日本内科学会雑誌
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48 巻 , 10 号
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  • 尾形 安三
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1535-1541
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    犬を使用し,十二指腸,小腸から肝に至る静脈系の血管および膵の3主要動静脈に50%ブドウ糖溶液6cc/10分間を注入し,その後の血糖調舗状態を観察した.水銀ラノリン溶液注入により観察すると,犬の膵の3主要動脈(上・下膵十二指腸動脈,脾動脈膵枝)の膵内潅流域はおのおのよく区分されている.膵の3主要静脈および糖質攝取の自然の門戸である十二指腸,小腸から肝に至る経路の静脈系(腸間膜離脈,門脈)に糖液を注入した場合は,いずれも末梢血糖の上昇がみとめられ,これらの部位には血糖上昇抑制に関する特異な機構はみられない.膵の3主要動脈に糖液を注入した場合,脾動脈膵枝(膵尾部を養う)に注入した場合に末梢の血糖上昇の抑制が最も顯著かつ特異的にみられる.また,門脈系の静脈に糖液注入時は動脈系(主として膵に注ぐ動脈)に比して血糖の上昇が著しく,血糖の下降はすみやかである.
  • 尾形 安三
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1542-1547
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    戸外にて飼育した犬を使用し,膵動脈潅流域における血糖調節機講を研究中,次の事実を知つた。すなわち,膵動脈膵枝(膵尾部を養う)に50%ブドウ糖溶液6cc/10分間を注入した場合,夏季でははなはだ顯著かつ恒常な来梢の血糖上昇抑制をみるが,冬季ではこの末梢の血糖上昇抑制はみられず,いちじるしい血糖上昇をみる.またこれとともに,他の諸動脈でも糖液注入後の末梢血糖の上昇が冬季では夏季よりいちじるしく,諸静脈では過血糖の戻りがおそくなることを確認した.
  • 尾形 安三
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1548-1552
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脾動脈膵枝に50%ブドウ糖溶液6cc/10分間を注入した場合,夏季では,末梢の血糖上昇抑制が最も恒常かつ顯著にみられる.かゝる血糖上昇抑制効果に及ぼす脾動脈膵枝周囲の神経剥離および膵体・尾部間切離の影響を,犬で観察したところ,かくのごとき操作により末梢血糖上昇抑制効果はほとんど完全に消失あるいは減弱する.また,脾動脈膵枝以外の動脈へ糖液を注入した場合も,かかる操作により末梢血糖は対照に比し,いちじるしく上昇し,いわゆる冬季無処置の成績に似る.かゝる操作をおこなうと,肝の血糖調節作用に変化がおこる.以上の成績より,脾動脈膵枝に糖液を注入した場合にみられる末梢血糖上昇抑制効果の機座には,膵尾部から脾動脈膵枝周囲神経を経て,肝の血糖調節作用に影響を及ぼす神経反射機構の存在が想定される.
  • 中岡 秀男
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1553-1563
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    異なった体位において肺の換気動態がいかなる差異を示すかについて,肺圧縮率(肺compliance)と機械的抵抗を各体位において測定して,観察し,起坐呼吸の発生機構を追求する一助とした.健常者,肺疾患々者および心疾患々者の3群について坐位,右側臥位,左側臥位および背臥位において測定した結果は,いずれの疾患群も坐位でcompliance最も大,機械的抵抗最も小であつた.臥位への体位変換によるcomplianceの低下度は各疾患群に大差がみられなかったが,機械的抵抗は,肺疾患群でその増加が最も大であり,しかも左側に比し右側臥位における方が,また心疾患群では右側に比し左側臥位の方がより大なる傾向がみられる.これらの結果と,心不全患者に最も強く現われる起坐呼吸ならびにしばしば右側偏側臥呼吸(trepopnea)のみられる事実とを関連させて発生機構について檢討した.
  • 重住 道彦
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1564-1574
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    北大医学部吉本の考案せる超低周波テーブル,すなわち,テーブルの固有振動数0.32c/s,二方向,全重量2.9kg,非制動テーブルで,これに, Elliottの水銀加速度計(0~3000c/sまで測定可能)を取り付けたものを使用し,健康成人男女11名について,生理的状態のもとに與えうる種々女の負荷に対するバリストカージオグラムの形態ならびに発生時間の変化から,各波の素因を明らかにする実驗を試み次のごとき結果をえた.すなわち, H波は心尖の收縮初期の移動により, I波は心室内におこる血流の反作用により, J波は大動脈弓への血流衝撃によると考えられ, I-Jストロークは心拍出量ならびに拍出速度に関係し, K波は血流の下行末端衝撃により, L波は一種の休止期と解され, M波は動脈内血流に関係があり, NおよびO波は拍出血流とは関係が薄く,左右方向バリストは心筋自体の反力の影響が強いことを認めた.
