マイコトキシン
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67 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
Part I (Papers in English)
Mini Review
  • Latiffah Zakaria
    2017 年 67 巻 2 号 p. 67-75
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     植物病原性・かび毒産生性のフザリウム属菌はマレーシア全土に分布している.代表的なものはF. oxysporumと,F. fujikuroi種複合体のいくつかの種である.かび毒産生性のフザリウム属菌は圃場の作物に感染し収穫後や保管中の作物を汚染しうる.かび毒産生性のフザリウム属の分離株の多くは試験管内でかび毒を産生することから,これら分離株は宿主植物にもかび毒を蓄積することが示唆される.このように,かび毒は食品ならびに飼料の加工品に残存しうる.多くのフザリウムかび毒は熱に安定であるが,各種の加工調理工程(ソーティング,トリミング,クリーニング,製粉,調理,焼成,揚げ調理,ロースト,エクスクルージョンクッキング)は種々のレベルでかび毒を低減することが報告されている.マレーシアでは,フザリウムかび毒と他のかび毒に対するヒトでの曝露研究がより一層必要である.

Research Papers
  • Deni Pranowo, Nuryono, Ali Agus, Jumina, Romsyah Maryam, FMCS Setyab ...
    2017 年 67 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     AFB1抗体の封入のために,コメ籾殻灰からのシリカの抽出ならびにイムノアフィニティカラムIAC)のマトリクスとしての適用を行った.コメ籾殻灰抽出は4M NaOHで行い,シリカゲル合成のためのNa2SiO3が得られた.得られたシリカはゾル-ゲル法により,AFB1抗体の封入のために使われた.

     1 mlの1M Na2SiO3:H2O:H3PO4(0.43:0.11:0.46)は,pH 7で,1.36 mgのAb-AFB1を封入するのに適したシリカゲルを産生した.

     48時間のエイジング後,AFB1抗体修飾されたシリカゲル(SG-Ab- AFB1)は粉砕され,アフラトキシン精製用のIACのマトリクスとして充填された.修飾されたシリカゲルは,FTIRとSEMにより観察された.SG-Ab- AFB1のIACとしての性能はAF回収率,負荷能,再利用可能性で評価された.AFB1の回収率は94.11 ± 4.62%であった.AFB1に加えて,本カラムはAFB2,AFG1とAFG2を,それぞれ98.22 ± 3.74%,92.22 ± 7.62%,83.00 ± 6.31%という回収率で回収できた.

     0.5gのSG-Ab- AFB1を充填した本カラムは,カラム1本当たり50 ngのAFを結合する能力を持ち,少なくとも5回は,回収率80%以上で再利用可能であった.

  • Wasana Chaisri, Wantanwa Mongkon, Yoshiko Sugita-Konishi, Dirk Van Dam ...
    2017 年 67 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     本研究は,飼料と農場の牛乳中AFM1汚染に関連する飼料管理因子を同定するために行った.全ての小規模酪農農家を対象に,2016年5月から6月の間に実施した.飼料と飼料管理のデータは集められた.大部分の農場では,粗飼料は草,干し草,とうもろこしを含む収穫後の農作物や,製粉後の外皮乾燥物(トウモロコシフスマ)や鞘と一緒に軸をゆでて乾燥させたもの(サイレージ)を含む地元のトウモロコシ工場からの副産物由来であった.市販の濃厚飼料は共同農場からの購入がほとんどであった.飼料管理因子は以下の項目を含む.市販濃厚飼料について:挽き割り粒子の有無,牛舎内への粗飼料パイルの保管:有無,粗飼料パイル表面へのかび付着:有無,牛乳中AFM1量はCharm EZ system(Charm sciences Inc., USA)を使用してCharm ROSA MRLAFMQ(Aflatoxin M1)Testにより測定した.Fisherのカイ二乗検定により,飼料と,AFM1汚染された飼料管理因子の交互作用を解析した.総計67農場のうち,最終分析できたのは50農場であった.サンプルの46%がAFM1に汚染されていることが結果から分かった.サイレージが使われている農場(62.5%)が,そうでない農場(30.8%)よりAFM1汚染率が有意に高かった.挽き割り粒子のある濃縮飼料が使われている農場(64.3%)でのAFM1汚染はP<0.01で挽き割り粒子なし(22.7%)よりも含有率が高かった.飼料管理について,牛舎内で(61.5%対29.2%)パイルとして保存されている粗飼料ではAFM1汚染含有率が高いのが特徴的であった.さらに,表面にかび付着があった粗飼料パイルは(60%対20%)AFM1汚染率が高かった(P=0.02).以上より,飼料と,飼料保管管理因子の両方が,牛乳中のAFM1汚染に関連していることが明らかとなった.

Note
  • Ei Ei Chaw
    2017 年 67 巻 2 号 p. 89-99
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     本稿は,2008年から2015年までの,ミャンマーの農作物(輸出用,国内消費用)におけるアフラトキシン汚染調査結果をまとめたものである.試料は,白米,破砕米,蒸米,ヤエナリ,黒ゴマ,白ゴマ,黒緑豆,バタービーン,キマメ,バンブービーンとイエローコーンである.

     総アフラトキシン量は,薄層クロマトグラフィーの目視判定で,ローマー社の方法により定量的に解析された.アフラトキシンB1は全ての汚染した試料において,高頻度で検出された.しかし,2014年の破砕米で,AFB1汚染無しでAFG1とAFG2が検出されたものが1点有った.いくつかの試料では,AFB1だけでなく,AFB2とAFG1の汚染が有った.4種のAF全てが検出されたものは無かった.2008年には,Yellow maize試料に最も高いAFB1汚染が見られた(30.35 ug/kg).それ以外は,最も汚染が高かった試料でも,EUとCodexにおけるアフラトキシンの許容値以下であった.

パート II(日本語論文)
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