日本内科学会雑誌
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104 巻 , 2 号
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内科学会NEWS
目次
特集 高血圧:全ての内科医が知っておくべき高血圧治療のポイント―日本高血圧学会治療ガイドライン2014年をふまえて
Editorial
トピックス
  • 三浦 克之
    2015 年 104 巻 2 号 p. 203-210
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    国民の収縮期血圧平均値は大きく低下傾向であるものの,高血圧有病率は今なお高い.至適血圧を超えて血圧が高くなるほど心血管病,慢性腎臓病などのリスクは高くなり,心血管病死亡の約50%,脳卒中罹患の50%以上が至適血圧を超える血圧高値に起因するものと推定されている.健康日本21(第2次)では,国民の収縮期血圧平均値を10年間で4 mmHg低下させることを目標としている.
  • 下澤 達雄
    2015 年 104 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    高血圧の成因,二次性高血圧の鑑別のための検査のみならず,リスク層別化のための関連疾患の評価,ならびに高血圧性臓器障害の評価を行う.それゆえ,家族歴,生活歴,身体所見は脳神経系,循環器系,末梢の浮腫に重点が置かれる.臨床検査では一般,血液,生化学検査に加え,心電図,超音波などの生理機能検査を行う.高血圧患者の初診時と経過観察時では検査項目を適宜選択する必要がある.自治体や職場の健康診断結果なども活用する.
  • 石光 俊彦, 石川 弥生, 本多 勇晴
    2015 年 104 巻 2 号 p. 218-231
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    全ての年齢層の高血圧患者が降圧治療の対象となる.血圧や合併症,背景因子などの危険因子を評価し,年齢や糖尿病,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の有無などを考慮して降圧目標を設定する.降圧薬投与の有無に関わらず,減塩,動物性脂肪摂取減少,野菜摂取増加,減量,運動,節酒,禁煙など総合的な生活習慣の修正を指導する.第一選択薬は,サイアザイド系利尿薬,Ca拮抗薬,ACE(angiotensin converting enzyme)阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin II receptor blocker:ARB)である.β遮断薬も主要降圧薬であるが,脳卒中の抑制や高齢者の予後改善効果が劣る.1日1回投与の降圧薬を優先し,利尿薬は低用量から開始する.降圧効果がなく忍容性が悪い場合は作用機序の異なる他の降圧薬に変更する.降圧薬の併用に際しては,作用機序や副作用の重複を避ける.
  • 甲斐 久史
    2015 年 104 巻 2 号 p. 232-239
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)では,脳血管障害慢性期の降圧目標は原則140/90 mmHg未満であるが,ラクナ梗塞,脳出血,くも膜下出血ではさらに可能であれば130/80 mmHg未満を目指すとされている.冠動脈疾患の降圧目標は心筋梗塞後を含めて原則140/90 mmHg未満と改訂されたが,糖尿病,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や脂質異常症・喫煙・家族歴などのリスク重積例では可能であれば130/80 mmHg未満を目指すとされている.抗血栓薬服用患者では頭蓋内出血のリスク軽減のため,130/80 mmHg未満を目指すことが望ましい.心筋梗塞後や収縮機能障害による心不全には降圧が主目的ではなく,心リモデリング・心不全予防,生命予後改善のため,レニン―アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系阻害薬,β遮断薬,抗アルドステロン薬を投与する.
  • 田中 正巳, 伊藤 裕
    2015 年 104 巻 2 号 p. 240-246
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    腎疾患と糖尿病は,高血圧患者における脳心血管イベントの独立した重要な危険因子である.日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)では蛋白尿を認める慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者,蛋白尿のないCKD患者,糖尿病患者の降圧目標をそれぞれ130/80 mmHg未満,140/90 mmHg未満,130/80 mmHg未満に設定している.イベント予防のためには厳格な降圧が必要である.その一方で,腎疾患や糖尿病の合併例では動脈硬化が進行していることが多く,過降圧による臓器の灌流不全に注意が必要である.
  • 鈴木 洋通
    2015 年 104 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    妊娠に伴って生じる高血圧は通常の高血圧とは異なっていると理解する必要がある.最近は妊娠高血圧症候群として,妊娠20週以降に血圧が収縮期血圧140 mmHgもしくは拡張期血圧90 mmHg以上となった場合と定義される.多くは妊娠の終了後12週以内に通常の血圧に復する.本邦では結婚年齢の高齢化,女性の社会進出,30歳代女性の肥満の問題など,いくつかの社会現象が妊娠に伴う血圧の変動に複雑な影響を与えている.