  • 岩淵 敏夫
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1575-1584
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の病理学的研究は,他の臨床的研究に比して遲滞しており,その病理観の確立が望まれていた.著者は,本症の手術および剖檢材料について病理組織学的研究をおこない,從来の所説に新知見を加え,本症の病理組織学的特性を明らかにした.すなわち,本症の炎症性変化は表層性かつ瀰漫性である.病変部位は下部大腸に高度で頻度が高い.潰瘍形成の初期病変は陰窩膿瘍のみならず数種の方式がある.炎の性質は主として滲出性であるが病期によつて相違がある.粘膜の修復は早期にかつ旺盛に營まれ,このさい基底膜が重要な役割を演じ,また基底膜の変化が強い.本症の假性ポリープの発生に三つの方式のあるなどを明らかにした.また,松永教授の分類による本症の第I型,第II型には病理組織学的に明確な相違があり,病因論的立場からも相異なる病型と考えられる.特に,第I型はアレルギー性起因が考慮される.
  • 大島 久
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1585-1600
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    細菌性多糖類分画,組織多糖類などのHost Response生起物質たる高分子,高粒子物質を家兎に連続投与して,実験的に心筋硬塞及び心筋硬塞様障害を作製した.この非開胸的に作製した心筋硬塞によつて心電図がどの様に変化するかを経過を追つて研究した.一般的傾向としては病巣の程度に比例する心電図変化を見たが,中に心電図変化と病巣と並行しないものが多くあつた.即ち心内膜下筋層に広汎な硬塞が認められながら心電図QRS, ST-Tに全然変化が見られなかつたもの及びQRSに著明な変化が無く,軽いSTの変化を見たものが多くあつたことは注目に値する.しかし従来の心電図に変化として認められなくともベクトル心電園から心筋硬塞の発現を診断し得るのではないかと考えられる.そこで上述の内からベクトル心電図を並行して撮影した結果, QRSベクトル環の前方起始部の減少,消失から前壁中隔硬塞, QRSベクトル環下部,側部の変形から後・側壁硬塞が診断された.このベクトル心電図の変化の内で心電図変化と対応するRの棘高について検討した結果,対照心電図のV1, V2のR棘高に比し急激に減少した場合には,前壁中隔硬塞の可能性が多いことが認められた.
  • 柴田 久雄
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1601-1615
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    網内系の機能については從来より議論の多い所であるが,著者はMethylceliulose脾腫イエウサギについて組織学的,機能的,血清学的に檢討を加えた. Methylcellulose注入を長期間行なうことにより巨大な脾腫が得られた.このものは組織学的に赤色髄の変化が著しく,この部は全く構造を一変している.その地の網内系にもこの物質の攝取乃至攝取細胞の抑留によつて著しい変化が見られる.この病像はGaucher氏病等の蓄積症に相当し, 4カ月目に出来る血球有形成分の減少とも根應ずる.組織学的変化に対應してCongo rot系数の異常を示すことはこの法の意義を認め得る.この状態でもはB. S. P.正常範囲内であつた.血漿蛋白像ではAlbuminの減少, β及びγGlobulinの増加を認め,抗体産生能力の抵下を認めた.シロネズミに同じ脾腫を起こし,これに実驗的敗血症を起こさしめ,正常例と比較檢討した.
  • 多賀 須幸男
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1616-1628
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床的に取扱われている肝癌・肝硬変症の実態を知る目的で,過去21年余の期間の当内科入院症例につき調査した.肝癌・肝硬変症ともに増加の傾向にあり,後者では門脈および壊死後性型の増加が著しい.原発性肝癌と続発性肝癌の比は1:1.8で從来考えられているよりも前者が多い. Hepatoma例でもアルコール常用者は少なくないが,黄疸の既往は門脈および壊死後性肝硬変症例に比し遙かに少ない.後者では1953年以降の症例で発病前5年以内に黄疸を経過した例が増加している.また病因とされている因子を発見出来ぬ例が女では多く,しかも増加の傾向がある.遺傳因子や抗結核剤と肝癌・肝硬変症の関連の可能性も否定出来ない.
