日本内科学会雑誌
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102 巻 , 6 号
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内科学会NEWS
目次
特集 気管支喘息:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.概念
  • 田中 明彦, 足立 満
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1327-1332
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    喘息に対する薬物療法の歴史は,吸入ステロイド(ICS:inhaled corticoteroids)出現前と出現後に大きく2つに分けられる.ICS出現前は,β2受容体刺激薬や抗コリン薬やテオフィリン薬などの気管支拡張薬が薬物療法の中心であった.その後,1978年に初めてICSが上市され,徐々にその有効性と安全性が認められ,ヨーロッパに続いて北米においては1980年代,我が国においては1990年代に薬物療法の中心として位置づけられ現在に至っている.本稿では喘息の病態概念と,これらの薬剤を中心に薬物療法の歴史的変遷について述べる.
  • 大田 健
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1333-1342
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    日本の最新の喘息の予防・管理ガイドライン(JGL2012)は,理想として無症状を完全なコントロール状態として位置付け,治療ステップ1から吸入ステロイド薬(ICS)の低用量を推奨することとしており,GINAをはじめとする海外のガイドラインとは特に異なる.発作治療についても発作治療ステップとしてまとめており,日本のガイドラインの特徴といえる.世界で共有する問題は,アドヒアランスの改善や患者教育である.
  • 岩永 賢司, 東田 有智
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1343-1351
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    わが国では人口の高齢化に伴い高齢者喘息が増加しており,かつ喘息死に占める高齢者の割合が高いという現状がある.高齢者喘息に対しては吸入ステロイド薬を中心としたガイドラインに則った治療を行うが,高齢者の特徴を理解して内科医は診療にあたる必要がある.高齢者喘息診療では忍耐強い指導と観察が重要であり,この努力が更なる治療成績の向上,喘息死の減少に結びつくと考える.
  • 栩野 吉弘, 浅井 一久, 平田 一人
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1352-1358
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息とCOPDの鑑別に有用なものとして,臨床症状・喫煙歴・肺機能検査(肺拡散能や肺過膨張所見)や喀痰検査・呼気中nitric oxide(NO)測定・胸部高分解能CTによるlow attenuation area(LAA)の存在などがあるがその鑑別は容易ではない.COPDの併存は,高齢者喘息の20~30%程度にみられ,喘息の難治化要因として重要である.治療の基本として禁煙が有効であり,薬物療法では吸入ステロイド薬と長時間作用性気管支拡張薬の併用が有用である.
II.病因と病態
  • 今岡 治樹, 星野 友昭
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1359-1364
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息とCOPDは,ともに炎症に基づく閉塞性換気障害を呈する疾患である.これまで両疾患の異同について数多く比較検討され,両者の病理学的,生理学的異常が論議されてきた.そのなかで,両者は同様の機序で発症するのではないかという仮説を代表するものにオランダ学説とイギリス学説がある.当然のことながら,この仮説に対しては支持する意見と反対する意見があり,多くの臨床的,基礎的な報告がなされている.
  • 檜澤 伸之
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1365-1369
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    最近のGWASはIL33TSLPORMDL3などのストレスや傷害に対する気道の一次防御機構にかかわる遺伝子と喘息発症との関連を示唆している.一方,喘息に影響を与える多くの遺伝子は総IgE値とは関連しておらず,喘息の起源としてのIgE反応性の亢進が疑問視されている.複数の遺伝子が喘息とCOPDとに共通した因子として報告されている.β2刺激薬や吸入ステロイドの反応性も個人差が大きく遺伝因子の関与が存在する.
  • 権 寧博, 橋本 修
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1370-1377
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は,気道過敏性の亢進,リモデリングによる気道の組織変化を特徴とする気道の慢性炎症性疾患である.最近まで喘息の気道炎症の基盤となる病態は,IgEや好酸球,Th2優位の免疫反応によるアレルギー炎症と一元的に理解されてきた.しかし,近年の免疫学の進歩により,アレルギー炎症には従来知られていなかった多種にわたる免疫細胞が関係し,多様な免疫病態を形成していることが分かってきた.複数の免疫システムが重層することで,気道に感作が成立し,持続的なアレルギー炎症が形成されると思われる.また,近年に実施されたIgEやTh2サイトカインを分子標的とする臨床試験では,治療反応性の異なる患者群が存在することが明らかとなり,喘息は異なった免疫病態を呈する複数のフェノタイプから構成される複合的疾患であると理解されるようになってきている.本稿では,気管支喘息の病態生理について,特に,アレルギー炎症とリモデリングの病態のメカニズムを中心に,最近の知見を紹介しながら喘息の病態を考察する.
