日本内科学会雑誌
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105 巻 , 5 号
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内科学会NEWS
目次
特集 慢性腎臓病と心血管系疾患
Editorial
トピックス
I.基礎
  • 脇野 修
    2016 年 105 巻 5 号 p. 793-801
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)における高血圧のパターンは夜間高血圧,dippingの消失,仮面高血圧といった血圧日内変動の異常,血圧変動性の亢進が特徴であり,自由行動下血圧測定(ambulatory blood pressure monitoring:ABPM)による24時間血圧測定や家庭血圧測定が重要である.さらに,治療抵抗性であり,その原因として塩分貯留,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の亢進のみならず,交感神経活性の亢進,血管内皮機能障害,血管構造異常といった機序も関与する.

  • 田村 功一
    2016 年 105 巻 5 号 p. 802-810
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    日本では慢性腎臓病による末期腎不全患者がなお増加中であり,末期腎不全の抑制,そして,慢性腎臓病に合併する心血管疾患の抑制が大きな課題である.この“心腎連関”リスクは,アルブミン尿・蛋白尿と推算糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)によって評価される慢性腎臓病の重症度によって規定される.また,“心腎連関”には体液調節障害と内皮障害に関連する多くの因子が関与しており,特にアルブミン尿は共通の基盤病態としての血管内皮障害を反映し,動脈硬化の評価にも有用である.慢性腎臓病での血管内皮障害には一酸化窒素(NO)産生酵素の異常が関与しており,今後,慢性腎臓病での動脈硬化症に対する血管内皮細胞活性化治療の意義も注目される.

II.各論
  • 古波蔵 健太郎, 大屋 祐輔
    2016 年 105 巻 5 号 p. 811-817
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    腎硬化症では,小細動脈硬化症から糸球体硬化,尿細管間質の線維化を引き起こすと考えられており,高血圧に加えて加齢など様々な因子が病態機序に関与している.急速に高齢化が進む我が国において,末期腎不全の原因としてより重要性が増すと予想される.腎内小細動脈症に関連した虚血と糸球体高血圧が腎障害の進展機序として重要であるため,蛋白尿を指標に症例ごとにそれぞれの寄与度を考慮して,降圧目標や使用薬剤を考える必要がある.

  • 藤井 秀毅, 西 慎一
    2016 年 105 巻 5 号 p. 818-824
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)において心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)は重要な問題であり,死亡原因の第一位であることが知られている.慢性腎臓病では冠動脈疾患の頻度は高いが,そのステージが進行すると急性冠症候群よりも心不全が発症することが多いと考えられている.それには石灰化の関与や微小循環障害の関与が推測されている.造影剤による腎機能低下を懸念し,慢性腎臓病という理由で不適切な治療を行うことは避けるべきであり,病態に応じて適切な治療を行うべきである.

  • 鶴屋 和彦
    2016 年 105 巻 5 号 p. 825-833
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は脳血管疾患の重大なリスクであり,高血圧,脂質異常症,心房細動,貧血治療などの関与が指摘されている.したがって,脳血管障害の予防にはこれらの危険因子を良好に管理することが重要であるが,心房細動合併例に対する抗血栓療法については,非CKD例と対応を変える必要性が示唆されている.発症後の治療についても,CKD患者における血栓溶解療法や血管内治療の予後は不良であり,その適応決定には慎重な姿勢が求められる.

  • 長谷部 直幸
    2016 年 105 巻 5 号 p. 834-841
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病は,高血圧および動脈硬化を介して高率に大動脈病変を合併する.大動脈解離と大動脈瘤が代表であり,腎機能の悪化と高血圧の重症化により病態は深刻化する.一刻を争う病態と待機的に対応可能な病態の迅速な鑑別が求められ,降圧の徹底による内科的治療と血管内治療および人工血管置換術の外科的治療を病態に応じて適用する.大動脈石灰化も高率に認められ,その発生機序と心機能に及ぼす病態的意義が注目されている.

  • 小林 修三
    2016 年 105 巻 5 号 p. 842-849
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は,DM(diabetes mellitus)の有無にかかわらず,末梢血動脈疾患(peripheral artery disease:PAD)の独立した危険因子である.また,CKD患者のPADは血管石灰化の存在と下肢のより末梢に病変があるので,診断と治療が困難となる.早期に末梢微小循環障害を捉える必要がある.ABI(ankle-brachial pressure index)は基本となる重要な検査であるが,血管石灰化の影響を受けて高値となるので注意が必要で,診断はこれのみに頼れない.フットケアや抗血小板薬,血行再建など組み合わせた集学的治療が重要である.

  • 長谷 弘記
    2016 年 105 巻 5 号 p. 850-856
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    コレステロール塞栓症を原因とする慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は増加傾向にある.その原因は血管内インターベンション治療の増加にある.動脈硬化性プラークは腹部大動脈を中心とする大動脈に好発するため,カテーテルなどが大動脈壁を擦過する際にプラークの破裂を誘発する.手技操作直後に発症する急性腎障害(acute kidney injury:AKI)以外,手技操作から数カ月~数年にわたって虚血性腎障害が進行するCKDの病態をとる頻度が増加傾向にある.

MCQ
特別寄稿
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 吉良 潤一
    2016 年 105 巻 5 号 p. 894-904
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は,若年成人を侵す神経難病では最も多く,中枢神経髄鞘を標的とする自己免疫疾患と考えられているが,証明はできていない.近年,再発や新規病巣の出現を抑制できる疾患修飾薬が次々と開発され,日本でも4種類が臨床応用されるようになった.最初の疾患修飾薬であるインターフェロンベータ(interferon beta:IFNβ)は多面的な作用機序を有し,再発抑制は30%程度に過ぎなかった.しかし,最近では切れ味のよい分子標的薬が開発され,顕著に再発は抑えられるようになった.それでもなお,障害の慢性的な進行を抑制できると証明された疾患修飾薬は開発されておらず,大きな課題として残されている.

  • 奈良 正之
    2016 年 105 巻 5 号 p. 905-910
    発行日: 2016/05/10
    公開日: 2017/05/10
    ジャーナル フリー

    サルコイドーシス(以下,サ症)の日本での発症率は人口10万対1.01で,女性に多い傾向がある.かつては健診で胸部X線異常を指摘されて発見されることが多かったが,現在では有症状で見つかることが多く,中でも眼症状(霧視,視力低下など)が多い.サ症は全身性の疾患でどの臓器にも出現し得るが,肺への罹患が最も多い.発症の原因は不明とされてきたが,最近までの研究でPropionibacterium acnesP. acnes)が有力な候補の1つと考えられている.P. acnesは常在菌であるため,発症には宿主側のP. acnesに対する過剰な免疫応答が関与していると考えられる.診断の原則は組織学的に非乾酪性肉芽腫を証明し,かつ他の肉芽腫性疾患を除外することであるが,2015年の「難病患者に対する医療等に関する法律」(難病法)の改正で一部診断基準に変更があった.治療の第一選択薬はグルココルチコイドである.しかし,サ症は自然治癒することが多いので,治療導入の決定には慎重を要する.

専門医部会
シリーズ:一目瞭然!目で診る症例
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