  • 楽木 宏実
    2015 年 104 巻 2 号 p. 253-259
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)での高齢者高血圧に関する大きな改訂点は,降圧薬治療対象について個別判断の必要な例を具体的に挙げたこと,後期高齢者に対する降圧目標について前回のガイドラインで中間目標としていた150/90 mmHg未満を最終目標にしたことである.これに加えて,超高齢者の合併症や老年症候群も考慮した診断と治療における注意点を記載した.高血圧を窓にした高齢者診療の充実につなげたい.
  • 河野 雄平
    2015 年 104 巻 2 号 p. 260-267
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    高血圧患者の10%以上は二次性高血圧であり,診療においてはその可能性を念頭に置くべきである.特に重症高血圧や急な発症,若年発症の高血圧では可能性が高い.二次性高血圧の大部分は適切な診断と治療により良好な血圧コントロールが得られ,高血圧の治癒が期待できる場合も少なくない.治療抵抗性高血圧は降圧薬の3剤併用でもコントロール不良の高血圧で,服薬アドヒアランスや生活習慣,白衣現象,二次性高血圧,治療薬などの要因を考慮し,適切に対処することが重要である.薬物治療では,十分量の降圧薬を多剤併用し,利尿薬を含めることが原則となる.
  • 崎間 敦, 大屋 祐輔
    2015 年 104 巻 2 号 p. 268-274
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    高血圧緊急症とは,単に血圧の異常高値だけでなく,直ちに降圧治療を開始しなければ標的臓器障害が急速に進展し,致命的になり得る病態である.緊急症が疑われる症例には,迅速な診察と検査によって病態の把握を行う.ICU,またはそれに準ずる施設へ入院とし,直ちに経静脈的に降圧治療を開始する.今回改訂された「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」では,緊急症に対する初期対応から疾患ごとの標準的治療および切迫症の取り扱いについて解説している.
  • 星出 聡, 苅尾 七臣
    2015 年 104 巻 2 号 p. 275-281
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    腎交感神経焼灼術(renal denervation:RDN)と経皮的腎血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty:PTRA)は高血圧治療のデバイスを使った治療である.RDNについては,ヨーロッパを中心に盛んに行われているが,薬物治療と比較した試験で有用性が示されなかったため,現在,本邦での導入は進んでいない.PTRAも同様に,薬物治療と比較し有用性が示された試験はないが,現在,臨床現場では行われている治療である.重要なのは,両者とも適応をしっかり見極めることであり,究極の個別療法である.
MCQ
今月の症例
  • 稲垣 明子, 長谷川 千尋
    2015 年 104 巻 2 号 p. 291-294
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    症例は23歳の男性.前医での腸チフス治療後,当院の便培養で“保菌者でない”と診断された.数日後,発熱と下痢が出現し,近医より当院紹介.血液培養でLevofloxacin(LVFX)耐性Salmonella typhiが検出され,腸チフスの再燃と診断した.近医で処方されたAzithromycinで症状は改善せず,Ceftriaxone(CTRX)に変更し軽快した.腸チフスは第一選択薬のQuinolone系薬剤に耐性が進んでいること,また“保菌者でないこと”を確認した後にも再発する可能性があることを念頭に置き,診療にあたる必要がある.
  • 秋山 慎介, 杉本 啓介, 田中 隆一郎, 惠良 有紀子, 横山 祐二, 上田 裕介, 藤井 昌学, 梶本 和宏
    2015 年 104 巻 2 号 p. 295-297
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.労作時呼吸困難と咳嗽を主訴に来院し,気管支鏡検査施行し,BALでリンパ球比率の増多と胸部CT画像を併せて非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)と判断し,副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤を投与した.その後,状態が不安定であったため,VATS施行し,fibrotic NSIPとの診断を得た.そのままの治療を継続したが,症状増悪とともに筋炎症状が発現した.同時期の抗体検査の結果から抗ARS抗体症候群(anti-synthetase syndrome:ASS)との診断に至り,ステロイドを増量し加療したところ改善を認めた.
