日本内科学会雑誌
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100 巻 , 4 号
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【緊急声明】東日本大震災における本会の対応と取り組みについて
【緊急声明】東日本大震災における本会の対応と取り組みについて(抜粋)
特集 肥満症:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.診断と関連検査
  • 宮崎 滋
    2011 年 100 巻 4 号 p. 897-902
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肥満者が急激に増加している.肥満は脂肪組織が過剰に蓄積した状態をいい,BMI 25以上で判定する.肥満症は,肥満と判定されかつ肥満に起因ないし関連した健康障害があるか,あるいは内臓脂肪が過剰に蓄積した病態をいう.肥満症とは治療すべき肥満である.肥満は,糖尿病,脂質異常症,高血圧などの生活習慣病の原因になるだけでなく,心血管疾患,脳血管疾患,癌などを引起す原因となる.
  • 津下 一代
    2011 年 100 巻 4 号 p. 903-910
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    特定健診・特定保健指導はメタボリックシンドローム(MetS)の概念を活用した予防医学の実践であり,検査データ異常の上流にある内臓脂肪の減少を目的とした原因療法である.積極的支援の6カ月後評価では体重3.0kg減でMetS減少率は54%.体重4~6%以上の減量により血圧・脂質・糖代謝の改善を認め,1年後の健診で継続効果を確認できた.対象者の行動変容を促し,健康管理の方法を身につけられる保健指導方法の研究と研修が重要である.
  • 前田 法一, 下村 伊一郎
    2011 年 100 巻 4 号 p. 911-916
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    脂肪蓄積とくに内臓脂肪蓄積はアディポサイトカイン分泌異常を生じ,これら分泌異常がメタボリックシンドローム発症に直結することが明らかになってきた.その中でも,アディポネクチンは肥満で血中濃度が低下する唯一のアディポサイトカインである.当教室はアディポネクチンを発見し,機能解析・病態解析を行い「低アディポネクチン血症」が糖尿病・動脈硬化をはじめとする様々な病態に深く関与していることを明らかにしてきた.
II.治療の進歩
  • 吉松 博信
    2011 年 100 巻 4 号 p. 917-927
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肥満症治療では食事・運動療法が用いられる.しかしその実行と継続は困難で,リバウンドすることも多い.肥満を助長する因子は過食や運動不足以外にも数多く存在する.したがって,肥満症患者一般ではなく,患者固有の問題点をそのライフスタイルの中から抽出し,治療に応用する行動療法的アプローチが必要になる.エネルギーバランスの是正だけでなく,ライフスタイルそのものが変容することで,減量とその長期維持が可能になる.
  • 中里 雅光
    2011 年 100 巻 4 号 p. 928-933
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    近年,肥満者の増加と,肥満を基礎にして発症する糖尿病,脂質代謝異常,高血圧症などの肥満症やメタボリックシンドロームを呈する患者数が増加している.生活習慣病の根底にある肥満の治療は食事療法や運動療法といった生活習慣の変容が基本であるが,現実的には困難であり,減量に成功する症例は少ない.最近,さまざまな摂食調節ペプチドの同定や各因子間のネットワークを含めた摂食調節機構の解析が進んでおり,摂食調節物質そのものや受容体をターゲットにした創薬により,新しい抗肥満薬が開発され実用化されつつある.
  • 平下 禎二郎, 太田 正之, 北野 正剛
    2011 年 100 巻 4 号 p. 934-938
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    近年の肥満人口の増加に伴い,肥満外科手術が注目され,高度肥満に対する確立した治療法の一つとなっている.現在,世界中で年間34万例,わが国では年間70~80例の肥満外科手術が施行されている.わが国では腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG),腹腔鏡下調節性胃バンディング術(LAGB),腹腔鏡下Roux-en-Y胃バイパス術(LRYGB)などの手術が行われ,良好な成績をあげている.肥満外科手術の適応はBMIが40kg/m2以上であるか,BMIが35kg/m2以上で重症の肥満関連合併疾患を持つ症例とされているが,今後さらに適応を拡大していく傾向にある.現在わが国ではいずれの腹腔鏡下肥満外科手術も保険収載されていないものの,今後ますます増加していくものと予想される.
III.肥満症とその合併症
  • 門脇 孝
    2011 年 100 巻 4 号 p. 939-944
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    疫学的にみて肥満と糖尿病の間には密接な関係がある.日本人やアジア人はBMI25程度の小太りでも糖尿病になりやすい.逆に,2~3kgの体重減少でも糖尿病発症は著明に抑制される.肥満の中でも,特に内臓脂肪蓄積はアディポネクチン低下などによりインスリン抵抗性を惹起し,インスリン分泌低下の素因を有する者に糖尿病を発症させる.肥満を伴った糖尿病の治療の上で,食事・運動療法とともに,インスリン抵抗性改善薬・インクレチン関連薬が有用である.
