日本内科学会雑誌
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内科学会NEWS
目次
特集 内科医が見逃してはいけない治療可能な代謝性神経疾患
Editorial
トピックス
  • 大林 光念
    2025 年114 巻8 号 p. 1358-1363
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    患者人口が多く,超早期からの治療が大きな意味を持つにもかかわらず,自覚症状の乏しさから,ともすれば日常診療の場で診断が遅れがちな耐糖能異常に伴う神経障害であるが,①その検出が可逆的な時期での早期治療に繋がり得る,そして②その早期治療がヒトの健康寿命やADL,QOLを改善しうる,という点から,早期診断の意義は高い.様々な検査法を駆使することで本病態をより早期に検知し,可逆的な段階で適切な治療を施す必要がある.

  • 米田 誠, 松永 晶子
    2025 年114 巻8 号 p. 1364-1371
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    甲状腺は全身の代謝の要の内分泌器官で,その機能低下や亢進は様々な神経障害をもたらす.一方,甲状腺は自己免疫の標的ともなる.橋本脳症は甲状腺疾患(橋本病)に伴う自己免疫性神経疾患である.橋本脳症を含めて甲状腺疾患に伴う神経障害は多彩である.鑑別も多岐にわたる.甲状腺疾患に伴う神経障害の多くは,早期診断と適切な治療選択によって治癒することから,「見逃してはいけない治療可能な代謝性神経疾患」の一つといえる.内科日常診療において神経症状の患者を診察する際は,橋本脳症を含めた甲状腺疾患を常に念頭に置くことが肝要である.

  • 平賀 陽之
    2025 年114 巻8 号 p. 1372-1377
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    ビタミンB群の欠乏は,脳症・脊髄症・多発ニューロパチー・視神経障害をきたしうる.ビタミン欠乏性神経疾患は稀ではなく,一般内科医も日常診療で遭遇しうる.ビタミン欠乏性神経疾患は,典型例では診断は容易だが,非典型例も多く,早期診断が難しい場合も多い.そのため,アルコール使用障害や胃切除後など,ビタミン欠乏のハイリスク患者が神経症候を呈した場合は,確定診断を待たずに大量のビタミンB群を投与する.

  • 原田 大, 大江 晋司, 本間 雄一
    2025 年114 巻8 号 p. 1378-1381
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    ウイルソン病は遺伝性銅代謝異常症である.肝細胞の銅輸送体であるATP7Bの機能が遺伝子変異により低下し,胆汁中への銅の排泄が障害される.発症年齢や症状が多彩である.肝障害と神経症状が主なものであるが,それ以外の症状をとりうる.本症は薬物により治療可能な遺伝性疾患である.適切に治療を受けた場合の予後は良好であるが,進行した症例の予後は不良である.肝障害の患者の診療においては,本症を思い浮かべて診断することが極めて重要である.

  • 矢﨑 正英
    2025 年114 巻8 号 p. 1382-1387
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    成人型シトルリン血症は,シトリン欠損症に起因する先天性代謝異常症であり,難治性の肝性脳症を発症する.シトリンは,ミトコンドリア膜上のアスパラギン酸―グルタミン酸キャリヤーであり,本症患者では,特に糖質の過剰摂取で病態が悪化することが知られている.治療に関しては,肝移植療法が有効であるが,侵襲性の問題もあり,最近では低炭水化物食を基本とした食事療法を含めた非肝移植療法が主体になってきている.

  • 植田 光晴
    2025 年114 巻8 号 p. 1388-1394
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    アミロイドーシスは,特定の可溶性蛋白質が不溶性のアミロイド線維となり組織沈着し臓器障害をきたす疾患群である.近年,診断技術と治療法が飛躍的に進歩し,特にATTRアミロイドーシスやALアミロイドーシスは早期診断・治療により予後改善が期待できる.本稿では,内科医が遭遇しうる主要な病型(ATTR,AL,AA,Aβ2M,その他)を中心に,その病態生理,臨床像,診断(生検,タイピング,画像,バイオマーカー),最新治療(TTR安定化薬,遺伝子サイレンシング療法,化学療法,支持療法)を概説する.原因不明の臓器障害(心不全,腎症,神経障害等)や手根管症候群などから本症を疑い,適切な診断と治療につなげることが重要である.

  • 小山 信吾
    2025 年114 巻8 号 p. 1395-1402
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    脳腱黄色腫症は,常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる先天性胆汁酸代謝異常症であり,CYP27A1遺伝子変異による27―水酸化酵素の機能障害が病因である.臨床的には黄疸・胆汁うっ滞,慢性的な下痢,若年性白内障,腱黄色腫,若年性動脈硬化症,骨粗鬆症などの全身症状や成人期における多彩な精神・神経症状をきたす.一次胆汁酸の補充療法による疾患修飾療法を早期から行うことで高い治療効果が期待できる疾患である.

