両翼端が壁面で支持された一様流中の平板翼の後流特性が風洞実験で計測されると, そのスパン方向へ形成される後流のコヒーレント構造の要素となるセルはある大きさに保たれる.本研究は, このような流れ場で形成される後流のコヒーレント構造の生成メカニズムとその定常的な特性について解析したものである.三次元の数値計算による流れ場が流線と無次元ヘリシティーによって可視化されると, 縦渦が後流中に生成されることを捉えることができた.このとき, 後流中の渦度Ω
xは正負交互に回転しながらスパン方向へ10個のセルを形成した.翼表面上の境界層内部における摩擦応力の分布には, 後流中の渦度Ω
xと同様の分布がその後縁側で生じたが, その前縁側や翼表面上の大部分の領域には形成されなかった.後流中のスパン方向の渦運動が渦度輸送方程式の各生成項によって評価されると, レイノルズせん断応力ρ
v'
w'による渦度の生成が乱れによるものの中では最も大きく, かつその分布はスパン方向へ構造的に変化した.このレイノルズせん断応力ρ
v'
w'の運動が定在波を形成するとして整理されると, 定在波の運動を満足する条件が遠距離場後流でのコヒーレント構造に存在することがわかった.
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