日本内科学会雑誌
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103 巻 , 7 号
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内科学会NEWS
目次
特集 自己免疫性血液疾患:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.病態の基礎
  • 岩本 直樹, 川上 純
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1564-1569
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    生体は,正常では免疫寛容とよばれる機構により自己抗体の産生を回避しているが,何らかの要因によりその機構が破綻した場合,自己抗体が産生される.その破綻の機序についてはいまだ不明な点が多いが,AIRE遺伝子の異常や,アポトーシスの異常,制御性T細胞の異常,外来抗原との分子相同性機序などいくつかの機序が想定されている.自己抗体産生機序の解明は自己免疫疾患の制圧につながり,その解明が期待される.
  • 冨山 佳昭
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1570-1579
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,血小板が自己抗体により早期に網内系にて破壊される自己免疫疾患である.全身性エリテマトーデス(SLE)が全身性疾患であるのに対し,バセドー病やITPは臓器特異的な自己免疫疾患である.ITPの病態さらにはその成因を解析するためには,ITPにおける自己抗体の標的抗原(=自己抗原)を明らかにする必要がある.本稿では,ITPにおける標的抗原の詳細を中心に,その病態解析に関する最近の進歩につき概説する.
II.鑑別診断
III.診断と治療
  • 小松 則夫
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1593-1598
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病(免疫性血小板減少症:ITP)は自己免疫性疾患の一つで,基礎疾患や原因の明らかな免疫性血小板減少症を除外する形で診断される.これまで副腎皮質ステロイドと脾摘がITP治療の主体であったが,ヘリコバクターピロリ菌の除菌療法やリツキシマブの有効性が明らかとなり,さらにはエビデンスに基づいた新たなITP治療薬としてトロンボポエチン受容体作動薬が登場し,ITPの治療戦略は大きな変貌を遂げつつある.
  • 亀崎 豊実
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1599-1608
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断は,貧血と黄疸があり直接クームス試験が陽性であると比較的容易であり,ステロイド治療への反応性も良好である.クームス陰性AIHAや低力価寒冷凝集素症,発作性寒冷ヘモグロビン尿症などの非典型的な特殊な病型では診断に苦慮することが多いため,臨床病態やクームス試験結果の解釈に注意を要する.ステロイド不応性や不耐性の症例への対応では,近年,抗体療法が注目されている.
  • 廣川 誠
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1609-1612
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    悪性貧血は自己免疫化生性萎縮性胃炎による壁細胞の減少が病因であり,内因子の分泌減少によるビタミンB12の吸収障害によって巨赤芽球性貧血が発生する.胃壁細胞および内因子に対する自己抗体が検出され,壁細胞が発現するH-K-ATPaseが抗壁細胞抗体の標的抗原である.ビタミンB12欠乏による非造血系の障害として末梢神経障害,亜急性連合性脊髄変性症,Hunter舌炎がみられる.自己免疫化生性萎縮性胃炎は胃がんおよび胃カルチノイド腫瘍の高リスクである.悪性貧血の治療はビタミンB12の非経口投与である.
  • 松本 雅則
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1613-1621
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,血漿交換が有効であることなどから,自己免疫疾患であることが予想されていた.1998年にTTPでは,von Willebrand因子(VWF)切断酵素ADAMTS13に対する自己抗体の存在により,同活性が著減することが報告された.それによって,超高分子量VWFマルチマーが切断されずに血液中に残存し,微小血管で血小板血栓が形成され,腎機能障害などのTTPに特有な症状が出現することが明らかとなった.
  • 玉井 佳子, 高見 秀樹
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1622-1630
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    後天性凝固因子インヒビターとは,後天的に産生される凝固因子に対する自己抗体であり,先天性凝固因子欠乏症と同様に出血傾向を生じる.後天性凝固因子インヒビター大部分が凝固第VIII因子に対する自己抗体であり後天性血友病Aと称され,しばしば生命を脅かす重篤な出血を惹起する.従来まれな疾患であるとされてきたが,本症の概念の浸透と検査技術の発展により,報告例が増加している.本稿では,後天性血友病Aを中心に概説する.
