日本内科学会雑誌
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107 巻 , 7 号
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内科学会NEWS
目次
特集 急性白血病
Editorial
トピックス
  • 菊繁 吉謙, 宮本 敏浩
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1272-1278
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は,代表的な高悪性度造血器腫瘍であり,超高齢社会を迎えた現在の日本において症例数の増加を認め,治療法を含めた疾患理解の重要性が増してきている.AMLの病態形成の中心とされる白血病幹細胞の純化・同定から20年以上が経過し,AMLの病態理解は飛躍的に高まったといえる.この間,種々の新規解析技術の進展にあわせて,白血病幹細胞研究は白血病発症機構の解明のみならず,臨床的予後との関連性,特異的治療標的分子の同定等,非常に幅広い展開をみせている.これは,白血病幹細胞モデルを用いた病態理解が,基礎的白血病モデルのみならず,実際のヒトAMLの理解においても有用であることを示している.さらに,現在では,次世代シークエンサーを用いた遺伝子変異解析からも,AML発症に必要な遺伝子変異群に関する解明が進み,同時に,どのようにして白血病幹細胞が出現してくるのかというAMLの病態形成の根本に関わる部分に関する理解も大きく深まった.本稿では,AMLの病態について,幹細胞研究から見えてきた近年の研究成果を中心に述べたい.

  • 神田 善伸
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1279-1286
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)に対する治療では,患者年齢,全身状態,臓器機能,診断時の予後予測等に基づいて,治療戦略を構築することが重要である.化学療法によって高頻度に完全寛解が得られるが,その後の再発が多い.そこで,造血幹細胞移植が試みられており,一般的には,予後中間群,予後不良群では,適切なドナーがいれば,第一寛解期の同種造血幹細胞移植が推奨される.再発例は再度寛解状態が再び得られた場合は,同種造血幹細胞移植の適応となる.ただし,これらの根治を目指した治療法は,高齢者や臓器障害を有する患者では困難であり,個々の患者に応じて弾力的に治療戦略を調整する必要がある.

  • 麻生 範雄
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1287-1293
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)の治療成績は,オールトランス型レチノイン酸(all-trans retinoic acid:ATRA)と亜ヒ酸(arsenic trioxide:ATO)の登場により飛躍的に向上した.両薬ともに,特異的な染色体転座由来の融合タンパクPML-RARαに対する分子標的治療薬である.ATRAと抗がん化学療法により90%以上に寛解が得られ,全生存率は80%前後である.播種性血管内凝固に伴う臓器出血と再発が課題である.海外では,ATRAと亜ヒ酸の併用を寛解導入と地固め療法として行い,良好な成績が得られている.

  • 清井 仁
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1294-1300
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    がん細胞における分子病態の解明とともに,多くの分子標的薬が臨床応用されている.急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の発症・進展に関与するdriver変異が同定され,これらdriver変異を標的とした多くの阻害薬や抗体治療薬の開発が進められてきたが,長年,臨床応用に至らずにいた.2017年になり,FLT3(Fms-like tyrosine kinase 3)阻害薬,IDH(isocitrate dehydrogenase)2阻害薬等複数の標的治療薬剤が米国FDA(Food and Drug Administration)で認可される等,ようやくAMLに対する分子標的治療が実用化され,治療成績の向上が期待されている.

  • 長藤 宏司
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1301-1308
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    ・フィラデルフィア染色体(Philadelphia chromosome:Ph)陽性急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)とPh陰性ALLでは大きく治療方針が異なり,ALLの診断後,早期にPhの有無を判定することが必要である.

    ・Ph陰性ALLに対しては,多剤併用化学療法を行う.

    ・思春期・若年成人ALLは,小児プロトコールで治療することが望ましい.

    ・Ph陽性ALLは,60歳以上の高齢者でも,チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor:TKI)を使用することにより,高率に完全寛解に導入できる.

