マイコトキシン
Online ISSN : 1881-0128
Print ISSN : 0285-1466
ISSN-L : 0285-1466
63 巻 , 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
Part I (Papers in English)
Research Papers
  • 白澤 隆史, 植田 基寛, Michael APPEL, 後藤 哲久
    2013 年 63 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     パツリン産生菌の一種である Penicillium expansum はリンゴ腐敗菌でもあり,リンゴおよびリンゴ製品におけるパツリン汚染の原因菌として知られている.リンゴジュース中のパツリンの分析法としては,酢酸エチルを用いた液液抽出後, HPLC-UV もしくは LC-MS を用いて分析する方法が広く用いられている.これまでの研究において,シクロデキストリンポリマーが様々な有機物の混在するリンゴジュース中においてパツリンを吸着することが示されている.本研究では,4,4'-methylenebis (phenyl isocyanate)をシクロデキストリンの架橋剤として用い合成したポリマーをリンゴジュース中のパツリンの固相抽出に利用することを検討した.固相カラムのコンディショニングに用いる溶媒,固相カラムへの分析試料の負荷容量,洗浄液の溶媒,溶離液の溶媒,容量を検討し,パツリン分析の最適化を行った.最適化した方法において,10,20,50,80,100 ng mL-1 のパツリン添加試料におけるパツリンの回収率(相対標準偏差)はそれぞれ 78(20)%,71(13)%,78(17)%,71(7.1)%,67(2.9)%であった.リンゴジュース中のパツリンの本分析法における定量下限(LOQ)は 10ng mL-1 であった.
  • 安藤 直子, 田中 彰, 関本 陽介, 山内 皓太, 越後 輝敦, 宇佐美 論, 阿部 文快, 峯岸 宏明
    2013 年 63 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     トリコテセンは,フザリウム属等の糸状菌によって生産されるカビ毒であり,重要穀類を汚染し,家畜や人の健康を害する.本研究では,出芽酵母の遺伝子破壊ライブラリーを用い, A型トリコテセンの T-2 toxin,及び,D 型トリコテセンの verrucarin A に対する高感受性遺伝子破壊株のスクリーニングを行った.その結果,これら二つのトリコテセン共通に高い感受性を示す遺伝子破壊株が数多く見つかった.これらの株における破壊遺伝子はトリコテセン耐性を担う遺伝子と考えられるが,そこには ABC 輸送体,エルゴステロール合成酵素,液胞型プロトン ATPase 等のタンパク質をコードする遺伝子が含まれていた.
  • 東海 武史, 中嶋 佑一, 市川 雛代, 前田 一行, 西内 巧, 小林 哲夫, 木村 真
    2013 年 63 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     トリコテセン生合成遺伝子クラスターの中心の領域には,2つの経路遺伝子と 2つの調節遺伝子の合計 4つの生合成遺伝子(Tri 遺伝子)が存在し,トリコテセン基本骨格を形成する.このうちの1つ Tri4 遺伝子は多機能シトクロム P450 をコードし,トリコテセン産生条件下で高レベルに発現が誘導される.遺伝子クラスター外の全く関係のないところには Tri101 が単一遺伝子として存在し, Fusarium graminearum においてはトリコテセンの毒性からの自己耐性に寄与している.これらのプロモーターの活性を,毒素産生誘導条件下で GUS 遺伝子をレポーターとして用い, TEF1α 遺伝子(高レベルで発現する翻訳伸張因子をコードする)のプロモーターの活性と比較した.クラスターの末端に組み込んだ Tri101 プロモーターと GUS 遺伝子との融合および TEF1α プロモーターと GUS 遺伝子との融合によって示されるレポーター活性は,もともとの位置にそれらのプロモーターがある場合に示す活性と一致した.しかしもともとの位置からの正常な Tri4 の転写とは対照的に,遺伝子クラスターの末端に配置した Tri4 プロモーターからは GUS 活性が検出されなかった.従ってクラスター内におけるプロモーターの位置が Tri4 の本来の発現制御にとって重要であると考えられる.
  • Chibundu N. EZEKIEL, Cyril C. NWANGBURUKA, Gibson O. CHIOMA, Michael S ...