  • 中村 勝哉
    2025 年114 巻8 号 p. 1403-1410
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    ライソゾーム病は,ライソゾーム内の酵素活性低下により,基質が蓄積して細胞障害を引き起こす遺伝性疾患群である.ライソゾーム病の早期発見のため,新生児スクリーニングなどの政策医療が推進されている.特に,有効な疾患修飾療法が確立したライソゾーム病では,今後,内科医が診断や成人期の管理に関わる機会が増えると考えられる.本稿では,内科医が診療する機会が比較的多いと考えられるファブリー病とポンぺ病を概説した.

MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 富井 啓介
    2025 年114 巻8 号 p. 1425-1430
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    患者に優しく医療資源を節約できる非侵襲的呼吸補助(NIRS)には高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC),持続気道陽圧(CPAP),非侵襲的換気(NIV)の3種類がある.HFNCは一定濃度の酸素ガスを高流量で鼻腔内投与することで過剰な自発呼吸による肺障害を防ぐ役割があり,急性呼吸不全における挿管回避目的で広く使われるようになった.また死腔洗い出し効果などにより長期使用で慢性II型呼吸不全に対しても有効であり,COPDについては在宅使用が保険承認された.CPAPは急性I型呼吸不全に対してHFNCと同様の役割があり,より重症例での有効性が期待される.中でもインターフェースとしてヘルメットの使用が注目されている.NIVは二段階圧による換気補助が可能でII型呼吸不全に対する標準治療であるが,睡眠中の自発呼吸状況に応じた可変圧調整や在宅使用における換気パラメーターモニタリングなどが可能となっている.

  • 山口 健太郎, 片岡 圭亮
    2025 年114 巻8 号 p. 1431-1437
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    悪性リンパ腫は,成熟度の異なるB細胞,T細胞,ナチュラルキラー(natural killer:NK)細胞に由来するクローン性増殖によって発生する疾患の総称であり,臨床的のみならず,病理学的,分子学的,遺伝学的に非常に不均一な疾患群である.近年,次世代シーケンス(next-generation sequencing:NGS)技術の急速な進展により,その分子病態が大きく解明されつつある.その結果,2022年に改定された悪性リンパ腫の国際分類では,90種類を超える亜型への細分類が可能となった.特に,最も頻度が高いびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)は,悪性リンパ腫において最も高頻度で認められる病型であり,その分子病態の理解が最も進歩している.近年の研究によってDLBCLは複数のサブタイプに分類が可能であり,治療への反応性や予後が異なることから,分子病態に基づいた層別化治療に向けた試みが加速している.本稿では,DLBCLを例に,悪性リンパ腫の分子病態に関する最新の研究を概説する.

  • 安斉 俊久
    2025 年114 巻8 号 p. 1438-1445
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    近年,心臓病に対して多くの治療法が開発され,エビデンスに基づいたガイドラインによる推奨がなされているが,治療の選択においては,患者・家族の希望に基づいた緩和ケアチームによる意思決定支援として,アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が重要となる.広義のACPは,病状理解を確認し,将来の医療・ケアについて話し合うものであるが,狭義のACPは,意思決定能力が失われるなど終末期を含めた将来の状態の変化に備えるために,医療者が患者・家族と事前に話し合うプロセスを指す.一般的には,目の前の患者が1年以内に死亡したとしても驚かなくなった時期が狭義のACPを行うべきタイミングとされているが,心臓病においては突然死のリスクも考慮し,症状が安定していても年に1回は繰り返しACPを行うことが推奨されている.超高齢社会を迎え,生命予後だけでなく生活の質の改善を目指した適切な緩和ケアの重要性は高まっている.

  • 廣松 雄治
    2025 年114 巻8 号 p. 1446-1452
    発行日: 2025/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    我が国で行われた甲状腺眼症に対するTeprotumumabの第III相臨床試験の結果,Teprotumumabの有用性と安全性が確認され,2024年9月に医薬品医療機器総合機構より製造販売が承認され,同年11月にテッぺーザとして発売された.眼球突出に著効することから,活動性甲状腺眼症の治療の選択肢が増え,活動性甲状腺眼症診療のアルゴリズムが大きく変わりつつある.

    本稿では,我が国における甲状腺眼症の知見に基づき改訂された「バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針2023(第3次案)」およびTeprotumumabの知見を紹介し,今後の展望について概説した.

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