日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
102 巻 , 5 号
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 進行性腎障害:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.診断法
  • 白井 小百合, 木村 健二郎
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1070-1082
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    腎不全への進展を抑制するためには,検尿の普及と専門医の早期介入が必要である.近年では新規バイオマーカーの発見や遺伝子診断の確立により補助的な診断も可能となりつつあるが,腎組織所見を正しく評価して治療方針をたてることは,臨床に今後も必要である.近年,免疫蛍光法を用いたIgGサブクラス,light chain λ,κ染色の見直しで,新しい疾患概念も提唱されている.今後は,病理診断標準化もさらに進める必要がある.バーチャルスライドはそのための強力なツールになると期待される.
  • 杉山 斉, 佐藤 博, 上田 善彦, 横山 仁
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1083-1091
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    日本腎臓学会主導で全国規模の腎生検レジストリー(J-RBR:2007年~),腎臓病総合レジストリー(J-KDR:2009年~)が開始され,2012年末まで通算で約2万例が登録されている.J-RBRの臨床診断で慢性腎炎症候群(50%~55%),腎生検分類ではIgA腎症が最多で30%~35%を占め,原発性糸球体疾患とIgA腎症を合わせて約60%弱の頻度である.二次性腎疾患では糖尿病性腎症,ループス腎炎,ANCA陽性腎炎がそれぞれ約5%の頻度で登録されている.二次研究によりIgA腎症,ネフローゼ症候群,急速進行性糸球体腎炎,多発性嚢胞腎,糖尿病性腎症などの主要腎疾患の予後調査が進行中である.
  • 島村 芳子, 松本 竜季, 濱田 佳寿, 緒方 巧二, 井上 紘輔, 谷口 義典, 堀野 太郎, 寺田 典生
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1092-1097
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    2012年KDIGOからAKI・CKDの新たなガイドラインが提唱された.RIFLE分類・AKIN分類を集約した新たなAKIの定義・分類が提唱され,CKDに関してもKDIGOのガイドラインに基づいて新たなステージ分類を提唱するCKD診療ガイド2012が日本腎臓学会から発表された.新たなガイドラインの概要と,AKI・CKDの新規バイオマーカーとしてL-FABP,NGAL等について概要を本文に記載する.
  • 丸山 彰一
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1098-1104
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    平成23年にネフローゼ症候群の新しい診断基準が公表された1).①高度の蛋白尿(尿蛋白排泄量3.5 g/日以上)の持続と②低アルブミン血症(血清アルブミン値が3.0 g/dl以下)のふたつが必須条件である.改定のポイントは,従来の低蛋白血症を低アルブミン血症に変更したこと,および蓄尿がない場合に随時尿の結果も参考にするとした点にある.疾患各論としては,微小変化型ネフローゼ症候群におけるCD80,巣状糸球体硬化症における可溶性ウロキナーゼ受容体,膜性腎症における抗ホスホリパーゼA2受容体抗体を取り上げた.これらは新たな診断マーカーとして期待されている.
II.病態と治療
  • 鶴屋 和彦
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1105-1113
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    微小変化型ネフローゼ症候群は,ほとんどの例でステロイド治療により寛解を得られるが,再発の頻度が高く,その一部は頻回再発型やステロイド抵抗性を呈する.病因はT細胞の機能異常やいくつかの重要な因子の関与が明らかにされている.初期治療は経口ステロイド薬が基本であるが,頻回再発型・ステロイド依存性やステロイド抵抗性の症例では免疫抑制薬の併用が有効である.最近,リツキシマブの有効性が報告されており,保険適用化が期待される.
  • 佐藤 博
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1114-1120
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    この10年ほどの間に,巣状分節性糸球体硬化症の病因・病態に関わる糸球体上皮細胞の構造膜蛋白の障害や,新しい液性因子の関与が相次いで報告されている.そのような新知見の蓄積にもかかわらず,臨床的には現在もなお各種治療に抵抗する難治性ネフローゼ症候群を呈する症例が多いが,ステロイドパルス療法や,免疫抑制薬の積極的な併用,さらにはレニン・アンジオテンシン系の抑制や,LDLアフェレシスを含む脂質異常症対策などの組み合わせによって寛解を目指す診療指針の枠組みが構築されつつある.
  • 西 慎一
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1121-1127
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    膜性腎症は,糸球体基底膜に免疫複合体が沈着する糸球体腎炎で,原発性および続発性に発症する.近年,原発性膜性腎症の半数以上が内因性抗原であるphospholipase A2 receptor(PLA2R)に対するIgG4型抗体により発症することが解明された.抗PLA2R抗体が原発性,あるいは続発性の鑑別マーカーとしても利用されるようになってきた.「ネフローゼ症候群診療指針」が発表され,ステロイド薬が一次治療薬として推奨されている.寛解に至らない場合は免疫抑制薬の追加が考慮される.
