍋 勝, 川杉 正一, マンフレッド・ ガライス, 岡田 元
    原稿種別: 原著
    2001 年 51 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    フランスの堆肥から分離された不完全菌Spicellum roseumのタイプ由来株を培養すると,トリコテセン系マイコトキシンを産生することが知られている.桃色かび立枯病を引き起こす原因菌として,我々は長野県のエノキタケ(Flammulina velutipes)から数株のS. roseumを分離した.これら日本産のS. roseumがトリコテセン系マイコトキシンを産生するか否かを調べるために,分離菌株を米培地で培養し,マイコトキシンの分析を行った.EIモード及びCIモードのガスクロマトグラフ質量分析計で8-デオキシートリコテシンを検出し,確認した.しかしながら,赤かび病罹病のムギから検出されるトリコテセン系マイコトキシンとして有名なデオキシニバレノール,3-アセチルーデオキシニバレノール,フザレノン-X及びニバレノールは検出されなかった.
第50回学術講演会要旨
特別講演
  • 斉藤 道彦
    原稿種別: 第50回学術講演会要旨
    専門分野: 特別講演
    2001 年 51 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    食品包装分野では,各種食品に応じた様々な技術が開発されるとともに,各種の新規包材や包装容器の開発が盛んに行われている.一方,環境問題,リサイクル促進の見地から,「容器包装リサイクル法」が施行された.近年,青果物の鮮度保持のためのMA(modified atmosphere)包装が注目されている.MA包装は青果物の呼吸による酸素の消費ならびに包装材のガス透過性によって,それぞれの青果物に最適なガス条件を包装袋内に作り出し,品質保持の延長を可能にする技術であるが,微細孔フィルムの開発によって応用範囲が広がっている.食品の微生物汚染防止のための包装技術に対する期待が高まっている.例えば,アフラトキシン汚染の防止策として,タイにおいて高水分トウモロコシのプラスチック袋包装が試験されたが,この方法でアフラトキシン生産菌の生育を完全に抑制できた.収穫時の乾燥途中にアフラトキシン汚染が進行することが多いこれらの地域では有用である.
ワークショップ
  • 岡野 清志
    原稿種別: 第51回学術講演会要約
    専門分野: 特別講演
    2001 年 51 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    この検査結果はイランのピスタチオナッツの収穫後日本が輸入する期間によりまとめた.輸入時のアフラトキシン違反は1996年までは15%から20%であったが1997年から1998年にかけて30%以上になった.国内で検出したため検査が強化され,20フィ-トコンテナ4検体検査から8検体検査に変更した.違反率の上昇はイラン生産地の天候不順が原因と考えられる.近年は以前より品質の良いものが輸入されるようになってきた.
  • 田端 節子
    原稿種別: 第51回学術講演会要約
    専門分野: ワークショップ
    2001 年 51 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    1982~1999年の18年間にピスタチオナッツ621試料のアフラトキシン(AF)汚染調査を行った.621試料中18試料からAFが検出され,検出率は約3%,検出量はAFB1で0.8~1380 ppbであった.AFが検出された試料のうち5 試料(28%)は日本の規制値(10 ppb)以下であったが,他の13 試料(72%)は規制値を超えており,100 ppb以上検出された試料は約40%であった.全体の検出率は高くはないが,検出量は多いという結果が得られた.AFが検出されたものを産地別に見ると,米国産が1試料(AFB1: 0.8 ppb)であり,他のすべてはイラン産であった.なお,1試料を除き,AFB群のみが検出され,AFG群は検出されなかった.厚生省による検査命令により,輸入時にピスタチオナッツは全ロット,AFの検査をすることが義務付けられており,規制値以上のAFを含むものは処分される.これにより,市販ピスタチオナッツのAF汚染は軽減されていると考えられるが,それでも,規制値を超えるAFが検出されている.市販品が規制値以上のAFを含まないようにするために,輸入時の検査をさらに厳しくする必要があると考える.
