日本内科学会雑誌
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48 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 磯野 恒雄
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1703-1711
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    PSP試験に関する理論的研究はきわめて少なく,成績判定は経驗的なものに支配されていて,このためあいまいな点も少なくない.より合理的な判断を行なうためには尿中排泄由線を理論的に解析し,これによつてPSP試驗を把握することが必要である.かかる理由から, PSP排泄曲線に解析を加え,排泄量Eと時間Tとの間にはE=T/a+bTなる実驗方程式が成立することを示した, bは総排泄量を表わす定数であり, aは体重当りのPSPクリアランスを示す定数で,したがつてRPFと高い相関を示し,腎機能を表わす新しい指標として最も適当なものであることを知つた. PSP投興量とaとの関係から排泄量が血漿濃度に比例することを示した. PSP尿中排泄曲線は適当な座標軸を選ぶことによつて直線化することが可能で,その直線性の乱れから膀胱遺残尿等は容易に発見指摘することが可能である.從来の時間値のうちでは15分ないし30分値が最も適当であることを理論的に裏づけた.
  • 楠 信男, 土信田 宏治, 柵木 智男, 尾形 茂夫, 山形 陽, 高木 善三郎, 本宿 尚, 鈴木 ヒサ, 猪狩 咲子, 佐々木 とし子, ...
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1712-1723
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    瀰性性糸球体腎炎の臨床像,経過,予後と腎の組織学的病変との関係を知る目的で, 53名の本症患者について,腎生檢,腎機能檢査,抗ストレプトリジン-O價その他の諸檢査をおこないつゝ,可及的長期間にわたり追求観察をおこなつた.考察を進めるに当つては年令,先行感染の有無,初発なりや再発なりやの諸因子を考慮し,組織学的に糸球体腎炎の最も單純な基本型は,若年者における先行感染の明らかに認められる初発腎炎例に見出されるとし,その基本型を時間的に順に経過する四つの組織学的型に分け,その特徴を述べ,この基本型の上に他の群の組織像を解釋した.組織像ど腎機能その他の臨床像との関係,抗ストレプトリジン-Oの消長,予後の問題等を分析檢討し,本症が主として溶連菌感染に関連して成立することを証し,初発腎炎の経過および轉帰,再発ないし再燃による悪化を論じ,本症の発生と進展に関して若干の考察を加えた.
  • 中野 実
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1724-1731
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性肺疾患に対する換気力学的檢索がなされ,種々の報告があるが,從来の報告は閉塞性障害を主とするものが多い.本邦においては肺結核が多く,これによる換気障害の研究が必要である.これらは種々の換気障害を呈し,また外科手術による胸廓の変形による換気障害も重要な問題である.
    私はこれら慢性肺疾患に換気力学的な檢索をおこない,閉塞性障害群と拘束性障害群とを比較檢討した.拘束性障害群では彈性抵抗仕事量の増加が著明であるが,閉塞性障害群では機械的抵抗仕事量の増加が著明である.さらにこれらの疾患にSaccinyl choline chlorideを静注し, Body respiratorで池動的に換気をおこない,肺・胸廓系の力学的檢索をおこなつた.これにより胸腔内圧変化の発生機序を追究し,拘束性障害群では,肺自体の硬化のみでなく,肋膜癒着および胸廓変形による胸廓の影響が大なることを知り得た.また閉塞性障害群でも,残気量の増加のため呼気終末時,すでに過膨張の位置にあり胸廓の伸展が阻害されていることが判明した.すなわち,換気力学的考察においては肺のみでなく,胸廓系の檢索が重要な問題である.
  • 石田 宗夫
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1732-1742
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心臓調律の変化が腦機能におよぼす影響を調べる目的で,臨床実験どして諸種不整脈の際の心電図,腦波の同時記録を行ない,洞性頻脈,洞性徐脈,期外收縮の散発による軽度の不整脈および長期間持続している絶対性不整脈等では,腦波に大した異常を来たさないが,発作性頻拍等の突発的におこる頻拍発作とか,洞房乃至房室ブロック等の急におこる徐脈の際には,腦波にΘ波の増加, δ波の出現等を認め,腦機能の低下を来たすことを認めた.更に動物実験により,高度の不整脈を発生させた際に,大腦新皮質,邊縁系および間腦の腦波の変化を追求し,この際に侵される程度は大腦新皮質において強く,深部の大腦邊縁系,間腦等では比較的侵され難いものと考えられた.
  • VIII.ヒト肝切片細胞分画へのグリシン-2-14Cの転入
    平山 千里, 長峯 護, 右田 俊介, 中島 明, 岸川 汪
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1743-1751
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Incubateしたヒト肝切片へのグリシン-2-14Cの組入をマイクロゾーム,上清蛋白,上清のアルブミン, γ-グロブリンに分けて観察すると, γ-グロブリン以外は非肝疾患の場合が肝疾患の肝切片より組入が大であり, γ-グロブリンは肝疾患の場合が大であつた.又肝疾患肝切片の場合においては,肝機能の障害及び肝の組織像の病変の程度に比例してマイクロゾーム及びアルブミン中へのグリシンの組入は減少し, γ-グロブリン中へのグリシンの組入は反対に増加を示した.この事は肝疾患時に見られる高γ-グロブリン血の生成機序について,肝におけるγ-グロブリンの生成の亢進を推定せしめる.
  • 収縮期性雑音の統計的観察
    広内 恒
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1752-1759
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺結核症の肺動脈弁口に聴取される收縮期性雑音の臨床統計的観察を行なつた.收縮期性雑音はX線上左側殊に上中野に主病巣を有する中等症乃至重症肺結核症に限られていた.雑音の頻度は8.4%であって特に左側成形術施行例に高率を占め,男対女の比では女性がやゝ多かつた.雑音は左第II,第III肋間胸骨縁及びその左方乃至左上方1~3cmの範囲に限局し,一般に他の弁口に傳達しない.雑音の強さはLevineの分類による3乃至4度が大部分であつて,仰臥位及び呼気に増強する等の結果を得た.
  • 収縮期性雑音の心音図学的研究
    広内 恒
    1960 年 48 巻 11 号 p. 1760-1766
    発行日: 1960/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    第1報においては收縮期性雑音の臨床統計的観察を行なつたが,本報では雑音の心音圖学的分析について報告する.收縮期性雑音は100~300cycles/secの振動からなり, Decrescendo又はcrescendo-decrescendoであって,持続率は平均55%であつた. Q波起始部より雑音起始部迄の時間とQ波起始部より肺動脈波圧上昇起始部迄の時間的関係を検討し,收縮期性雑音は肺動脈弁開口後平均0.06秒に生じることを示した.第I心音は不純なることもあつたが一般に異常所見を示さなかつた.これに反し第II心音は亢進し,かつ高率に分裂を示した.
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