日本内科学会雑誌
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103 巻, 6 号
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内科学会NEWS
目次
特集 肺癌:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.疫学・病因
  • 雑賀 公美子, 祖父江 友孝
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1255-1260
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    肺癌は罹患,死亡ともに部位別の癌の中でも多く,年間約97,000人が罹患し,約72,000人が死亡している.1990年代後半以降,肺癌罹患は男性では増減傾向はみられないが,女性では増加傾向が続いている.予防対策としては喫煙対策が中心となるのは明白であり,日本人における全肺癌に占める喫煙起因の肺癌は,男性で69.2%,女性で18.9%である.肺癌検診においては,今後CTなどの新しい方法の有効性が認められるようになるかもしれないが,それまでは現在の国の指針で示された40歳以上を対象とした胸部X線検査と重喫煙者などのリスクの高い集団への喀痰細胞診を1年に1度実施することが必要である.
  • 長谷川 好規
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1261-1266
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    肺癌の病因として最も発癌への寄与が高く重要であるのは,喫煙である.一方で,喫煙と関連のない非喫煙者の肺癌が存在し,職業や環境からの曝露と遺伝的要因が存在する.これまでの研究から,肺癌発症には環境要因と遺伝要因が複雑に絡み合ってリスク因子が形成されると考えられている.喫煙や大気汚染物質,アスベストをはじめとする発癌物質の曝露を社会全体でコントロールするとともに,遺伝要因を含めた病態解明を進める必要がある.
II.診断と検査
III.治療
  • 宮田 義浩, 岡田 守人
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1293-1299
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    最近の非小細胞肺癌症例は患者の高齢化,小型肺癌の増加が特徴であり,手術に際しては癌の根治性を保ちつつ患者負担を減らすため,胸腔鏡手術アプローチや,肺機能温存を目指した縮小手術,特に解剖学的区域切除の標準化が試みられている.一方局所進行肺癌に対しては,更なる手術成績の向上をめざした集学的治療,術前後補助化学療法のエビデンスが蓄積されつつある.本稿では手術を中心とした最近の肺癌外科治療の動向について概説する.
  • 中松 清志, 西村 恭昌
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1300-1305
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    本稿では肺癌に対する放射線治療の基本的事項と最近の進歩を解説する.肺野型I/II期NSCLC(non-small cell lung cancer)に対してはSBRT(stereotactic body radiation therapy)によって,手術に匹敵する良好な治療成績が示されている.III期NSCLCでは同時化学放射線療法が標準治療であるが,60 Gy以上の照射に有効性は示されず,5年生存率は約20%で頭打ちである.現在は分子標的薬併用化学放射線療法の臨床試験が行われ,扁平上皮癌における効果が期待されている.
  • 高橋 和久
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1306-1313
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    非小細胞肺癌の予後は,EGFR変異やEML4-ALK融合遺伝子などを標的とする分子標的治療薬の登場で明らかに改善している.しかし腺癌の30%,扁平上皮癌には有効な分子標的治療薬は存在せず,これらの症例に対しては殺細胞性抗癌薬を適切に使用していくことが重要である.pemetrexedは腺癌に有効であるが扁平上皮癌には効果が劣り,非小細胞肺癌において組織型の確定が薬剤選択をする上で必須である.また,最近,維持療法,二次治療,高齢者肺癌治療に関するエビデンスが次々と生まれている.
  • 前門戸 任
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1314-1321
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    単一の遺伝子変異が発癌,増殖の主因となるドライバー遺伝子が肺腺癌に複数認められた.その一つであるEGFR変異をもつ患者に対するIII相試験が日本を中心に報告され,EGFR変異をもつ肺癌に対するEGFR-TKI治療のエビデンスは確立された.しかし,EGFR-TKI耐性化の問題が残りそれには複数の機序が報告されており,それぞれに対する対応が試みられている.また,もう一つのドライバー遺伝子変異ALK融合遺伝子に対するエビデンスも構築されつつある.
  • 久保 寿夫, 木浦 勝行
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1322-1329
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌の増殖速度は速く,早期から容易に遠隔転移を来たすが,放射線治療や化学療法に対する反応性は良好である.そのため,特殊なI期症例を除いて初期手術は推奨されず,放射線治療や化学療法が治療の主体となる.治療は,限局型と進展型に分けて考え,全身状態(performance status:PS)と主要臓器機能が保たれた限局型症例には,加速多分割照射法による放射線治療と化学療法の早期同時併用,進展型症例には原疾患によるPS不良例を含めて化学療法が推奨される.高率に脳転移を起こすため,初回治療の完全奏効例には予防的全脳照射を行う.基礎研究も精力的に進められているが,肺非小細胞癌のような治療標的となる遺伝子異常は確立されておらず,今後の重要な課題である.
  • 滝口 裕一
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1330-1336
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    腫瘍免疫にはCTLA-4,PD-1,PD-L1などの分子を介した抗原提示細胞,細胞傷害性Tリンパ球,癌細胞間の相互作用が重要である.メラノーマではこれら分子に対する単クローン抗体薬が腫瘍縮小,生存期間延長効果を示すことが証明された.進行肺癌に対しても活性が確認されており,生存期間延長に寄与するか精力的な臨床試験が行われている.非特異的免疫反応増強による組織障害の副作用についても研究が求められる.
  • 福井 朋也, 益田 典幸
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1337-1345
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    近年,分子生物学的アプローチによる治療開発により,癌薬物療法の有効性が高まっている.肺癌は難治性疾患であり,経過中,多彩な症状を呈するが,患者の生活の質の向上,さらに治療効果を十分に発揮するため,支持療法や緩和ケアとして,適切な症状コントロールが要求される.癌薬物療法に伴う副作用対策として悪心・嘔吐,好中球減少症,皮膚障害,また,頻度の高い症状として癌性疼痛,呼吸困難に関して概説する.
  • 木村 達郎, 工藤 新三, 平田 一人
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1346-1354
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    高齢者の増加に伴い,高齢者肺癌,及び,合併症をもつハイリスク症例に対する癌化学療法を行う機会が増えてきている.高齢者肺癌に対する臨床試験における化学療法レジメン,総合的高齢者機能評価(CGA),高齢者脆弱性検査(VES-13)等による機能評価,肝腎機能障害等の臓器機能低下例に対する化学療法について概説した.個々の症例について治療前に全身機能評価し,それぞれの患者にふさわしい治療を選択するのが望まれる.
IV.最近の話題
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 島本 和明
    2014 年 103 巻 6 号 p. 1391-1396
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2015/06/10
    ジャーナル フリー
    JSH2014は,JSH2009の持ち越し課題,矛盾点の整理と,2009年以降の臨床試験やESH/ESC(2013),AHA/ACC(2013),ASH/ISH(2013),JNC8(2014)など,他の高血圧診療ガイドラインの変更点を中心に整理し,家庭血圧評価法,リスク層別化,第1選択薬,降圧目標(若中年者,75歳以上の高齢者,CKD・心疾患・脳卒中合併高血圧),妊娠・授乳期の高血圧治療等で大きな変更があった.欧米とは合併症(脳卒中,心筋梗塞)の頻度が大きく異なり,脳卒中が多い本邦の疾病構造を背景に本邦にあったガイドラインを目指した.JSH2014の変更点を中心に概説した.
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