    2013 年 63 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     2系統のオクラと 17サンプルのゴマの種子のフザリウム汚染について調査を行った.2系統のオクラからは 6菌株,10サンプルのゴマからは 31菌株,合計 37種のフザリウム菌株が得られた.得られた菌株は F. oxysporumF. semiticumF. verticillioides の 3つの種に属した.オクラからの全ての株は F. semitectum と判明し,ゴマでは 3フザリウム種が発生していた.これらの作物から無作為に選んだ 6つの菌株をオファダ米で培養し,粗抽出液をアフリカナマズの幼魚に作用させてマイコトキシン産生能のあるものをスクリーニングした.オファダ米での培養菌体からは 6種類の代謝物,equisetin(EQUS),fumonisin B1(FB1),FB2,methyl-equisetin(M-EQUS),moniliformin(MON)および zearalenone(ZEA)の生産が認められた.全ての菌株は EQUS を 454-29,983 μg/kg の濃度で生産した.F. semitectum BUFC 041 と F. oxysporum BUFC 024 を除く全ての菌株が MON と ZEA を生産し,3菌株の F. semitectum は M-EQUS を生産した.F. verticillioides だけが fumonisin を生産した.これらの作物から得られた毒素産生のプロファイルとレベルはフザリウム種の中でも異なっていることが明らかとなった.MON を生産しないために 62.2 %しか殺さなかった F. semitectum BUFC 041 を除く全ての菌株の培養抽出液はアフリカナマズの幼魚を 100 % 殺した.本研究成果はオクラとゴマは毒素を産生するフザリウムの潜在的汚染源であることを示唆する.
Proceedings of the XIII International Congress of Mycology in IUMS 2011
  • Maria T. AMATULLI, Francesca FANELLI, Antonio MORETTI, Giuseppina MULE ...
    2013 年 63 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     マイコトキシンは糸状菌の生産する二次代謝産物で食料,飼料の流通において経済的,衛生的に大きな懸念をもたしている.穀類はヒトの主要な食物であり,コムギは世界中で三番目に多く生産されている.フザリウムはコムギの主要なマイコトキシン混入原因ではあるが,近年,農業環境に影響する気候変動のために他のマイコトキシン産生菌も重要なコムギの汚染原因となっていることが指摘されている.この中でも「黒目粒」と呼ばれるアルタナリア病は新たなリスクとしてその重要性が増している.アルタナリア感染に関連した病気やマイコトキシン(アルタナリオール,アルテヌエン,アルタナリオールメチルエーテル,テヌアゾン酸)がいくつかの国で報告されており,このアルタナリア属菌の新たな側面に関する知識を深めるものと思われる.本論文ではアルタナリ属菌や関連したマイコトキシンによるコムギの汚染に関する発見をまとめた.
パートII(日本語論文)
第71 回日本マイコトキシン学会学術講演会要約
  • 玉那覇 康二
    2013 年 63 巻 1 号 p. 55-65
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     沖縄県は,日本列島の南に位置しており亜熱帯気候による自然毒食中毒は,気候や自然環境が反映されており,全国と異なっている.
     沖縄県で発生している2001年から2010年までの 10年間の食中毒事例を見ると,自然毒食中毒の年平均は24%であり,更に自然毒食中毒のうち,動物性自然毒食中毒が91%と大半を占めている.
     動物性自然毒のほとんどがサンゴ礁に生息する魚介類によるシガテラ食中毒である.シガテラ以外にも,ウリ科植物によるククルビタシン中毒,熱帯性キノコであるオオシロカラカサタケや麻薬成分を含有する幻覚性キノコによる食中毒も発生しており,これらについても事例を紹介する.
  • 安田 正昭
    2013 年 63 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     豆腐ようは沖縄以外の我が国ではほとんど見られないユニークな豆腐の発酵食品である.この食品は琉球王朝時代の 18世紀頃に中国から渡来した紅腐乳を琉球王府のお料理座で改良して造り出されたものと考えられる.発酵にかかわる主な微生物は, Monascus 属カビと Aspergillus oryzae である.豆腐ようの主要な構成成分は大豆タンパク質グリシニンの塩基性サブユニットおよびその他のポリペプチド(分子量 10,500-15,000)である.それら成分が豆腐ようのテクスチャーに関係している.発酵過程で大豆タンパク質はプロテアーゼの作用により低分子化され,一部はアミノ酸やペプチドに変換される.遊離アミノ酸は呈味にかかわる.発酵で生成したペプチド(IFL, WL)は血圧上昇抑制にかわわるアンギオテンシンⅠ変換酵素の阻害効果を示した.両ペプチドは消化酵素による連続処理後においても高い ACE 阻害活性を有していた.高血圧自然発症ラットを用いた動物実験においても豆腐よう投与群はコントロール群に比べて有意に血圧が低下した.豆腐ようには血圧上昇抑制効果のあることが期待された.
  • 安元 健
    2013 年 63 巻 1 号 p. 73-84
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
     我が国ではほとんどの魚介毒の検出・定量にマウス毒性試験が用いられる.欧米では,動物愛護に加えて高特異性,高感度,高精度,迅速化を目指した代替法が追求され,実用性の検証が進められている.すでに EU は貝毒の検査を LC-MS と HPLC で実施することを決定した.シガテラ魚類中毒では我々が提案する LC-MS 法機器分析に加えて,レセプター結合試験や ELISA 等の開発が進んでいる.古くから知られていながら未解明な中毒として,横紋筋融解症を紹介する.発生地域はヨーロッパ,北米,南米,アジアにまたがり,原因生物も海水魚,淡水魚,ザリガニと多様である.我が国ではアオブダイ中毒が代表例である.
ミニレビュー
国際会議報告
feedback
Top