  • 高橋 治男, 岡野 清志, 一戸 正勝
    原稿種別: 第51回学術講演会要約
    専門分野: ワークショップ
    2001 年 51 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    イランのヤズド,ケルマンにて,ピスタチオナッツの収穫から製造工程におけるAspergillus flavusA. parasiticusのアフラトキシン産生菌の分布について調査を行った.その結果,畑土壌からは検出されなかったが,畑で収集された開裂果実,虫害果実,あるいは製造工程の洗浄水,製品貯蔵庫内空気のいずれからもA. flavusが検出された.このことは,アフラトキシン汚染を防ぐには,栽培から最終製品の貯蔵に至るまでの全体を通した微生物管理,衛生管理が必要であることを示した.水による洗浄・選別工程で除外された1区分(floating nuts,閉殻粒を除く)と目視により選別除外された5区分,計6区分について,菌学的検査とアフラトキシンの分析を行った.Floating nuts 区分と目視により除外されたdark stained 区分では全粒からA. flavus 検出されたが,閉殻(closed mouth)群からはほとんど検出されなかった.アフラトキシンはdark stained 区分のみから検出された.このことは,目視による選別が有効である可能性を示したが完全な減毒法ではないことから,更に今後の検討が必要である.
  • 小中 龍一郎
    原稿種別: 第51回学術講演会要約
    専門分野: ワークショップ
    2001 年 51 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    In Japan, an import amount of pistachio nuts, from the United States is increasing every year, because there is hardly contamination with aflatoxin in the pistachio nuts. On the basis of the local information, I introduce a process from the harvest of pistachio nuts to manufacture at California. As the result of manual, standard, machine harvest, machine dryness and industry-university collaboration, we can have high quality pistachio nuts with little aflatoxin contamination. So as to prevent contamination with aflatoxin, pistachio nuts need to be isolated from fungus. Therefore, it is necessary to have the consistent control system that is from farm to factory.
  • 一戸 正勝, 斉藤 朋子, 岡野 清志
    原稿種別: 第51回学術講演会要約
    専門分野: ワークショップ
    2001 年 51 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    イラン産の輸入ピスタチオナッツについてアフラトキシン生産性を有するAspergillus flavusの汚染状況について調査研究を行った.輸入港において,検査対象となった生ピスタチオナッツおよび生産地が特定された生ピスタチオナッツについてアフラトキシン生産菌の分布状況を調査したところ,行政検査でアフラトキシン陽性となった試料ではA. flavusのアフラトキシン生産菌の比率が高く,陰性試料ではA. flavusの検出量が多い場合でも生産菌の比率が低かった.種実の内果皮と仁に分けて菌分離を行ったが,個々の検査粒により異なっており,一定の傾向はみられなかった.イラン国内のピスタチオ生産地域により,アフラトキシン生産菌の分布が異なっていた.
資料と情報
  • 伊藤 嘉典, 野村 泰子, 広鰭 律子, 森下 芳行, 土田 雅子, 中野 尚子, 粟飯原 景昭, 宮木 高明
    原稿種別: 資料と情報
    2001 年 51 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    1970年11月から1971年2月末まで行った市販ピーナッツバター及び関連食品82試料についてのアフラトキシンB1 (AFB1)汚染調査の結果,53試料(65%)にAFB1を検出,うちピーナッツバターが24試料,フラワーペースト類が29試料であった.ピーナッツバターは3 ppb - 42 ppb,フラワーペースト類では3 ppb-9 ppbのAFB1がそれぞれ検出された.AFB1が検出された53試料はすべて国内で製造されたものであった.AF汚染市販ピーナッツバター及び関連製品の追跡調査の結果,AF汚染源は原料として用いられた輸入又は国内産の生落花生とピーナッツバターの状態で輸入されたものであった.1971年3月から1972年8月末まで行われた輸入ピーナッツ992検体,ピーナッツバター類259検体,バターピーナッツ53検体,ピーナッツミソ2検体,ピーナッツオイル1検体の合計1,307検体についての行政検査の結果,113検体,8.7%からAFB1が検出され,113検体中58検体,全体の4.4%に10 ppb以上のAFB1が検出されたため輸入を拒否された.生落花生から検出されたAFB1量は10 ppb - 7400 ppb,ピーナッツバターでは10 ppb - 85 ppb,バターピーナッツでは11 ppb - 66 ppbであった.
  • 戸崎 嵩明
    原稿種別: 資料と情報
    2001 年 51 巻 2 号 p. 123-125
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    The use of Clay(Hydrated Sodium Calcium Alminosilicate, HSCAS)in feeds for the purpose of detoxifying aflatoxin and improving the productivity of livestock ingesting it was studied. Since it has been demonstrated that the Clay adsorbs aflatoxin chemically in vitro, the study aimed at confirming the efficacy of Clay added to feeds was conducted in various livestock fed with the aflatoxin-contaminated feeds. As a result, it has been confirmed that the Clay reduces the effect of this toxin on livestock and improves the growth of livestock, resulting in decreases in the transition of this toxin into milk.
feedback
Top