日本内科学会雑誌
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107 巻 , 6 号
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内科学会NEWS
目次
特集 呼吸器コモンディジーズ診療における多元的アプローチの重要性
Editorial
トピックス
  • 大林 浩幸
    2018 年 107 巻 6 号 p. 999-1006
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の炎症は,肺局所にとどまらず,全身性炎症を惹起し,多種多様の全身性の併存症を誘発し,その多くはプライマリ・ケア領域のコモンディジーズである.本稿では,生活習慣病関連疾患や骨粗鬆症,サルコペニア,不安症・うつ,認知症等の併存症に焦点を当てる.また,プライマリ・ケア領域では,軽症~中等症COPD患者の多くが未診断・未治療で潜在する可能性がある.併存症は患者の身体活動性やQOL(quality of life)の低下を来たし,COPDの増悪にも直結するため,COPDの早期診断・治療とともに,包括的な疾病評価と全身管理が必要である.

  • 久米 裕昭, 磯矢 嵩亮
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1007-1016
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    高齢者の喘息と慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,明確に鑑別できないだけでなく,両疾患は合併する場合がある.「喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き2018」(日本呼吸器学会,2017年)に従って診断を進め,吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids:ICS),吸入長時間作用性気管支拡張薬を投与する.しかし,肺機能検査(可逆性,拡散能),CT(computed tomography),呼気中一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide:FeNO)等が必要であるため.一般医家では実施困難である.また,手引きの内容は記述的要素が多く,正確な診断に導く手引きとまでは言い難い.

  • 須田 隆文
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1017-1027
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,全身性のさまざまな疾患と併存することが知られているが,呼吸器領域でも肺癌,肺線維症・間質性肺炎等を合併する.これらの肺合併症は,COPD患者のQOL(quality of life)や予後等に大きな影響を与え,COPD診療においては,肺合併症を含めた包括的な管理が重要である.さらに,COPDと同様,肺癌,肺線維症・間質性肺炎の発症には喫煙が関連しており,これらの疾患には共通した発症機序が推定されている.今後の研究の発展によって,COPDと肺合併症の両者を標的とした新規治療法の開発が期待される.

  • 石川 暢久
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1028-1034
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は,慢性かつ進行性の経過をたどり,高度の線維化が進行する,悪性腫瘍に準じて予後不良の疾患である.IPFの診断精度は,高分解能CT(high-resolution computed tomography:HRCT),胸腔鏡下肺生検,多面的集学的検討(multidisciplinary discussion:MDD)により向上してきた.治療面では,IPFに対する抗線維化薬の有効性のエビデンスが蓄積され,患者毎に抗線維化薬による治療開始時期を決定するようになってきた.

  • 迎 寛
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1035-1042
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    これまで「市中肺炎」(community-acquired pneumonia:CAP),「院内肺炎」(hospital-acquired pneumonia:HAP),「医療・介護関連肺炎」(nursing and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)の3つに分かれていた日本呼吸器学会による成人肺炎診療ガイドラインが1つに統合され,「成人肺炎診療ガイドライン2017」(日本呼吸器学会,2017年)として発刊された.「Minds 診療ガイドライン作成の手引き」(日本医療機能評価機構)に準拠することで,エビデンスを重視したガイドラインとなり,また,診療のフローチャートでは「市中肺炎」と「院内肺炎/医療・介護関連肺炎」に区分し,特に高齢者肺炎への対応が詳しく検討される等,様々な点において改訂が行われた.

  • 大島 信治
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1043-1048
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    気管支喘息の病態の主座が気道炎症であるという認識のもと,吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids:ICS)が多くの喘息患者の症状コントロールに貢献した.しかし,吸入ステロイドや他の薬剤を組み合わせてもコントロール不良な,いわゆる,難治性喘息患者が一定数存在することも事実である.最近,難治性喘息患者に対し,新たな選択肢として脚光を浴びているのが抗体療法及び気管支サーモプラスティ(bronchial thermoplasty:BT)である.プライマリ・ケア医にとって,それらの知識を得ることは重要である.

  • 津田 徹
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1049-1055
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),間質性肺炎等の非がん性呼吸器疾患では,増悪を繰り返すたびに機能が低下,死に向かうモデルであり,がん疾患と比べて予後の予測が難しい.また,増悪時に救命のための治療が行われていることが多く,どこから緩和ケアを開始するのか判断が難しい.従って,増悪での入院の際には,個人の生き方を尊重できるよう,インフォームド・コンセントをもとに,これからの医療のあり方を患者の意思として確認しておくことが必要である.包括的呼吸リハビリテーションは,終末期に向かう人々のケアも包括しており,在宅酸素療法施行までには,呼吸リハプログラムの導入が望まれる.海外では,最終末期の呼吸困難に対してオピオイド使用が推奨されているが,本邦では,鎮咳以外の保険適用が認められていない.