  • 横山 彰仁
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1378-1383
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の管理は吸入ステロイドを中心とした治療により容易になったが,未だ治療に難渋する患者も存在する.そのような場合,まず喘息以外の因子,すなわち診断の誤りや併存症の影響,吸入手技の適切性を含めた治療コンプライアンスの問題を考える必要がある.それらが除外されれば,真に治療に抵抗する難治性喘息が考えられる.本稿では,難治性喘息の定義,病態,治療について,類似の言葉の問題も含めて簡単に概説した.
III.管理と治療の進歩
  • 吉原 重美
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1384-1391
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の早期介入には,アレルゲン感作前に喘息の発症を予防する(一次予防),アレルゲン感作成立後に喘息の発症を予防する(二次予防),喘息発症後の重症化防止と早期寛解を目的とする治療(三次予防)がある.すなわち,乳幼児期の早期介入は,喘息の発症,気道炎症および気道リモデリングの進展を抑制するのに重要な時期である.早期介入としてアレルゲン暴露,受動喫煙,気道ウイルス感染などの対策として環境整備がある.同時に,薬物を用いる早期介入として,抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体「パリビズマブ(製品名:シナジス®)による重症細気管支炎の予防や皮膚乾燥症に対する保湿剤治療による一次予防,Th2サイトカイン阻害薬による二次予防,さらに喘息を発症してしまった喘息児に対する発症後早期からの重症化・難治化予防として,吸入ステロイド薬,ロイコトリエン受容体などによる三次予防がある.また,小児期特有の喘息phenotypeを考慮した早期介入が重要である.
  • 一ノ瀬 正和
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1392-1396
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    喘息治療に必要な薬剤は,長期管理のために継続的に使用しコントロールを目指す薬剤(長期管理薬)と喘息発作治療のために短期的に使用する薬剤(発作治療薬)の2種類に分けられる.長期管理薬のなかでも,気管支喘息の慢性気道炎症に関与する多彩な細胞群に広く作用点を持つ吸入ステロイドが第一選択薬である.喘息長期管理の治療強度には4つのステップがあり,吸入ステロイドの用量増加に加え,長時間作用性β2刺激薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン,抗IgE抗体を用いる.
  • 熱田 了
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1397-1403
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息患者は気道過敏性を有するために,健常人が問題とならないような,微細な環境変化に反応して発作性の気道収縮(喘息発作;急性増悪)を生じる事がある.重篤な喘息発作は喘息死をもたらす事があるが,喘息死に至る1年前の喘息重症度は重症患者が大半と言う訳ではなく,中等症・軽症を合わせると重症患者を上回る数の喘息死が生じている.そのため,どの重症度の喘息患者にも喘息死が生じる可能性があり,喘息死を減らすためには長期管理薬による慢性期のコントロールが重要であるとともに,急性増悪時の確実な対応も必須である.本稿では急性増悪時の自宅での対応と救急外来での基本的対応に関して述べる.
IV.喘息の亜型・特殊型・併存症
  • 堀口 高彦
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1404-1411
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の多様性をフェノタイプ(phenotypes:表現型)の概念から概説した.近年,病態の多様性を客観的に捉えたクラスター解析による分類が行われている.実臨床に有用な分類にアトピー素因,発症年齢による分類があるが,現時点では各フェノタイプごとに治療を選択するには至っていない.今後,実臨床を見据えた個々の症例に合わせた治療戦略の実現のためフェノタイプ分類の確立が望まれる.フェノタイプを考慮して個々の患者に最良の医療を提供する「オーダーメイド医療」の考え方について概説する.
  • 玉置 淳
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1412-1418
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎と肥満は,いずれも喘息のリスクファクターとして注目されている.前者は好酸球性アレルギー性炎症という面で喘息と類似の病態であり,両疾患は相互に影響しone airway,one diseaseという概念で理解される.後者は肺気量の変化,身体活動性の低下,種々のアディポカインに起因する気道炎症の増悪・気道過敏性亢進などを介して,喘息の重症化および難治化に重要な役割を果たしている.
  • 新実 彰男
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1419-1425
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    咳のみを症状とする喘息を意味する咳喘息は,喘鳴を伴う典型的喘息と同様に気道過敏性亢進,好酸球性気道炎症,気道リモデリングといった病態生理学的特徴を有し,気管支拡張薬や吸入ステロイド薬が有効である.一方咳喘息と類縁の疾患として,本邦からアトピー咳嗽,欧米から非喘息性好酸球性気管支炎の概念が近年提唱されている.いずれも咳を唯一の症状とし好酸球性炎症が関与するこれら3疾患の概念,臨床像,病態について概説し,それぞれの共通点や相違点についてまとめた.