  • 多賀 須幸男
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1629-1648
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/08/14
    ジャーナル フリー
    肝癌・肝硬変症の症状・檢査成績を主として臨床診断の見地より集計した.両者とも早期診断は困難である.肝癌と肝硬変症の鑑別診断には,その進行性や肝触診所見が異なるほか,肝の圧痛・腹痛・血性の腹水が前者に多く,大きな肝を触れかつ大量の腹水貯留は後者では稀である.肝癌相互の鑑別上は続発性肝癌の原発巣を診断する他,Hepatomaの症状は門脈および壊死後性肝硬変症に類似し早期よりの黄疸が少ない.無黄疸の続発性肝癌でAlkaline Phosphatase値が上昇することは特色的である.肝癌の60%前後が,門脈および壊死後性肝硬変疲の80%がほぼ正しく診断されている.肝癌肝硬変症とも各症状の頻度は國外の集計結果とよく一致する.臨床経過より見ると肝硬変症を伴なうHepatomaで前者の基礎の上に発生したと思われる例は少ない.
  • 多賀 須幸男
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1649-1659
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    前編で述べた症例について予後調査を行なつた.門脈および壊死後性肝硬変症の予後は肝を触れぬもの・腹水貯留例・発熱例・病因とされている因子を発見出来ない例が不良である. Banti型の腹水出現後の予後は門脈および壊死後性型と変りないが,胆汁性型,響血性型ではそれより不良である.肝性昏睡の予後は最も悪く,消化管大出血の予後は出血そのものよりもその時の肝機能に左右される.黄疸特にその急増,血清Albumin 3g/dl以下・BSP 45分値30%以上の例の予後は惡い.それぞれ異なった治療の行なわれた3期に分けて,門脈および壊死後性型の腹水出現3年後の生存率を比較するとそれぞれ2.2倍, 2.7倍になつた.肝癌の予後ほ各型間に大差なく発病5ヵ月後には半数以上が死亡した.
  • 岡崎 敬得
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1660-1668
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺不全患者(主として慢性肺気腫および濕性肋膜炎患者)の治療の対策の一つとして,サリチレート大量投輿による効果を主として心肺諸動態を中心に檢討し, 1)換気量,酸素攝取量の増加,動脈血炭酸ガス分圧の低下,動脈血pHおよび酸素飽和度の上昇などガス血液分布障害の改善をみた.また心拍出量の増加,肺動脈本幹平均血圧の下降を示し,かつ体血圧は,ほゞ不変であった. 2)しかしながら,換気量,酸素攝取量および心拍出量の増加にもかゝわらず,動脈血炭酸ガス分圧,pHおよび酸素飽和度の変動を生じない症例を経驗したこと,および糖質代謝より代謝性影響を認めたことは,肺不全患者のAnoxemiaおよびHypercapniaを改善する治療として,必ずしも有効な作用を持ち得ないことを示唆している. 3)サリチレート血中濃度がほゞ15mg per cent以下のものでは,気根および血液相に及ぼす効果はほとんど認められなかった. 4)炭酸ガス吸入試驗により呼吸中樞感受性の増加を認めた. 5)サリチレート大量投與と中毒症状および心肺諸動態の改善がみられる量とを檢討し,pro kg 60~70mg(血中濃度20~30mg per cent)が妥当と考えられる. 6)サリチレート大量,長期投與により,下垂体副腎系が刺激されているという結果を得た.
  • 福士 博
    1960 年 48 巻 10 号 p. 1669-1674
    発行日: 1960/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    赤血球寒冷凝集反應は,原発性異型肺炎(PAP)などでは早期には陽性に出てこない.したがつて,この凝集反懸は一般に早期診断には役立たない.赤血球寒冷凝集價の高いPAP患者の血清に,比較的早期の別のPAP患者の含嗽水あるいは喀痰浸出液を加えるときは,その血清の寒冷凝集反應が抑制されて陰性になり,あるいは弱まることを知った.この赤血球寒冷凝集抑制試験によれば,PAPAどの早期診断が可能であることがわかつた.赤血球寒冷凝集價の高いPAP患者の血清に,インフルエンザ患者の含嗽水を加えても,この寒冷凝集反應は抑制されなかつた.すなわちこの抑制試驗によつて, PAPとインフルエンザとを早期に鑑別することができる.また寒冷凝集反應はPAPやインフルエンザなどにおいて陽性に出るけれども,この凝集反應は疾患別の特異性が存在することがわかる.
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