1. 健常家兎血糖に對する本系ホルモンの影響は一般に僅微であつて, たゞACTHのみに輕度の昇 (7-19%) 降 (11-33%) 的變化を認めるのみである.
2. 1側副腎剔出家兎血糖に對する本系ホルモンの影響は, 一般に僅微であつて, ACTHによる血糖動揺は健常の場合よりもその動揺度が一層輕微となる.
3. alloxan家兎後期高血糖に對して, 本系3種ホルモンは, いずれも降下的作用を現わし, 注射後1乃至3時間でその血糖位は最低位に達し, その後漸増若しくは不變な場合と, 注射後6時間に至る間漸減する場合とあり, その前者の場合にCortisone及びACTHが屬し, その後者の場合にDOCAが屬するその血糖降下作用の最強はACTHで, DOCAが之に次ぎ, Cortisoneが最弱である.
4. Insulin及びAdrenalinも共に, alloxan後期高血糖家兎に對し, 血糖降下的に作用するが, Insulinの方が降下作用も強く且つ急激で又元値復歸も急激である.
5. 葡萄糖液を健常家兎の腹腔内へ注入する, 糖二重負荷試驗に對する本系ホルモンの影響を見たのに, Cortisoneでは健常と殆ど相違無く, ACTHではStaub効果の陽性度が健常の場合程著明では無く, DOCAでは全血糖曲線經過が健常の場合よりも低い. 即ち糖處理機能に對し, ACTHは健常よりも輕微不良化せしむる樣に作用し, DOCAは糖處理機能を輕微促進せしむる樣作用する.
6. 1側副腎剔出家兎では, その糖處理機能は健常に比して促進せしめられる.
7. 1側副腎剔出家兎に於ける, 糖二重負荷試驗に對する本系ホルモンの影響では, 1側副腎剔出によつて促進せしめられた, 糖處理機能はACTHによつて抑制せられる樣になるが, Cortisoneでは殆どその影響が認められない.
8. Insulinの健常家兎血糖降下に及ぼす本系3種ホルモンの影響は輕微である. 1側副腎剔出後短時日 (3日後) の場合には, 該動物の血糖はInsulinに對して感性度が高められるのが見られ, その樣な動物では, Cortisoneによつては無影響であつたが, ACTHによつては, 明らかにantiins-ulineffectを有する事が證せられた.
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