日本内科学会雑誌
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102 巻, 2 号
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内科学会NEWS
目次
特集 動脈硬化症:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.疫学
  • 清原 裕
    2013 年 102 巻 2 号 p. 274-281
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    久山町研究によれば,地域住民では時代とともに高血圧治療が普及し喫煙率が減少したが,その反面,肥満,脂質異常症,糖代謝異常などの代謝性疾患や慢性腎臓病が急増した.追跡調査の成績では,心血管病の発症リスクは血圧レベルの上昇に伴い増加し,正常血圧のレベルでも有意に高かった.また糖尿病,高LDLコレステロール血症,慢性腎臓病は心血管病の有意な危険因子であり,喫煙と高コレステロール血症の間に相乗効果が認められた.
  • 三浦 克之, 上島 弘嗣
    2013 年 102 巻 2 号 p. 282-288
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    NIPPON DATA80/90/2010は国による循環器疾患基礎調査,国民栄養調査,国民健康・栄養調査のコホート研究である.国民代表集団コホートに位置づけられる本研究からは,血清コレステロールと冠動脈疾患リスク,血圧と各種循環器疾患リスクとの明確な関連が明らかにされた.NIPPON DATAリスク評価チャートは,日本人のための絶対リスク評価ツールとして,新しい動脈硬化性疾患予防ガイドラインにも活用されることになった.
II.促進因子病因と病態
  • 黒田 淳哉, 北園 孝成
    2013 年 102 巻 2 号 p. 289-296
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    脳卒中,特に非心原性脳梗塞は,脳・頸動脈の動脈硬化進展の結果引き起こされる疾患として重要である.脳卒中の最大の危険因子は高血圧であるが,近年,糖代謝異常,脂質異常症,メタボリックシンドロームといった代謝性疾患が増加し,危険因子としての重要性が増している.慢性腎臓病(CKD)も最近,動脈硬化促進因子として注目されている.喫煙などの生活習慣も含めて,危険因子を重複して有している場合も多く,リスクを適切に評価して個々の症例に応じた対策を積極的に行っていくべきである.
  • 稲葉 真由美, 杉岡 憲一, 上田 真喜子
    2013 年 102 巻 2 号 p. 297-304
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    ヒト冠動脈における動脈硬化性プラークでは,内皮細胞の機能障害の進行や,傷害の反復によって炎症細胞の集積が増強し,プラークの不安定化が進行する.破裂性プラークやびらん性プラークは代表的な不安定プラークである.最近,病理学的研究により,ヒトのプラーク不安定化における好中球浸潤やミエロペルオキシダーゼ(MPO)放出の意義が明らかとなり,さらにプラーク内出血や赤血球血栓と酸化ストレス亢進との関連性も明らかにされつつある.
  • 田中 君枝, 佐田 政隆
    2013 年 102 巻 2 号 p. 305-312
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    動脈硬化は血管の慢性炎症であると考えられている.近年,糖尿病,高血圧など動脈硬化に関与する病態も組織慢性炎症との関連が示唆され,これらは全身的な炎症による一連の疾患ととらえられている.一方で,動脈硬化病変局所において隣接する組織との関連も注目されている.著者らは,骨髄細胞のレニン・アンジオテンシン系,血管外膜微小血管,血管周囲脂肪組織の,病変局所における動脈硬化促進作用の重要性を報告した.
III.診断の進歩
IV.治療の進歩
  • 松丸 祐司
    2013 年 102 巻 2 号 p. 354-359
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    worldwideの動脈硬化性疾患の登録研究であるREACH(the REduction of Atherothrombosis for Continued Health)Registryにおいて,日本は他国と比較し脳卒中の割合が多いことが示された.頸部頸動脈と頭蓋内血管はアテローム血栓症の好発部位であり,脳梗塞の原因として重要である.TIAや脳梗塞を発症した場合すみやかな対処が必要である.脳梗塞予防には抗血小板薬を中心とした内科治療が中心となるが,頸部頸動脈狭窄症に対しては,それに加え外科治療や血管内治療を施行し,頭蓋内血管狭窄症に対してはより積極的な内科治療をすべきである.