  • 小湊 知, 楠本 茂, 増田 有彩, 石田 高司, 小松 弘和, 溝下 勤, 城 卓志, 新実 彰男, 稲垣 宏, 飯田 真介
    2015 年 104 巻 2 号 p. 298-301
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    44歳,男性.くり返す下痢,腹痛,嘔吐,発熱あり,ダブルバルーン内視鏡(double balloon endoscopy:DBE)で小腸型Crohn病と診断された.治療抵抗性を示し,CTで腹腔内リンパ節腫大,肝腫大を指摘.FDG-PETで腹腔内リンパ節と胃噴門部に異常集積を認め,胃検体の免疫染色およびEBV(Epstein-Barr virus)モノクロナリティにて,腸管節外性NK/T細胞リンパ腫と診断した.後方視的にDBEの小腸検体で同様の病理所見を認め,化学療法にて症状と検査所見は著明に改善した.
  • 森下 佳穂, 豊嶋 敏弘, 佐野 直子, 原田 博基, 大澤 途代, 渡辺 耐, 半田 満里子, 小澤 佳広, 松永 勇人
    2015 年 104 巻 2 号 p. 302-304
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    シベンゾリンは中毒域に達すると膵β細胞におけるKATPチャネルを阻害するため,スルホニルウレア(sulfonylurea:SU)薬と同じ機序で免疫活性インスリン(immunoreactive insulin:IRI)分泌亢進効果をもたらし,低血糖発作を起こす1,2).本症例ではくり返す低血糖発作を主訴に来院した高齢者に対し,処方内容からシベンゾリン中毒を疑い,同薬の負荷試験でIRI分泌亢進が確認できたので確定診断とした.
医学と医療の最前線
  • 安倍 正博
    2015 年 104 巻 2 号 p. 305-313
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は,意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)より進展し,発症する.骨髄腫細胞内で起こるゲノム不安定性や遺伝子プロモーターのメチル化などのepigeneticな制御の異常により特定の遺伝子が活性化あるいは不活性化し,骨髄腫は多段階の発癌ステップにより進行する.また,このような骨髄腫細胞自身の細胞遺伝学的な異常に加え,本症に特徴的な病態の形成や腫瘍進展・治療耐性の獲得に骨髄腫細胞と骨髄内のみならず,骨外の微小環境との間の複雑な細胞間相互作用が注目されている.近年,MMの進展に関する分子病態の解明や新規薬剤の登場により,治療パラダイムが大きく変貌している.
  • 中田 光
    2015 年 104 巻 2 号 p. 314-322
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    肺胞蛋白症は末梢気道内にサーファクタント由来の不溶性物質が異常に貯留する疾患であり,進行すると呼吸不全を呈する.病因により,自己免疫性,続発性,遺伝性に分類される.自己免疫性肺胞蛋白症は患者に豊富に存在する抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony stimulating factor:GM-CSF)に対する自己抗体(以下,GM-CSF自己抗体)が病因である.標準療法は全身麻酔下での肺胞洗浄であるが,近年,GM-CSF吸入療法の有効性が示唆されている.続発性肺胞蛋白症のおよそ8割は,血液疾患に続発する.中でも骨髄異形成症候群によるものが多い.治療は原疾患の治療に準ずる.遺伝性肺胞蛋白症では,近年GM-CSF受容体の変異が報告された.細胞治療,遺伝子治療の開発が進められている.
  • 大泉 英樹, 武田 篤
    2015 年 104 巻 2 号 p. 323-329
    発行日: 2015/02/10
    公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    Alzheimer病(Alzheimer's disease:AD)やParkinson病(Parkinson's disease:PD)を代表とする神経変性疾患は,高齢社会への移行とともに増加傾向にある.一般に,発症時にはすでに神経変性がかなりの程度進んでおり,治療効果に限界があることから,より早期に治療介入するための方法論が検討されてきた.一方で最近,病気の進行を遅らせるdisease modyfing therapy(DMT)の開発も進んでいる.もしも発症前に診断が可能となれば,DMTによる超早期の治療介入が可能となり,発症時期を遅らせることにより,介護・医療負担を軽減できるだけでなく,労働可能人口を増加させるなど様々な副次的効果がもたらされる可能性もある.こうしたことから,現在,発症前診断に関する臨床研究が広く行われている.疾患をより早期に検出する戦略としては次の2段階1),すなわち,最初は低侵襲でコストがあまりかからず,感度が高い検査を用いてスクリーニングをし,次に特異度が高い検査を用いて精度を上げるための方法論が重要である.こうした戦略を確立し,近い将来に発症前診断が実用化されることが期待されている.
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シリーズ:患者の言葉・身体所見を読み解く
シリーズ:患者中心のメディカルホームとは何か?~ヘルスケア供給システム再構築への示唆~
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