座談会
MCQ
シリーズ:地域医療を実践する内科医とは
シリーズ:診療ガイドライン at a glance
今月の症例
  • 宮代 夢子, 遠藤 昌亨, 小杉 成樹, 高良 勝彦, 中橋 寛隆, 金 佳虎, 泉 知之
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1090-1094
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    44歳,女性.持続する発熱と血小板減少で当院を紹介され,入院した.東南アジアへの渡航歴があり,蚊媒介性ウイルス感染症が疑われた.横紋筋融解症を発症し,精査にてデング熱と確定診断した後に,高度肝機能障害を呈する重症型デング熱に進行した.デング熱に横紋筋融解症を合併することは稀である.重症型デング熱は,早期診断のうえで適切な輸液を行うことが救命率の向上に最も重要である.

  • 行本 敦, 小泉 洋平, 渡辺 崇夫, 吉田 理, 徳本 良雄, 廣岡 昌史, 沼田 結希, 竹下 英次, 阿部 雅則, 日浅 陽一
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1095-1101
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    症例は20歳代,男性.1年前より,全身倦怠感,体重減少がみられていた.当院転院1カ月前から皮膚搔痒感が出現.2週前,近医で肝機能検査異常を指摘され,前医に入院し,肝生検を施行された.非特異的な急性肝炎像の組織所見であった.その後,黄疸が増強し,当院に転院した.転院時,背部に10 mm大の不整形の淡紅色斑が多発していたことから,梅毒を疑い,RPR(plasma reagin test),TPHA(Treponema pallidum hemagglutination assay)陽性より,早期梅毒性肝炎と診断した.アンピシリン8週間の投与により,速やかに肝機能・黄疸は改善した.

  • 森 和真, 山下 智久, 安部 功記, 木村 幸滋, 田中 希尚, 茂庭 仁人, 古橋 眞人, 小川 弥生, 三浦 哲嗣
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1102-1107
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    69歳,女性.意識障害を主訴に来院.水頭症を伴う右小脳腫瘍に加えてネフローゼ症候群を呈していた.腫瘍は良性髄膜腫であり,腎組織は膜性腎症であった.免疫染色では,ホスホリパーゼA2受容体(phospholipase A2 receptor:PLA2R)染色は陽性で,IgGサブクラスIgG4優位と特発性に特異的とされる所見を認めたが,腫瘍摘出後1カ月後に寛解に至ったため,二次性膜性腎症と診断した.膜性腎症では良性・悪性問わず,原疾患の治療が奏効する可能性がある.

医学と医療の最前線
  • 重藤 寛史
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1108-1114
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    2016年,AMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionic acid)型グルタミン酸受容体拮抗作用をもつペランパネル(perampanel),ナトリウム・チャネルの緩徐な阻害作用をもつラコサミド(lacosamide)が本邦で発売開始となった.それ以前にも,本邦では2006年以降,ガバペンチン(gabapentin),トピラマート(topiramate),ラモトリギン(lamotrigine),レベチラセタム(levetiracetam)の4つの抗てんかん薬が発売となっている.ラモトリギン,レベチラセタムは催奇形性が少なく,ラモトリギンは部分発作,強直間代発作に対して,レベチラセタムは部分発作に対して単剤使用できるため,この2剤は第一選択薬として使用される頻度が高くなっている.ラコサミドはカルバマゼピンと同等の発作抑制作用を持ち,薬疹及び相互作用が少なく,単剤投与可能のため,今後,部分発作の第一選択薬として選択される機会が増えてくると思われる.ガバペンチン,トピラマート,ペランパネルは難治性てんかんの併用薬としての有効性が期待される.

  • 筒井 裕之
    2018 年 107 巻 6 号 p. 1115-1122
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2019/06/10
    ジャーナル フリー

    心不全に対する薬物治療は,利尿薬や強心薬による治療から神経体液性因子を抑制する治療へと,そのパラダイムが大きくシフトした.現在,アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme:ACE)阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin II receptor blocker:ARB),ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid receptor antagonist:MRA)等レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(renin-angiotensin-aldosterone:RAA)系抑制薬及びβ遮断薬が心不全の標準治療薬として位置付けられている.欧米を含め,世界各国では,既にアンジオテンシン受容体―ネプリライシン阻害薬(angiotensin receptor neprilysin inhibitor:ARNI)サクビトリル/バルサルタン(LCZ696)とIfチャネル阻害薬イバブラジンも使用されている.また,糖尿病治療薬であるナトリウム・グルコース共輸送体(sodium glucose cotransporter:SGLT)2阻害薬のエンパグリフロジンとカナグリフロジンが心血管イベント,特に心血管死や心不全による入院を減少させることが明らかとなり,心不全を対象とした大規模臨床試験が我が国も含め進行中である.

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