  • 遠藤 光明, 木村 一雄
    2013 年 102 巻 2 号 p. 360-370
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    冠動脈硬化性病変を基盤とした虚血性心疾患に対する治療はめざましい進歩を続けている.特にこの30年間は,抗動脈硬化作用を持つ薬物治療の出現や経皮的冠動脈インターベンションおよび冠動脈バイパス手術よる血行再建術の進歩により,虚血性心疾患に対する治療戦略は大きく変貌した.個々の患者に最適な治療を提供するためには,内科外科の垣根を越えた"ハートチーム"による集学的アプローチが重要である.
  • 墨 誠, 金岡 祐司, 大木 隆生
    2013 年 102 巻 2 号 p. 371-380
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    近年,動脈硬化を背景とした血管病が急増している.血管病の治療としては,薬物などの保存的治療,外科手術に加えて,近年は血管内治療が台頭している.大動脈瘤に対しての血管内治療であるステントグラフト内挿術は,様々な合併症を有するため手術困難と判断された患者の治療をも可能にする画期的な治療法である.本稿では様々な大動脈瘤・大動脈解離に対するステントグラフト内挿術の概要を述べる.
  • 山下 武廣, 筒井 裕之
    2013 年 102 巻 2 号 p. 381-391
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    腎動脈狭窄は循環器疾患患者にしばしば潜在し,予後に悪影響する重大な病態であるが,特異的症状に乏しいため見逃されやすい.動脈硬化性が最多であり,患側腎の低灌流によって,腎血管性高血圧症,虚血性腎症,cardiac disturbance syndrome等の病態を呈する.診断には腎臓エコー法が繁用される.腎動脈ステント術が血行再建法の第一選択であるが,その適応は依然議論の対象となっている.
  • 横井 宏佳
    2013 年 102 巻 2 号 p. 392-398
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    本邦において過食と運動不足,ライフスタイルの欧米化により急速に動脈硬化性疾患が増加している.特に下肢閉塞性動脈硬化症は脳梗塞や心筋梗塞に比較すると医療従事者においても,その臨床的意義が十分に認識されておらず,診断されず未治療のうちに経過し,心血管イベントを高率に発症している.末梢動脈疾患は下肢動脈に限定したASO(atherosclerosis obliterans)という概念から,全身の動脈硬化性疾患の一部であるPAD(peripheral areterial diseae)という概念に意識を変え,心筋梗塞,脳梗塞の予防の為に内科医が立ち向かわねばならない重要な疾患である.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 神澤 輝実, 下瀬川 徹
    2013 年 102 巻 2 号 p. 448-454
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は発症機序に何らかの自己免疫現象の関与が示唆される膵炎である.膵臓における著明なリンパ球とIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化(lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis:LPSP)を特徴とし,現在はIgG4が関連した全身性疾患(IgG4関連疾患)の膵病変であると考えられている.欧米では膵画像所見は類似するものの,血液免疫学的異常所見に乏しく,病理組織学的に膵管上皮への好中球浸潤を特徴とするidiopathic duct-centric chronic pancreatitis(IDCP)がもう一つの自己免疫性膵炎として報告されている.近年,LPSPを自己免疫性膵炎1型,IDCPを2型と呼ぶようになったが,2型は本邦では稀である.2011年には膵臓癌との鑑別を重視した自己免疫性膵炎の国際コンセンサス診断基準が作成され,日本の自己免疫性膵炎の診断基準も改訂された.ステロイド治療が自己免疫性膵炎の標準療法であるが,欧米では再燃例に対して免疫抑制薬やrituximabの投与が試みられている.長期予後は不明で,膵石形成や膵臓癌の併発などが問題となっている.
専門医部会
シリーズ:内科医に必要な救急医療
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シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 解答
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