  • 谷口 正実
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1426-1432
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    ・アスピリンに対するアレルギーではなく,COX1阻害作用を持つNSAIDsにより,強い気道症状を呈する不耐症であるが,選択的COX2阻害薬は安全に使用できる.・成人喘息の約5~10%を占め,男女比は1:2で小児ではまれである.・ほとんどの症例で好酸球性鼻茸を合併し,近年では好酸球性中耳炎や胃腸症,異型狭心症の合併が増加している.・通常のアレルギー学的検査では診断不能で,問診(NSAIDs使用歴,嗅覚低下,鼻茸手術歴の確認)が重要であり,確定診断には内服試験が必要である.・静注用ステロイドの急速静注は禁忌であり,NSAIDs誘発時にはエピネフリンが奏効する.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 杉本 俊郎, 柏木 厚典
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1474-1483
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    腎臓の近位尿細管に特異的に発現しているsodium-glucose co-transporter(SGLT)2は,腎臓におけるグルコースの再吸収の90%以上に関与していることが知られている.最近このglucose transporterを阻害するSGLT2阻害薬が,新規糖尿病薬として注目を集めている.SGLT2阻害薬は,腎臓での尿糖排泄を増加させることにより,理論上低血糖を起こさずに高血糖を改善し,長期的には膵臓β細胞機能やインスリン抵抗性を改善することが期待されている.実際,2型糖尿病患者を対象とした臨床試験において,血糖管理の改善のみならず,体重減少,血圧低下等のリスクファクターの改善効果も示された.副作用としては,尿路感染症,女性性器感染症,外陰部搔痒症が報告されているが,いずれも軽症である.これらSGLT2阻害薬は,インスリン分泌やインスリン作用に依存しないそのユニークな作用機序から,単独だけでなく他の経口血糖降下薬との併用効果も期待できる.今後我国でも使用される可能性が高い新規糖尿病薬の一つと考えられる.
  • 大野 岩男
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1484-1491
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    心腎連関とは,通常,1つの臓器における急性または慢性の機能不全が,他の臓器の急性または慢性の機能不全を引き起こす,心臓と腎臓の病態生理的な障害として定義されている.本稿では主に高尿酸血症と4型の心腎連関{慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)が慢性の心機能障害を起こす型}の関連について述べる.高尿酸血症は高血圧・CKDと密接に関連することが知られており,この機序として内皮細胞障害,レニン・アンジオテンシン系の亢進が重要な役割を担っている.さらに高尿酸血症は心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)とも関連しており,この関連機序としては,高尿酸血症による,1)内皮細胞障害機序,2)メタボリックシンドロームを介する機序,3)CKDを介する(心腎連関)機序などが考えられている.
  • 大西 健児
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1492-1498
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    ノロウイルスは全世界的に分布し,乳児から高齢者まで全年齢の人に感染する.GII/4に分類されるウイルスが,我が国を含め世界的に流行している.ノロウイルスは経口感染し,人から人への感染が集団発生事例の主要感染経路である.悪心,嘔吐,下痢,腹痛,発熱が本症の主症状で,潜伏期間は12時間~2日程度である.症状は1~3日で改善し通常の予後は良好であるが,高齢者や乳幼児では脱水状態に陥り易く,高齢者ではさらに吐物による窒息や誤嚥性肺炎を発症することもある.本症に有効な抗ウイルス薬は存在せず,脱水対策が重要である.症状消失後も便からノロウイルス自体やその遺伝子が検出され,細胞性免疫が抑制された状態ではウイルス排泄期間が長期化する.感染者への対応は,石鹸と流水による手洗いを重視した標準予防策を基本とし,失禁状態やおむつ使用患者の診療時,吐物や便の処理時には接触予防策を加える.消毒薬として次亜塩素酸ナトリウムが有効である.
  • 落合 慈之
    2013 年 102 巻 6 号 p. 1499-1510
    発行日: 2013/06/10
    公開日: 2014/06/10
    ジャーナル フリー
    国際的医療機能評価の一つであるJCI(Joint Commission International)について,我々の受審経験からその概要を紹介した.組織の機能を評価する手法として,「計画(plan)や手段(procedure)を定めているか,それは書式化されているか」を問うことには賛否両論ある.しかし,組織が目標を掲げ,それを共通の目的として展開しようとするときには,結局の所,それらを文書化して共有することに意義を感じる文化を醸成することが必要になる.医療機関という多職種が協働する組織においてはなおさらである.これからの病院の機能評価のあり方として,医療職個々のprivilege(権限)とcompetency(適性)も評価することが求められる.グローバル化の中で医療を考えるとき,日本の医療の存在をアピールするためにも,国際的認証を等閑視するわけにはいかない.新たに評価基準を策定する時には,日本版に留まらない国際的視点と発信力が必要である.
専門医部会
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:指導医のために:医学・医療の多様性を追求する
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