日本内科学会雑誌
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101 巻, 8 号
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内科学会NEWS
目次
特集 内科疾患と脳神経疾患:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.高血圧,心疾患と脳神経疾患
II.糖尿病と脳神経疾患
III.脂質異常と脳神経疾患(脳梗塞,認知症)
IV.慢性腎臓病(CKD)と脳神経疾患
  • 柏原 直樹
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2195-2203
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病CKDは心血管病発症と強く連関している.とりわけ日本人では,CKDと脳神経疾患との結びつき(脳腎連関)が深い.CKD患者は脳卒中,認知機能障害,認知症を発症するリスクが高く,無症候性脳梗塞の合併率も高い.CKD患者が脳卒中を合併すると生命予後も不良となる.透析患者では脳卒中リスクは一層高まり,従来は脳出血が主体であったが,近年は脳梗塞が増加している.生活習慣病診療においては,脳心腎連関を念頭においた包括的なリスク管理が求められる.
V.生活習慣病と認知症
  • 島村 宗尚, 里 直行, 森下 竜一
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2204-2211
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    近年の疫学研究では,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病と認知症の関連性が報告されている.これらの生活習慣病は従来,血管性認知症の危険因子とされてきたが,Alzheimer病の危険因子でもある可能性が注目されている.生活習慣病の治療による認知症の発症予防および進行抑制についての結論は得られていないのが現状ではあるが,基礎研究からは有望な結果も報告されており,今後の臨床研究による解明が待たれる.
VI.肝胆膵,消化管疾患と脳神経疾患
VII.呼吸器疾患と脳神経障害
  • 松永 和人, 一ノ瀬 正和
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2219-2225
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    呼吸器系は,肺,胸壁,肺循環,中枢神経系から構成される.呼吸中枢は,肺胞のガス交換である換気を調節する.換気障害は,中枢神経の呼吸ドライブ,呼吸神経筋,肺換気の障害により生じ,低酸素血症を伴う高二酸化炭素血症の原因となる.最近,増加している睡眠時無呼吸症候群は,心血管・脳血管の障害や糖尿病と深く関連する.さらに,Churg-Strauss症候群は呼吸器と脳神経を系統的に障害する血管炎症候群として重要である.
VIII.内分泌,代謝疾患と脳神経疾患
  • 清水 文崇, 神田 隆
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2226-2231
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    Wernicke脳症はビタミンB1欠乏を基盤とする疾患であるが,最近,チアミンのトランスポーター遺伝子変異によりWernicke脳症と類似した臨床的特徴をもつ兄弟例が報告された.周期性四肢麻痺は繰り返す四肢の弛緩性麻痺発作を特徴とする疾患であり,骨格筋細胞膜イオンチャネルの変異によるチャネル病として注目されている.重症筋無力症の原因となる新規自己抗体として,最近抗MuSK抗体や抗Lrp4抗体が同定された.橋本脳症は甲状腺に対する自己抗体が病態に関与する自己免疫性脳症であり,免疫学的治療に反応する.浸透圧性脱髄症候群は慢性低ナトリウム血症に対する急速な電解質補正が発症に関わる.
IX.血液疾患と脳神経疾患
  • 内山 真一郎
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2232-2237
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    血液凝固異常症には血栓性素因と出血性素因があり,各々脳梗塞と脳出血の原因となる.血栓性素因には血小板異常症,血液凝固異常症,過粘稠症候群があり,出血性素因には薬剤性,血小板異常症,血液凝固異常症がある.脳梗塞の原因となる血栓性素因としては,血栓性血小板減少性紫斑病,ヘパリン起因性血小板減少症,抗リン脂質抗体症候群,Trousseau症候群,凝固阻止因子欠乏症などが挙げられ,脳出血の原因となる出血性素因としては,抗血栓薬使用の他には先天性血小板機能異常症や血友病が挙げられる.
  • 桑原 聡
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2238-2241
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    M蛋白を伴う末梢神経障害の代表的なものとして原発性アミロイドーシス,Crow-Fukase(POEMS)症候群,抗ミエリン関連糖蛋白抗体を伴う脱髄性ニューロパチーが挙げられる.アミロイドーシスでは自律神経症状や疼痛を主体とする小径線維障害が特徴的である.Crow-Fukase症候群ではびまん性脱髄が,抗ミエリン糖蛋白抗体ニューロパチーでは多巣性脱髄がみられる.各病型の特徴に基づいて早期の診断・治療を行う必要がある.特に近年Crow-Fukase症候群に対する治療は大きく進歩している.本稿では各病型における臨床的特徴,病態,診断・治療の現状について概説する.
