自己免疫応答は,甲状腺,膵臓,神経筋接合部など,種々の臓器,器官の疾患に,重要な役割を担っていることが明らかにされてきた.このことは,これまで免疫学的に隔離されている領域とされてきた中枢神経系においても例外ではない.多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎,腫瘍随伴性脳脊髄炎,primary angiitis of the central nervous systemなど,中枢神経系を主座とする自己免疫疾患が知られている.そして,全身性エリテマトーデス(SLE)や抗リン脂質抗体症候群,Behçet病,Sjögren症候群,サルコイドーシスなど,多臓器病変を特徴とする膠原病およびその類縁疾患においても,中枢神経系が主たる病変部位となることがある.本稿では,紙数の関係から幾つかの膠原病に絞り,その中枢神経病変について述べていきたい.