日本内科学会雑誌
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100 巻, 2 号
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内科学会NEWS
特集 高血圧治療の未来への展開
Editorial
トピックス
I.診断
  • 長谷部 直幸
    2011 年 100 巻 2 号 p. 343-350
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高血圧の診療には正しい血圧測定が不可欠である.しかし,診療の現場では,その精度は軽視されがちである.家庭血圧測定の普及とともに,外来診察室での血圧測定の意義を問い直すべき時が来ている.おざなりな診察室血圧測定は確かに無意味である.正しい測定法を知り,精度を追求する基本が大前提である.同時に,医師自らが,部位や体位による血圧異常の検出など,診察室での血圧測定にどこまで意義と付加価値を見出し得るかが,これからのあり方を左右するとも言える.
  • 河野 雄平
    2011 年 100 巻 2 号 p. 351-356
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    家庭血圧の測定は高血圧の診療に有用で,高血圧治療ガイドラインにおいても推奨されている.白衣高血圧や仮面高血圧の診断は,家庭血圧または24時間血圧の測定なしには得られない.家庭血圧は一般には外来血圧より低く,これによる高血圧の診断基準は135/85mmHg以上である.心血管予後は外来血圧より家庭血圧との関連が強く,高血圧の管理は家庭血圧に基づいて行われることが望ましい.ただし,家庭血圧の応用にあたっては,測定値の信頼性などに留意を要する.
  • 苅尾 七臣
    2011 年 100 巻 2 号 p. 357-366
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    24時間血圧測定(ABPM)では,夜間睡眠中や昼間のストレス状況下を含めた24時間血圧コントロール状態に加えて,サーカディアンリズムやモーニングサージなど血圧変動性の評価ができる.これらのABPMの血圧指標は,家庭血圧測定では得られない個人の血圧特性を表し,診察室血圧とは独立した心血管リスクとなる.糖尿病,慢性腎臓病,臓器障害,睡眠時無呼吸症候群等を合併したハイリスク患者では,診察室血圧が正常でも血圧変動性が増大しており,夜間・早朝高血圧が多い.24時間血圧特性をABPMで評価し,個別高血圧診療に活かすことにより,ハイリスク患者の心血管リスクがさらに低減するであろう.
II.治療
  • 石光 俊彦
    2011 年 100 巻 2 号 p. 367-375
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    血圧と心血管疾患のリスクとの関係は正常血圧範囲においても直線的であり,予後改善のためには厳格な血圧コントロールが望まれる.減塩,減量,運動などの生活習慣の修正は軽症高血圧だけでなく降圧薬治療を行う場合にも効果を高めるために併行して総合的な指導を行う.利尿薬は低価な第一次薬であるとともに併用薬として有用性が高い.β遮断薬は頻脈や冠動脈狭窄に推奨されるが,代謝系の副作用から利尿薬との併用は好ましくない.Ca拮抗薬の降圧効果は確実かつ用量依存的であり,重篤な副作用はまれである.ACE阻害薬は糖尿病,CKD,心機能障害に積極的な適応となり,ARBはACE阻害薬と同等の臨床効果をもち,副作用は少なく忍容性が高い.降圧薬を併用する場合には,降圧機序とともに副作用の相加,相乗,相殺を考慮する.
  • 宮下 和季, 伊藤 裕
    2011 年 100 巻 2 号 p. 376-384
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高血圧治療の最も重要な目的は脳卒中,心筋梗塞など心血管病の発症進展,再発の予防であり,そのためには個々の患者に応じた目標血圧までの確実な降圧が重要である.なかでも糖尿病・メタボリックシンドロームを合併した高血圧患者は心血管病発症のハイリスク群であることから,適切な降圧によるメリットが大きく,厳格な高血圧治療が最も必要とされる患者群と考えられている.本稿では糖尿病とメタボリックシンドロームを合併した高血圧症例の適切な降圧目標と降圧薬ならびに,その根拠となる臨床研究につき概説する.我々が最近明らかにした心血管ホルモンによるミトコンドリアを介した酸素利用制御について,糖尿病,メタボリックシンドローム発症進展における心血管ホルモンの意義に関する知見を交えて紹介する.
  • 大蔵 隆文, 檜垣 實男
    2011 年 100 巻 2 号 p. 385-393
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高血圧患者の腎機能を評価するには,血清クレアチニンのみでは不十分であり,推定糸球体ろ過値による評価,さらに血清シスタチン値も参考にしながら,正確な腎機能評価を行う必要がある.慢性腎臓病は,末期腎不全のリスクとなるばかりでなく,心血管病のリスクでもあり,これらのリスクの軽減のためには厳格な血圧管理が最も重要である.降圧薬としては,ACE阻害薬もしくはアンジオテンシン受容体拮抗薬が第一選択薬であるが,併用が必要な場合は,利尿薬もしくはCa拮抗薬の使用が勧められるが,患者の病態を十分把握して選択する必要がある.
  • 赤澤 宏, 小室 一成
    2011 年 100 巻 2 号 p. 394-399
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高血圧は,圧負荷によって心肥大を誘導するとともに冠動脈硬化を促進することで,心血管イベントのリスクを増大させる.日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2009」では,心血管死亡率および心血管事故発症率を減少させるために,血圧を十分に低下させる必要性が強調されている.とくに心臓病を有する症例においては,個々の病態を理解し,それに応じて降圧目標の設定や降圧剤の選択を行う必要がある.
  • 北川 一夫
    2011 年 100 巻 2 号 p. 400-405
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者の大半は高血圧を危険因子として有しており,その管理は慢性期再発予防の最も重要な治療の一つである.脳卒中に伴った高血圧の管理は急性期と慢性期で大きく異なっており,急性期では原則として積極的に降圧しない場合が多く,反対に慢性期では厳格な降圧が再発予防目的に必要とされる.使用降圧薬も急性期は静脈投与可能な薬剤が優先的に用いられ,慢性期にはCa拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬などの使用が推奨される.
  • 浜田 紀宏, 久留 一郎, 重政 千秋
    2011 年 100 巻 2 号 p. 406-412
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高血圧と高尿酸血症・痛風は互いに合併しやすく,背景としてレニン・アンジオテンシン系,インスリン抵抗性,腎障害などの関与がある.両疾患を合併する患者に対しては,まず総合的臓器リスク回避を目指した生活指導のもと,まず降圧目標達成を目指す.血清尿酸値は心血管リスクの高い患者群を検出するために有用なマーカーである一方,尿酸降下療法が心血管イベント抑止に繋がるという直接的なエビデンスは乏しい.
  • 楽木 宏実
    2011 年 100 巻 2 号 p. 413-419
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高齢者は一般に心血管疾患発症に関してハイリスク集団であり,原則としては厳格な降圧が有用と考えられるが,降圧目標について十分なエビデンスはまだない.超高齢者や糖尿病・慢性腎臓病合併の75歳以上高血圧患者でのエビデンスも不十分である.注意深い病態の観察と共に,QOL(quality of life)やADL(activities of daily living)にも配慮した治療が望まれる.
III.最近の話題
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
専門医部会
シリーズ:内科医に必要な救急医療
第6回東北支部教育セミナーまとめ
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 問題
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:「一目瞭然!目で見る症例」
シリーズ:指導医のために:プロフェッショナリズム
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 解答
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