X.膠原病と脳神経疾患
XI.癌と脳神経疾患
XII.女性と脳神経疾患
XIII.感染免疫と脳神経疾患(Guillain-Barré症候群, Fisher症候群,Crow-Fukase症候群,インフルエンザ脳症, AIDS脳症)
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 市原 淳弘
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2310-2315
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    レニンやプロレニンに結合する(プロ)レニン受容体[(P)RR]は,脳,心臓,腎臓など全身の重要臓器に広く分布し,プロレニンを活性化して組織アンジオテンシンII産生に関与する.また,レニンやプロレニンによる(P)RR刺激は細胞内シグナルが惹起し,腎疾患の発症と進展へのこれら(P)RR作用の関与が示唆されている.一方,腎糸球体上皮細胞において,(P)RRのATP6AP2部分は生理的に液胞型プロトンATPaseの形成と機能維持に必須な役割を担っており,液胞型プロトンATPaseが調節するオートファゴソーム内のpHを調節してオートファジーが正常に働くよう貢献している.オートファジーは腎糸球体上皮細胞障害に対し保護的に働く機構であるため,今後,プロレニンの活性化を抑制しつつ(P)RRのATP6AP2部分を維持あるいは増強するような分子標的治療の開発が望まれる.
  • 橋本 悦子
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2316-2321
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    脂肪肝は,血液生化学診断マーカーがなく,また,ASTやALT正常の症例も少なくないため,超音波検査などの画像検査で診断される.そして,その病因からアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)に分類され,さらに,NAFLDは,病的意義の少ない単純脂肪肝と肝硬変へと進行するNASH(non-alcoholic steatohepatitis)に分類される.NASHの診断は,病理診断を要するため,日常診療ではNAFLDとして扱われることが多い.NAFLDは,肥満を主な病因とし,わが国成人の10~40%が罹患する国民病である.なお,NAFLDには,アルコール性肝障害をきたさない少量飲酒者を含む(エタノール換算20g/日以下:日本酒換算1合/日以下).治療は,食事と運動療法を中心とした肥満や生活習慣病の治療により脂肪肝を治療することと,NASH進展に対して,抗酸化薬や肝庇護剤が投与される.
  • 永井 宏和
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2322-2329
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫は大きくHodgkinリンパ腫と非Hodgkinリンパ腫に分類される.WHO分類(第4版)での病理診断は50種類を超える.治療選択は各病型により異なり,化学療法や放射線療法が中心となる.Hodgkinリンパ腫ではABVD療法,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫においてはリツキシマブ併用CHOP療法が標準療法であるが,標準治療が確立していない領域も多い.治療法の選択は,臨床病期・年齢・全身状態などの臨床的特徴を十分検討したうえで適切に行わなければならない.
  • 成瀬 光栄, 田辺 晶代, 立木 美香, 難波 多挙, 中尾 佳奈子, 津曲 綾, 臼井 健, 田上 哲也, 島津 章
    2012 年 101 巻 8 号 p. 2330-2338
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/10
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫は治癒可能な内分泌性高血圧と位置づけられる一方,その約10%を占める悪性褐色細胞腫は早期診断法および確立された治療法のない希少難治性がんである.厚労省研究班の調査の推計患者数は約300人である.初回手術時にはその約30%以上が良性と診断され,一定期間後に骨,肝臓,肺などへの転移および局所浸潤を認める.病理組織所見の組み合わせによるスコアリング,SDHB遺伝子変異が悪性診断に有用とされるが,精度,感度,特異度はさらに検討を要する.治療はカテコールアミンの過剰があればαブロッカーを基本とする降圧治療を実施する.悪性では131I-MIBGの取り込みが十分なら内照射,取り込みがないならCVD化学療法が一般的であるが,いずれもわが国では厳密には適応外で,かつ無効例でのセカンドライン治療はない.近年,キナーゼ阻害薬のスニチニブの有効性が注目されており,海外では臨床試験が進行中である.本疾患は希少疾患であることから,個々の施設で単独の取組をするのではなく,多施設の連携,協力にて取組むことが重要である.
専門医部会
シリーズ:内科医に必要な救急医療
第14回東海支部専門医部会教育セミナー
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 問題
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:指導医のために:プロフェッショナリズム
シリーズ:「一目瞭然!目で見る症例」
シリーズ:内科医と災害医療
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 解答
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