日本内科学会雑誌
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102 巻, 12 号
選択された号の論文の32件中1~32を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 臨床検査の新時代
Editorial
トピックス
I.総論
II.各論
  • 西尾 善彦
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3110-3116
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    HbA1cは糖尿病診療で最も重要な臨床検査値のひとつであるが,その値は国際標準化が進んでおらず日本においては永らく独自の値であるJDS値を用いていた.2012年4月より事実上の国際標準値であるNGSP値を日本でもJDS値と併用という形で導入され,2014年4月よりはNGSP値のみの使用となる.このような変更の背景とHbA1c値の持つ意義,問題点についてあらためて振り返ってみる.
  • 塚本 和久
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3117-3124
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    脂質異常症の診断・管理には,LDL-C, HDL-C,およびTGが用いられるが,測定されるこれらの値が正確で信頼できるものであることは必須である.本稿では,まずこれら脂質測定におけるグローバルな基準法および日常臨床での測定法を比較するとともに,これら測定法における問題点について述べた後,脂質異常症の病態把握に必要な脂質関連検査についても言及する.
  • 長井 幸二郎, 土井 俊夫
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3125-3132
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    CKDは日本の成人人口の約13%,1,330万人がかかえるcommon diseaseである.心血管疾患発症のリスクが高く,その対策は重要課題となっている.またAKIはごく早期の腎機能低下でも患者の予後におおきな影響を与えることが明らかになり,新たな定義が提唱された.その診断に使われる臨床検査について,特に実地臨床で広く使われ出したeGFR(estimated GFR)の注意点を中心に述べる.
  • 前川 真人
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3133-3139
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    現在使用されている腫瘍マーカーは健常でも産生されており,腫瘍以外にも炎症などの良性疾患や生理的変動でも増加するため,利点と欠点(限界)を熟知した上で使用することが重要である.最近の新しいバイオマーカーは,disease based biomarkerとdrug based biomarkerに分類され,前者は癌の診断やタイプ分類,後者は治療法の選別や予後の推定,副作用予測に使用される.
  • 通山 薫
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3140-3146
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    近年の分子生物学・情報科学の進歩は造血器腫瘍の病因・病態の解明を促進し,疾患病型分類の進化,分子標的療法の開拓をもたらした.さらに造血幹細胞移植の進歩と相まって,今や造血器腫瘍は治癒指向的治療が可能な領域となりつつある.それを実現すべく,優れた自動分析装置の開発と運用,標準化され信頼度の高い検査データの提供と高感度検査による腫瘍の精緻なモニタリングなどを通して,診療の向上に貢献していくことが臨床検査部門の使命である.
  • 小嶋 哲人
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3147-3153
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    血栓症は欧米白人に多い疾患とされてきたが,近年日本人にも少なくないことがわかってきている.日本人にもみられる血栓性素因としてアンチトロンビン(AT),プロテインC(PC),プロテインS(PS)の欠乏症や分子異常症があるが,本稿では,これらAT, PC, PSの活性値や抗原量の従来から用いられている臨床検査法とともに,新しい血栓性素因・アンチトロンビンレジスタンスの臨床検査法の開発について概説する.
  • 沢田 哲治
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3154-3159
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    自己抗体は膠原病およびその類縁疾患の診断や病型分類などに用いられてきた.近年報告された比較的新しい自己抗体として,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)では抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)が実地臨床で用いられている.ACPAはリウマトイド因子と同等の感度を維持しつつ特異度に優れた自己抗体であり,関節予後とも相関する.抗RNAポリメラーゼIII抗体はびまん型強皮症に特異性が高く,抗RNAポリメラーゼIII抗体の特徴として,陽性例では腎クリーゼの発症リスクが高い.また,近年,皮膚筋炎に特異的な自己抗体として,悪性腫瘍や間質性肺炎などの臨床像と関連する抗TIF1-γと抗MDA5抗体が報告されている.近年,生物学的製剤や経口分子標的薬など治療薬の進歩は著しく,自己抗体を含め,自己免疫性疾患の早期診断や病型分類,疾患活動性モニタリングに有用なバイオマーカーの開発が待たれる.
  • 大門 雅夫
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3160-3166
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    早期に循環器疾患のリスクを評価し,病態を的確に診断するために侵襲の少ない臨床検査は重要な役割を果たす.様々なバイオマーカーが動脈硬化の指標として臨床の場で使われるようになっている一方で,血管内皮機能や動脈硬化度を見るために脈管機能検査,中心血圧や24時間血圧測定などの血圧検査,3次元心エコーをはじめとする画像診断などの進歩も見られる.これらの臨床検査の有用性と限界を理解し,臨床に生かしていくことが望まれる.