  • 島本 和明
    2011 年 100 巻 4 号 p. 945-949
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肥満高血圧の昇圧機序には,血行動態,内分泌因子,そしてアディポサイトカインの異常が関与する.病態の中心には,これら諸因子の異常に起因するインスリン抵抗性が位置し,治療を考える上でも肥満の是正と共にインスリン抵抗性を改善する降圧薬を用いることになる.インスリン抵抗性を改善する降圧薬としては,ARB,ACE阻害薬,α遮断薬,Ca拮抗薬があげられるが,ARB,ACE阻害薬を中心に薬剤が選択される.本邦においてもCASE-Jにおいて肥満高血圧におけるARBの有用性が示されている.
  • 及川 眞一
    2011 年 100 巻 4 号 p. 950-957
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肥満症は糖尿病や高血圧の危険因子と認識されていたが,内臓脂肪の機能が解明され内臓脂肪蓄積過剰に基づく病態が理解されるようになった.いわゆるメタボリックシンドローム(MetS)である.この病態に特異的な脂質異常症が見られるわけではないが,特徴的変化として高TG血症が挙げられる.ここではいわゆるアディポカインなどの因子,あるいは臓器関連の問題が考えられる.本項ではこのような面からMetSと脂質代謝を中心にまとめたい.
  • 岸田 堅
    2011 年 100 巻 4 号 p. 958-965
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肥満,なかでも内臓脂肪の過剰蓄積状態は,内臓脂肪細胞が肥大化するといった単なる形態学的異常のみならず,生体のエネルギー過剰状態に基づき血圧異常,脂質および糖代謝の異常を起こし,またアディポサイトカインの分泌異常といった質的異常によって,動脈および静脈などの動脈硬化性・血栓性の血管合併症を引き起こす肥満症という疾患として捉えることができる.本稿では,肥満症と血管合併症の関連性とその対策を概説する.
  • 大井 元晴, 陳 和夫
    2011 年 100 巻 4 号 p. 966-974
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    睡眠時間の減少がどのような影響を与えるか不明であったが,近年,短時間睡眠と体重増加,また,高血圧,糖尿病,メタボリック症候群などとの関連を示すデータが蓄積されつつある.肥満と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の重症度との関係は,一般的にはBMIが増加すれば,より重症となり,減量により低下する.頸部脂肪,腹部脂肪の蓄積により重症化するが,腹部肥満はCPAP療法により改善する可能性があり,OSAにより悪化し,悪循環を形成している可能性がある.
  • 河田 純男
    2011 年 100 巻 4 号 p. 975-982
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    わが国において先進国型の癌,すなわち,大腸癌,乳癌,前立腺癌などが増加している.これには食事の欧米化および運動不足による肥満の増加が大きな要因と考えられている.肥満における発癌のメカニズムとしてアディポサイトカイン分泌異常やインスリン抵抗性にともなう高インスリン血症などがあげられている.今後,肥満が発癌のもっとも主要なリスクの一つになることが予想され,癌予防としての肥満対策が求められている.
IV.最近の話題
  • 島袋 充生, 山川 研, 益崎 裕章, 佐田 政隆
    2011 年 100 巻 4 号 p. 983-988
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    遊離脂肪酸はエネルギー基質であると同時にさまざまなシグナル分子の基質でもあり,インスリン作用,インスリン合成・分泌に影響を与える.肥満症にともなう過剰な遊離脂肪酸は,耐糖能を悪化させる.遊離脂肪酸によるインスリン作用の障害を(広義の)脂肪毒性,インスリン分泌能に及ぼす悪影響を膵β細胞脂肪毒性(狭義の脂肪毒性)と呼ぶ.最近,脂肪組織以外の臓器に蓄積する脂肪(異所性脂肪)の動態に注目が集まっており,各臓器で何らかの病的意義を有する可能性がある.
  • 菅波 孝祥, 小川 佳宏
    2011 年 100 巻 4 号 p. 989-995
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    肥満を中心として発症するメタボリックシンドロームの基盤病態として慢性炎症が注目されている.最近,マクロファージを中心とする免疫担当細胞が肥満の脂肪組織に浸潤し,アディポサイトカインと総称される生理活性物質の産生異常を招来することにより,メタボリックシンドロームの病態形成に中心的な役割を果たすことが明らかになってきた.本稿では,肥満の脂肪組織に浸潤するマクロファージに焦点を当てて,脂肪組織炎症の分子機構に関する最近の知見を概説する.