  • 山内 高弘
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1309-1315
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    高齢者白血病の治療は,完治を目標とする若年成人と同一ではない.高齢者急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)の治療は緩和的支持療法,治療強度の弱い治療,完全寛解を目指した強力化学療法に3大別される.患者自身の身体機能,白血病の予後因子,患者・家人の希望,介護等社会的なサポートの有無の4面を考慮し,治療を選択する.寛解導入療法として,シタラビン(またはエノシタビン)+アントラサイクリンが強力化学療法として選択される.非強力治療として少量シタラビンがある.完全寛解到達後は複数回の地固め療法が行われることが多い.高齢者急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)では,若年者同様,オールトランス型レチノイン酸(all-trans retinoic acid:ATRA)と化学療法の併用により治療が行われる.ただし,治療関連死が増加するため,若年者に比し予後は不良である.亜ヒ酸は,初発症例に対して,保険適応除外である.高齢者急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)では,フィラデルフィア染色体陽性例に対して,チロシンキナーゼ阻害薬と化学療法または副腎皮質ステロイドとの併用治療が行われる.陰性例では,伝統的抗腫瘍薬を減量する併用療法が主体となる.イノツズマブオゾガマイシンの臨床効果が今後期待される.

  • 賴 晋也, 松村 到
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1316-1323
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    治療関連白血病(therapy-related acute myeloid leukemia:t-AML)は,悪性腫瘍に対する放射線照射や抗がん薬がDNA(deoxyribonucleic acid)や染色体を損傷することで発症する.BRCA1/2異常等の遺伝性素因を有する患者やTP53変異等によるクローン性造血を示す患者で発症リスクが高い.治療関連白血病は,de novo白血病と比較して予後不良な染色体異常が多く,前治療による臓器障害もあり,予後不良である.今後,より有効な治療法の確立とともに,発症予防も検討する必要がある.

  • 南谷 泰仁
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1324-1330
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    ゲノム解析技術の飛躍的な進歩によって,ゲノム医療が臨床に導入されつつある.ゲノム医療は,個々の患者の腫瘍細胞が有する詳細な変異情報に基づいて,適切な診断,予後予測,治療薬剤の選択を可能とすることで,医療の個別化を推進し,診療成績を向上させる可能性を秘めている.しかし,ゲノム解析の結果を適切に解釈するためには,解析技術に対する正しい理解が必要である.同時に,新たに生じる倫理的な問題に関する認識も重要である.

MCQ
シリーズ:地域医療を実践する内科医とは
シリーズ:診療ガイドライン at a glance
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 田中 廣壽, 吉川 賢忠, 山崎 広貴, 上原 昌晃, 小田 彩
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1373-1384
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    骨格筋は,運動や姿勢保持のみならず,全身のエネルギー代謝調節においても基幹的役割を担っている.近年,骨格筋によるエネルギー代謝調節は,栄養状態のみならず,筋が受ける機械的刺激(張力等),酸素濃度,性ホルモン,時計遺伝子産物等の多彩な因子によって精緻な調節を受けることが明らかになってきた.また,骨格筋由来の代謝産物やサイトカイン様物質が他臓器機能を異所性に制御することも注目されている.今回,筆者らは,ステロイドによって誘発される筋萎縮(ステロイド筋症)の克服に向けて,骨格筋量制御におけるステロイドとその受容体の役割とともに,骨格筋―肝臓―脂肪シグナル軸を発見し,骨格筋による遠隔臓器の代謝,特に脂肪組織制御の分子機構の一端を解明した.本研究は,骨格筋と個体レベルのエネルギー代謝との連関―メカノ―メタボ カップリング―を医療に応用・展開する新しいパラダイムの構築に貢献するのみならず,多数の臓器システムの連関から生体を理解することの重要性を示している.

  • 池住 洋平
    2018 年 107 巻 7 号 p. 1385-1390
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    近年,胎児期及び出生後の生活環境が成人期における生活習慣病発症に関与するというdevelopmental origins of health and disease(DOHaD)仮説が提唱され,多くの疫学研究,動物実験等から,その妥当性が認識されるようになった.我々は,腎生検にて巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)と診断された患児の多くが低出生体重であることを見出し,さらに,これらの患児では,腎における糸球体肥大や密度の減少等がみられることを報告した.このような低出生体重児に生じる臓器障害機序は,腎疾患にとどまらず,さまざまな成人疾患の病態に関わると考えられ,低出生体重を成人期疾患の発症を予測する1つのパラメータとしてとらえ,低出生体重児を生じる要因の改善とともに,生活環境の改善を通じた予防策を講じる必要があると考えられる.

専門医部会
シリーズ:一目瞭然!目で診る症例
学会合同事業報告
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