旋回強度を広範囲に変え, 直径の100倍以上におよぶ充分長い円管を用いて旋回円管流れの実験を行い, 無旋回円管流れとの相違点, 特に圧力損失について研究を行った.円管内に旋回を伴う流れを流入した場合の流動状態は無旋回の円管流れの場合と大きく異なる.旋回の増加に伴い軸速度は壁側に偏り, 管中心部では軸速度が減少し遂に逆流が生じる.また接線速度分布は管全域に渡り強制渦の場合を除き, 組み合わせ渦の様相を呈する.旋回強度が強い場合, 軸速度と接線速度の合速度が無旋回円管流れに比べ著しく速くなるため, 圧力損失は著しく増大する.また旋回を有する円管流れでは充分下流まで境界層の発達は抑制され, 管壁近傍の乱れは無旋回円管流れとほぼ同等に保持される.一方, 旋回強度が弱い場合, 管直径と平均軸速度を基にしたレイノルズ数が無旋回円管流れの臨界レイノルズ数より高い領域でも管壁近傍の流れは再層流化されることから, 管壁近傍の合速度の半径方向の勾配が低く抑えられ, この領域では乱流域における無旋回円管流れよりも圧力損失が小さくなることが期待できる.ここでは円管の圧力損失に及ぼす旋回の影響について検討した結果について報告する.
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