日本内科学会雑誌
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104 巻 , 1 号
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巻頭言
内科学会NEWS
目次
日本内科学会雑誌リニューアル 特別企画
特集 腸内細菌と内科疾患:その最新情報
Editorial
トピックス
I.IBD および IBS における腸内細菌の関与
  • 新井 万里, 松岡 克善, 金井 隆典
    2015 年 104 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    ヒトの腸管には数百種類,100兆個以上の腸内細菌が生息し,多彩な代謝機能による宿主へのエネルギー源供給,腸管上皮細胞や免疫細胞の分化や成熟化,腸内環境の恒常性維持,病原菌に対する感染防御などに関与している.腸内細菌叢は健康と疾患に深く関与し,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)や過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS),大腸癌などの腸疾患のみならず,生活習慣病,自己免疫性疾患,自閉症など腸管以外の疾患との関連性も指摘され,大きな注目を集めている.
II.fecal microbiota transplantationとその臨床応用
III.NASH/NAFLD と腸内細菌
  • 冨田 謙吾, 穂苅 量太
    2015 年 104 巻 1 号 p. 48-56
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)/非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)はメタボリックシンドロームの肝臓での表現形と考えられている.肝臓は腸管由来の門脈血流により真っ先に栄養される臓器であり,NASH/NAFLD病態は腸管由来のPAMPs,腸内細菌代謝物をはじめとする種々の因子の強い影響を受けることが明らかになってきた.そして,その背景にある腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)と病態との相関の詳細が,近年の腸内細菌解析手法の飛躍的な進展により急速に解明されつつある.
IV.肥満・糖尿病と腸内細菌
  • 坊内 良太郎, 小川 佳宏
    2015 年 104 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    腸内細菌はエネルギー吸収,腸管免疫など種々の生物学的機能を有する共片生物であり,宿主の代謝や免疫に多大な影響を及ぼす.腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)により短鎖脂肪酸の合成が低下し,腸上皮バリアが破綻,lipopolysaccharide(LPS)の血中への移行を介して全身の慢性炎症が惹起され,肥満・2型糖尿病を発症する.dysbiosisは腸管免疫寛容を破綻させ,1型糖尿病の発症にも関与する可能性がある.治療応用につながるさらなる病態解明が期待されている.
V.腸内細菌:多彩な内科領域におけるトピックス
  • 山科 章
    2015 年 104 巻 1 号 p. 66-70
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    腸内細菌の遺伝的構成(メタゲノム)がわかるようになり,腸内細菌と各種疾患・病態との関連に関する研究が急速に進歩した.経口摂取されたものが腸内細菌により代謝され,最終的に動脈硬化惹起物質が産生されることもわかってきた.腸内細菌叢には型(エンテロタイプ)があり,エンテロタイプは食習慣の影響を受け,エンテロタイプによって動脈硬化惹起物質の産生量が異なることもわかっている.また,アテローム性動脈硬化症のある患者の腸内細菌では,抗酸化物質を産生する遺伝子が少なく,血中抗酸化物質濃度が低いことも判明している.腸内細菌を介した抗動脈硬化治療も始まっており,腸内細菌と動脈硬化の関連はホットトピックスとなっている.
  • 簑田 清次
    2015 年 104 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    免疫系は感染防御が一義的役割であり,ヒトは遺伝子数でいえばヒトの全遺伝子の100倍以上の細菌遺伝子が体内(特に腸管)にあるといわれている.腸内細菌群と宿主の免疫系はお互いに牽制し合い,またお互いを助け合い,共存している.この共存が崩れると腸管の疾患を越えて全身の免疫疾患が発症する可能性があり,関節炎モデル,気管支喘息モデル,I型糖尿病モデル,ヒトの関節リウマチなどを例に説明する.
  • 永井 将弘
    2015 年 104 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    腸内細菌と脳神経疾患は一見すると関係ないようにみえるが,近年,免疫性神経疾患を中心としてその関連性が明らかになってきている.多発性硬化症の発症機序にTh17細胞の関与が注目されているが,Th17細胞の腸管での誘導のためには腸内細菌叢構成細菌の1つであるセグメント細菌が必要である.Guillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome:GBS)の中で軸索障害型であるacute motor axonal neuropathy(AMAN)の発症機序はカンピロバクター腸炎の原因菌であるCampylobacter jejuni菌体表面のリポオリゴ糖と神経構成成分のガングリオシドの分子相同性が関与している.Parkinson病(Parkinson’s disease:PD)患者においては小腸内細菌異常増殖が症状のオフ時間を延長し,経口抗生物質による治療で症状の改善が認められている.