  • 髙井 大哉
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3167-3173
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    呼吸機能検査は,スパイロメトリー,フローボリュームカーブ,肺気量分画,拡散能など手法が確立した検査項目が多い.一方で,実験的な検査が試みられるも,一般的に用いられるようなものは多くはなかった.最近になって広域周波オッシレーション法および,呼気一酸化窒素濃度計測が保険収載されて,その利用は広まっている.本項では,これらの検査の歴史や,意義,そしてその解釈について概説する.
  • 荒田 仁, 大窪 隆一, 渡邊 修, 髙嶋 博, 橋口 照人
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3174-3182
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    従来,神経疾患領域においてはバイオマーカー開発は困難とされてきた.しかし近年は次々に新しい知見が発見され,ADにおけるアミロイドβなど,多くの神経疾患で早期診断・発症に関わる因子の解明が進められつつある.今後大規模な治験を導入し新しい治療法を開発するためにも,早期診断が可能となるより簡便で正確な早期スクリーニングのためのバイオマーカーの開発をすすめなくてはならない.
  • 舘田 一博
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3183-3189
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    近年,免疫クロマト法を用いた抗原検出法やmultiplex PCR法,LAMP法などの遺伝子検査の感染症診断への応用が進んでいる.また,質量分析機器の導入は細菌の同定検査に大きなインパクトをもたらした.しかしまだ,臨床が満足できる微生物検査法の確立には至っていないというのが現状である.検体採取から原因菌の推定・薬剤感受性まで30分,感染/コロニゼーションの鑑別を可能にする検査法など,新しい技術を取り入れた次世代感染症診断法の開発が期待される.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 伊東 大介, 鈴木 則宏
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3230-3236
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    2006年,Takahashiらにより発表された体細胞の初期化法(リプログラミング)は,数個の遺伝子導入により胚性幹細胞に匹敵する多分化能を有する人工多能性幹細胞を作成することを可能にした.このiPS細胞をもちいて拒絶反応のない再生医療が今まさに実現となりつつある.一方,神経疾患の研究においては,これまで生体よりの入手が困難であった疾患組織をiPS細胞から多量に作成することが可能となり,画期的な研究マテリアルとして期待されている.特に,ここ数年間で疾患iPS細胞研究は神経変性の病態理解に大きな進展をもたらしつつある.本稿では,これまでのiPS細胞研究により見出された神経疾患における知見を概説し,今後の病態解明,創薬への可能性について論じる.
  • 石原 寿光
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3237-3243
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    グルカゴン分泌抑制作用を有するインクレチン関連薬(DPP-4阻害薬およびGLP-1受容体作動薬)が,2型糖尿病治療の現場に登場し,予想以上の効果が認められている.まだまだ,しっかりとした臨床研究は少なく検証が必要であるが,インクレチン関連薬による2型糖尿病患者の血糖コントロール改善においては,グルカゴン分泌抑制が重要な役割を演じていると考えられる.このことは,裏を返せば,糖尿病・高血糖の病態形成において,グルカゴンが本質的に関与していることを示している.1970年台に,糖尿病の成因として,インスリン分泌不全とともにグルカゴン分泌の過剰の重要性が叫ばれたが,その後40年近く,研究の難しさもあって,ふたをされてしまってきた.インクレチン関連薬登場以降のグルカゴンへの再評価は,基礎研究と臨床応用が,互いにその進歩を刺激してきた結果であり,今後のさらなる発展に期待したい.
  • 照屋 勝治
    2013 年 102 巻 12 号 p. 3244-3252
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    HIV(human immunodeficiency virus)感染症は単なる「細胞性免疫不全を来す疾患」ではなく,慢性ウイルス血症による「全身性炎症性疾患」であり,それに伴い虚血性心疾患のリスク増加を含む,多様な病原性を示すことが明らかになってきている.治療開始時期は次第に早期化へ向かっており,米国では2011年にHIV感染者全員を治療の適応とする推奨がなされた.二次感染者を減少させるという予防戦略としての“treatment as prevention”という概念や,非HIV感染者に曝露前予防として抗HIV薬を用いることにより二次感染を予防しようとする試み(PrEP)も始まっている.かつては致死的疾患であったHIV感染症は,治療薬の進歩により患者の生命予後は著明に改善した.しかしながら,長期服薬に関連する既知および未知の副作用の懸念や,薬剤耐性ウイルスの蔓延リスクなどの懸念もあり,決して予断を許す状況ではない.一方,予後の改善に伴う患者の高年齢化により,これまでにはなかったさまざまな問題に対する対策の必要性も出てきている.
専門医部会
第14回専門医部会北陸支部オープンカンファレンスまとめ
シリーズ:「一目瞭然!目で診る症例」
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