高速の渦輪による渦音発生の研究の一理環として, 改良した渦輪発生装置を用いた実験を行った.この装置は従来の衝撃波管の代わりに電磁弁を用い, 渦度の集中した再現性のよい温渦輪を作ることができる.生じた渦輪を進行方向に垂直な軸をもつ円柱に衝突させ, 発生する音波の遠方場を測定した.音波ば, それぞれ特徴的な波形をもつ三つの成分にわけられる.それらは, 信号の出る時刻の早い順に, ノズルの出口の流量急変による音が直接くるもの, それが円柱で散乱されてくるもの, そして, 渦輪が円柱に衝突して発生する渦音, である.このうち, 渦音の円柱に垂直な面内の分布を調べると, 単極, 二重極, 四重極のそれぞれに相当する成分が混在することがわかった.これらの成分を分離し, 各々の強さの時間的変化を定めた.
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