  • 和田 淳, 勅使川原 早苗, 中司 敦子, 槇野 博史
    2011 年 100 巻 4 号 p. 996-1001
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    バスピン(vaspin)は肥満ラットの内臓脂肪から発見されたアディポサイトカインである.肥満マウスへのリコンビナント蛋白の投与実験から肥満症におけるインスリン抵抗性を改善する代償因子であると考えている.バスピンはヒトの血中にも存在し,肥満症においては体格指数,インスリン抵抗性指数と正相関を認めるとの報告が多い.また2型糖尿病でも血中濃度が増加し,女性で高値である.アディポネクチンやレプチンとは異なった血中濃度動態を示しており肥満症治療の新たな分子ターゲットである.
  • 大内 乗有
    2011 年 100 巻 4 号 p. 1002-1007
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインは,肥満症の病態に深く関与している.最近,Secreted frizzled-related protein 5(Sfrp5)は,脂肪組織に高発現するアディポサイトカインであり,脂肪組織における炎症反応を抑制し,全身代謝異常に防御的に作用することが明らかとなった.Sfrp5は肥満に伴う代謝異常の病態解明に対する新たな標的分子になる可能性が示唆される.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 鈴木 克洋
    2011 年 100 巻 4 号 p. 1058-1066
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    非結核性抗酸菌(NTM)は結核菌群以外の培養可能な抗酸菌の総称であり,同菌による肺の感染症が肺NTM症である.肺M. avium complex(MAC)症は同症の80%以上を占め,画像により結節・気管支拡張型と線維空洞型に分類される.近年50代以降の女性の結節・気管支拡張型肺MAC症が顕著に増加している.NTMは環境寄生菌であり,ヒトからヒトへの感染は否定されている.逆に検体からのNTM検出のみでは診断できず,診断基準を満たす必要がある.その概要は肺NTM症に合致する画像所見があり,喀痰から2回同一NTMが培養される事である.肺MAC症の治療はクラリスロマイシンを中心とする化学療法で行うが,その成績は満足できるものではない.従って空洞や気管支拡張などが切除可能範囲に限局している場合,化学療法に外科療法の併用を考慮する.
  • 窪薗 琢郎, 宮田 昌明, 鄭 忠和
    2011 年 100 巻 4 号 p. 1067-1075
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    我々は平成元年より慢性心不全患者に対し和温療法を施行し,心不全症状の改善,心・血管機能の改善,不整脈の減少,自律神経や神経体液性因子の是正,予後の改善など様々な効果を発揮することをこれまで明らかにしてきた.また,心不全モデルハムスターを用いた動物実験で,和温療法は内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現とNOの産生を亢進することを証明した.これは,和温療法の効果発現の機序の一つと考えられる.また和温療法は間歇性跛行をはじめ難治性の虚血性潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症に対して有効な治療方法であることを明らかにし,大腿動脈結紮による下肢虚血モデル実験で,和温療法はeNOS発現を亢進し,血管新生を促進することを証明した.
    和温療法は,その他さまざまな難治性疾患にも応用することが可能で,今後一層の普及・発展を期待する.
  • 松本 英之, 宇川 義一
    2011 年 100 巻 4 号 p. 1076-1083
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    脳脊髄液減少症は,従来,低髄液圧症候群と呼ばれていた疾患とほぼ同一の病態の疾患である.その病態が脳脊髄液の減少に起因すると考えられるため,脳脊髄液減少症がより適切な疾患名となっている.脳脊髄液の減少により,頭痛,頸部痛,めまい,耳鳴,視機能障害,倦怠・易疲労感など様々な症状を呈する疾患と定義される.本疾患の診断に有用な画像診断法には,頭部MRI(magnetic resonance imaging)やRI脳槽・脊髄液腔シンチグラムが挙げられ,治療は安静臥床,輸液による保存的治療と硬膜外自家血注入療法が一般的である.脳脊髄液減少症は未だ医療関係者の間でも十分に認識されているとは言い難く,しばしば誤った診断,治療がなされている.現在,厚生労働省の班会議「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する調査研究」で,脳脊髄液減少症の診断・治療指針(ガイドライン)の作成を目標とした研究が進行中であり,その調査結果が待たれるところである.
専門医部会
シリーズ:内科医に必要な救急医療
第7回東北支部教育セミナーまとめ
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 問題
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:「一目瞭然!目で見る症例」
シリーズ:指導医のために:プロフェッショナリズム
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 解答
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