  • 臼井 丈一, 山縣 邦弘
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1128-1135
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    半月体形成性糸球体腎炎の臨床症候は急速進行性糸球体腎炎であり,ANCA陽性急速進行性糸球体腎炎や腎予後が不良な抗GBM抗体型急速進行性糸球体腎炎等が含まれる.本邦症例の実態解明のため1999年から全国アンケート調査が実施され,この調査を元に診療指針が作成された.この診療指針が本邦の急速進行性糸球体腎炎の診療の軸となり,疾患概要の普及,診断・治療の確立,予後の改善に大きく貢献してきた.
  • 川村 哲也
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1136-1144
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    オックスフォード分類では,メサンギウム細胞増多,管内細胞増多,分節性硬化,尿細管萎縮/間質線維化が,わが国の組織学的重症度分類では,細胞性/線維細胞性半月体,全節性硬化,分節性硬化,線維性半月体がIgA腎症の腎予後と関連する病理パラメータとされている.IgA腎症の治療の基本は,個々の患者の病態に適合した治療法を選択することであり,eGFR 60 ml/分以上かつ尿蛋白0.5 g/日以上で,腎生検所見上,急性活動性病変がみられる患者では副腎皮質ステロイド療法の良い適応となる.
  • 後藤 眞, 成田 一衛
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1145-1151
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    近年,膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)に補体第二経路の制御異常によるC3腎炎が含まれることが明らかとなった.MPGNII型(Dense deposit病)と共にC3腎症と提唱されている.C3腎症は補体第二経路の制御因子の遺伝子変異や自己抗体の検索が必要である.免疫複合体が関与するMPGNは基礎疾患に対する治療が重要である.
  • 和田 隆志
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1152-1158
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症は新規透析導入例の最大の原疾患であり,その腎,心血管病変ならびに生命予後の改善は医学的,社会的に喫緊の課題である.早期腎症は微量アルブミン尿が出現した時点で臨床的に診断されることから,尿アルブミン値測定が重要である.血糖・血圧・脂質コントロールなどの多角的強化療法を通じて,糖尿病性腎症の寛解も報告されるようになってきた.高齢化社会を背景にした病態のさらなる解明,治療法の確立とともにいっそうの予後の改善が期待される.
  • 望月 俊雄
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1159-1165
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)のトピックスは,バソプレシン受容体拮抗薬の臨床治験において,その有効性が証明されたことである.繊毛に局在するPKD1あるいはPKD2遺伝子異常により,尿細管の径(太さ)を調節できなくなり,嚢胞は形成される.その嚢胞上皮細胞内で増加するc-AMP活性を減少させることにより嚢胞の増大を抑制しようとするのがバソプレシン受容体拮抗薬である.嚢胞形成を完全に抑制するものではないが,ADPKD治療に光が見えてきたところである.
III.最近の話題
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 佐藤 伸一
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1226-1232
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    全身性強皮症は,皮膚硬化などの線維化,Raynaud症状や皮膚潰瘍などの血管障害,自己抗体産生などの免疫異常を主徴とする膠原病である.全ゲノム関連解析の結果などから免疫異常が病因の中心をなすことが推定されている.全身性強皮症は不均一性の強い疾患であり,そのため予後予測や治療法決定においては病型分類が重要となる.全身性強皮症では特定の病態と自己抗体が密接に相関するため,自己抗体の種類に基づく病型分類が行われ,各病型における自然経過も明らかになってきた.治療に関しても,皮膚硬化に対するステロイド,肺線維症に対するシクロホスファミド,肺高血圧症や皮膚潰瘍に対するエンドセリン受容体拮抗薬やホスホジエステラーゼ5阻害薬など大きな進歩が見られ,各臓器病変をコントロールすることが可能となりつつある.
  • 森田 啓行, 山田 奈美恵, 小室 一成
    2013 年 102 巻 5 号 p. 1233-1242
    発行日: 2013/05/10
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症は循環器領域における単一遺伝子疾患として最も高頻度である.本症において遺伝子解析研究は進んでいるものの,診療の一環として遺伝学的検査がおこなわれているのはごく一部の症例にとどまる.本稿では,肥大型心筋症の遺伝学的検査が診療現場で進まない原因を分析し,診療の一環として位置づけられるために解決すべき問題点を挙げ,解決方法を考察した.診療体制重点化,疾患レジストリー確立・運用,精度保証された集中解析拠点確立,変異-臨床所見データベース確立・運用を柱にした体制が理想的と考える.持続可能な制度の設計と財源確保が必要なのは言うまでもないが,そのワークフローを支える人材育成,医療者・一般国民に対する遺伝教育,データ管理手法の決定,社会のコンセンサス獲得,ガイドライン・法整備などおこなうべき課題はきわめて多い.現在「医療」が抱える多様な問題を「遺伝医療」という観点から深く再考察することがもとめられる.
専門医部会
シリーズ:内科医に必要な救急医療
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:指導医のために:医学・医療の多様性を追求する
地方会
内科学会からのお知らせ
feedback
Top