日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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105 巻, 11 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 輸入感染症Up To Date
Editorial
トピックス
MCQ
特別掲載
  • 隈丸 拓, 香坂 俊, 友滝 愛, 一原 直昭, 岩中 督, 宮田 裕章
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2183-2193
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    近年,学会などが主体となって運営する症例レジストリ(以下,レジストリ)が国内外で増加している.一方,特に医療機器開発の分野において,レジストリと新規承認機器の使用成績調査との連携が開始されている.しかし,どのようなレジストリであれば使用成績調査との連携が可能なのか,その条件は必ずしも明確でない.本稿では,使用成績調査とレジストリを連携させる際,満たすべき主要な要件を検討した.その内容は,海外の主要学会・規制当局・関連団体などで提示されている設計,運営,使用に関する提言,ならびに国内外の実際の連携事例のレビュー,そして連携に関わる国内関係者らとの議論をもとに構成された.前半部に日本における質の高いレジストリに必要と考えられる運営体制を総攬し,後半部に使用成績調査との連携に必要な条件をまとめている.

シリーズ:診療ガイドライン at a glance
今月の症例
  • 小林 剛, 佐藤 賢, 山崎 勇一, 大山 達也, 堀口 昇男, 柿崎 暁, 草野 元康, 山田 正信, 横濱 章彦, 岡本 宏明
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2215-2220
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    52歳,女性.多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植後,複数回輸血を行った.定期受診の際に肝機能障害が認められ,精査目的で入院.HEV(hepatitis E virus)-IgA抗体陽性からE型急性肝炎と診断し,肝庇護療法にて軽快,退院とした.喫食歴からは感染源は特定できず,輸血による感染を疑った.輸血に使用したロットの保存血清からHEV-RNAが検出され,患者検体とHEVの塩基配列が一致したため,輸血によるE型肝炎と診断した.

  • 岸森 健文, 小菅 邦彦, 井上 豪, 関 淳也, 犬塚 康孝, 武田 晋作, 竹内 雄三, 岡田 正治, 池口 滋
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2221-2229
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    院内心停止で自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)がショック不要と判断した中に3例の心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)が含まれていた.事後検証で解析システムには問題がないとわかった.医療関係者は,AEDによる解析の限界を認識しておく必要がある.また,心電図モニターをいち早く患者に装着し,必要に応じてマニュアル除細動器を手配することが求められる.心電図モニター付きAEDを設置している施設では,マニュアルモードに切り替えて電気ショックをする方法に習熟しておく必要がある.

  • 荒木 慧, 原田 和歌子, 部村 公香, 朝山 直樹, 青山 大輝, 永井 道明, 行武 正伸, 小田 登, 加藤 雅也
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2230-2236
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    78歳,女性.意識障害を主訴として搬送され,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)を呈し,急激な経過で全身状態の悪化,死亡に至った.マダニによる刺し口は認められなかったが,SFTSV(severe fever with thrombocytopenia syndrome virus)が検出され,重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)と診断した.本疾患はSFTSVによるダニ媒介性感染症で,2011年,中国で新たに発見され,日本国内では2013年以降,西日本を中心に症例報告がある.ウイルス関連血球貪食症候群(virus-associated hemophagocytic syndrome:VAHS)の原因の1つとしてSFTSを鑑別する必要がある.

  • 德永 忠浩, 三好 俊太郎, 玉本 聖佳, 山本 翔太郎, 西田 紋子, 谷本 琢也, 庄田 浩康, 石川 暢久, 前田 裕行
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2237-2244
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    63歳,男性.発熱・多関節痛を主訴に入院し,PMR分類基準(EULAR/ACR 2012年)を満たしたものの,ステロイド治療で改善・再燃を繰り返した.自己炎症性疾患が疑われ,MEFV exon5のヘテロ変異(S503C)を認め,家族性地中海熱(familial Mediterranean fever:FMF)と診断し,コルヒチン投与を開始した.HLA-B*39HLA-B*40を有し,常染色体劣性遺伝疾患の単独ヘテロ変異での疾患促進因子となった可能性が考慮された.再発性の発熱・関節痛の鑑別疾患としてFMFがあり,その非典型例の診断にMEFV解析とともにHLA解析が有用である.

医学と医療の最前線
  • 山下 武志
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2245-2250
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    ビタミンK拮抗薬のワルファリンは,50年以上唯一の経口抗凝固薬として,心房細動,静脈血栓塞栓症に対して用いられてきた.2011年よりトロンビン阻害薬のダビガトラン,Xa阻害薬のリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンという4つの直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)が利用可能となり,その簡便性からこれらの病態に対する抗凝固薬のunderuseが改善されつつある.これらのDOACはいずれも大多数の患者を対象としたグローバル型大規模臨床試験でその有効性,安全性が証明されている.一方で,1)日本におけるワルファリン使用法はこれまでグローバル基準と同一でなかったこと,2)日本ではグローバルと比較して急速に高齢化が進み,大規模臨床試験の登録基準には当てはまらない高齢者が極めて多いことなど,大規模臨床試験の成績だけで日本の医療向上が単純に期待できるわけでなく,今後,様々な新しい課題の解決が必要である.

  • 五野 貴久, 寺井 千尋
    2016 年 105 巻 11 号 p. 2251-2258
    発行日: 2016/11/10
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    多発性筋炎(polymyositis:PM)/皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)は,自己組織に対して過剰な免疫応答が生じる結果,筋肉,皮膚,関節,肺などに炎症を来たす膠原病である.皮疹を認めない場合はPM,特徴的な皮疹を伴う場合はDMと診断する.PM/DMでは間質性肺炎や悪性腫瘍の併発が比較的多い.モデルマウスを用いた病態機序の解明,自己抗体の発見とその測定法の開発,間質性肺炎を併発したPM/DMの診断・治療のマネジメントなど,ここ10年で日本より世界へ多くの研究成果が発信された.2015年には厚生労働省自己免疫疾患に関する調査研究班内PM/DM分科会により治療ガイドラインが作成された.これらの成果により,日常診療を行う上で非常に有用なノウハウが,医療従事者や患者を含め世の中へ示された.今後,PM/DM患者の機能予後・生命予後のさらなる改善をめざし,具体的な個別化医療の確立が求められる.

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シリーズ:内科医と災害医療
シリーズ:一目瞭然!目で診る症例
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