  • 大島 茂, 渡辺 守
    2015 年 104 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    腸管は,栄養の消化吸収を行っていると同時に,外来異物に対する生体防御の最前線でもある.腸内細菌は1×1014個にも及び,腸管免疫系の発達に作用するだけでなく,Th17細胞の分化を誘導したり,制御性T細胞の数および機能を高めたりすることで,腸管の生体防御における恒常性を維持している.腸内細菌の構成異常は免疫異常につながり,各種疾患発症に関わっているのみならず,腸管免疫系を介し腫瘍形成にも関与している.
VI.プロバイオティクスとその臨床的展望
  • 辨野 義己
    2015 年 104 巻 1 号 p. 86-92
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    プロバイオティクスは“宿主に保健効果を示す生きた微生物,またはそれを含む食品”として定義されている.その微生物株は胃酸や胆汁酸などの消化管上部のバリアー中でも生存でき,増殖部位として消化管下部で増殖可能であり,便性改善,腸内常在菌のバランス改善および腸管内腐敗物質の低下などの有効効果を発現することなどが挙げられている.さらに,アレルギー軽減作用,インフルエンザ感染予防効果,ピロリ菌抑制効果など様々な臨床的効果も見出されている.
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 石金 正裕, 加藤 博史, 河端 邦夫, 伊東 宏明, 金山 敦宏, 松井 珠乃, 大石 和徳
    2015 年 104 巻 1 号 p. 114-119
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    2012年以降,サウジアラビアを中心とした中東地域で発生しているMERSはMERS-CoV(Middle East respiratory syndrome coronavirus)が原因ウイルスである.一部のMERS症例において,ラクダへの曝露が感染リスクであることが示唆されている.一方,2013年以降に中国本土で発生している鳥インフルエンザA(H7N9)感染症においては生鳥市場の鳥への曝露が感染リスクと考えられている.両疾患は人獣共通感染症であり,いずれも併存症を有する成人~高齢者において高頻度に重症肺炎及び急性呼吸促迫症候群を発症し,致命率は高い.2014年3月以降,MERSは医療施設での二次感染が多く発生し,症例数が急速に増加している.一方,鳥インフルエンザA(H7N9)感染症は冬季に症例数の増加が認められている.両ウイルスともに未だ継続的なヒト―ヒト感染は認められていないが,今後もこれらの新興呼吸器ウイルス感染症の動向に十分な注意を払う必要がある.
  • 磯部 光章
    2015 年 104 巻 1 号 p. 120-127
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは多臓器に非乾酪性肉芽腫を生ずる原因不明の全身性疾患であり,心臓病変は予後を左右する重要な合併症である.最近,臨床的に心病変を呈しながら他臓器に臨床症状を認めない心臓限局性サルコイドーシスが存在することが報告され,注目を浴びている.臨床的問題点としては,サルコイドーシスの診断を心臓だけの所見から行わなければならない困難さと生命予後がよくないことが挙げられる.心筋生検組織の病理診断の感度は非常に低く,陰性であっても本症を否定し得ない.最近,心エコーに加え,心臓MRI(CMR)やFDG-PET/CTを併用した多種の画像診断で特徴的な所見がみられることが明らかになりつつある.治療面では副腎皮質ステロイドが炎症の鎮静化に有効であると考えられ,また,不整脈の治療も選択肢が広まっていることから早期の診断が必須である.
  • 後藤 修, 矢作 直久
    2015 年 104 巻 1 号 p. 128-132
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2016/01/10
    ジャーナル フリー
    胃粘膜下腫瘍の診療においては,消化管間葉系腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)など治療対象となるものを適切に診断することが重要であり,内視鏡,超音波内視鏡,CTなど複数の検査法で総合的に判断する.治療の原則は局所の外科的切除であり,小病変に対しては内視鏡治療が有効なことがある.近年,様々な低侵襲手術の方法が開発されており,病変の主座や大きさに応じて適切な術式が選択される.転移や播種,術後再発病変に対してはイマチニブを第一選択とした化学療法を行い,状況に応じて集学的治療を試みる.癌に比べて症例数が少なく,生物学的悪性度や治療の必要性なども含めて未知の部分が多い疾患であるため,症例を集約したエビデンスの構築が望まれる.
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