  • 中尾 眞二
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1631-1638
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    後天性再生不良性貧血(再不貧)は末梢血でのすべての血球の減少(汎血球減少)と骨髄の細胞密度の低下(低形成)を特徴とする曖昧な疾患群であるが,その多くがT細胞を標的とする免疫抑制療法によって改善することから,一種の自己免疫疾患と考えられている.再不貧の病態研究の過程で見いだされた「免疫病態の存在を反映するマーカー」は,類縁疾患の骨髄異形成症候群や巨核球減少性血小板減少症でもしばしば見いだされることから,これらは同じ機序によって起こる自己免疫性骨髄不全の一群と考えられる.慢性的な血小板減少症や,血小板減少を含む2血球系統以上の血球減少症をみた場合にはそのようなマーカーを積極的に利用することにより,T細胞を介した免疫異常が病態に関与しているか否かを判定し,免疫病態が関与している場合には診断名にこだわることなく積極的に免疫抑制療法を行うことが望ましい.
  • 小林 正夫, 川口 浩史
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1639-1644
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    自己免疫性好中球減少症は主として好中球抗原に対する自己抗体が産生され,好中球の破壊亢進による好中球減少症である.好中球抗原はHNA-1,HNA-2など数種類が同定されているが,Fcγ receptor IIIb(FcγRIIIb,CD16b)上に存在するHNA1系に対する抗体が原因となることが多い.成人領域では他の自己免疫性疾患に合併してFcγRIIIbに対する抗体が認められることが多い.抗体の同定はFACSを用いた間接免疫蛍光法での半定量を利用している.
IV.最近の話題
座談会
MCQ
今月の症例
  • 山本 詞子, 横山 泰久, 栗田 尚樹, 高岩 直子, 玉岡 晃
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1696-1698
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.ステロイド抵抗性の進行性両下肢筋力低下を認め,馬尾症候群を呈した.MRIで馬尾の異常増強効果を認め,髄液細胞のフローサイトメトリー(FCM)でκ鎖優位のB細胞,骨髄・髄液検体を用いたPCRでcomplementarity-determining region(CDR)III領域の再構成を認めたことから,B細胞の腫瘍性増殖が示唆された.臨床像から血管内リンパ腫(intravascular lymphoma:IVL)を最も疑い,化学療法を施行し下肢筋力の改善を得た.ステロイド治療が無効であっても馬尾症候群をみた際にはIVLを鑑別に含める必要がある.
  • 二村 真, 内田 博起, 寺本 彰, 佐藤 淳一, 松岡 歩, 徳井 未奈礼, 坂野 閣紀, 飯塚 昭男, 山口 哲士, 小沢 広明
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1699-1701
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部のびらん,白苔を伴う結節性隆起性病変を認め,生検による病理組織および免疫組織化学的検査と加齢以外に免疫不全の要因を認めないことからEBV positive diffuse large B-cell lymphoma of the elderlyと診断した.一般に予後不良な疾患だが,その後の内視鏡検査では腫瘍は著明に自然縮小をきたしており,稀な臨床経過の一部をとらえることができた.
  • 渡邉 隆, 萱嶋 善行, 久能 宣昭, 冨岡 禎隆, 石橋 英樹, 阿部 光市, 池田 憲治, 二村 聡, 青柳 邦彦, 向坂 彰太郎
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1702-1705
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,一卵性双生児の兄弟.兄弟ともに幼少期より繰り返す口内炎を認めていた.弟に腹痛症状が出現し,下部消化管内視鏡検査にて回盲部に巨大な打ち抜き潰瘍を認めた.また,HLA-B51が陽性であり,腸管Behçet病と診断した.兄は口内炎以外に症状は認めなかったが,内視鏡検査にて回盲部病変を認めた.Behçet病の発症には遺伝的素因の関与も考えられ,一卵性双生児の症例では他方に症状が乏しい場合でもBehçet病の検索を行うことが重要である.
医学と医療の最前線
  • 大戸 斉
    2014 年 103 巻 7 号 p. 1706-1711
    発行日: 2014/07/10
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    Aggregate除去から出発した白血球除去フィルターは進化し,輸血血液の白血球の99.99%以上と血小板の90%以上を除去する.白血球と血小板の混入を最少にすることで,大量輸血患者の多発血栓,輸血発熱反応,HLA抗原感作,病原体(CMV,HTLV,Yersinia菌)感染を防いでいる.輸血後GVHD予防目的に現在実施されている放射線照射を高性能フィルターは代替できる可能性がある.白血球除去による輸血関連免疫修飾への防止効果について結論は出ていない.血小板製剤用白血球除去フィルターを用いた血小板と遠心法によって白血球数低減した血小板では残存白血球数に差がないが,サブセットは異なり,遠心法では単球比率が高い.このため,HLA抗原感作に関与している可能性があり,検証が必要である.prion除去能を併せ持つ白血球除去フィルターが開発されているが,臨床への導入は未だである.
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シリーズ:指導医のために:医学・医療の多様性を追求する
シリーズ:患者の言葉・身体所見を読み解く
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