瀰性性糸球体腎炎の臨床像,経過,予後と腎の組織学的病変との関係を知る目的で, 53名の本症患者について,腎生檢,腎機能檢査,抗ストレプトリジン-O價その他の諸檢査をおこないつゝ,可及的長期間にわたり追求観察をおこなつた.考察を進めるに当つては年令,先行感染の有無,初発なりや再発なりやの諸因子を考慮し,組織学的に糸球体腎炎の最も單純な基本型は,若年者における先行感染の明らかに認められる初発腎炎例に見出されるとし,その基本型を時間的に順に経過する四つの組織学的型に分け,その特徴を述べ,この基本型の上に他の群の組織像を解釋した.組織像ど腎機能その他の臨床像との関係,抗ストレプトリジン-Oの消長,予後の問題等を分析檢討し,本症が主として溶連菌感染に関連して成立することを証し,初発腎炎の経過および轉帰,再発ないし再燃による悪化を論じ,本症の発生と進展に関して若干の考察を加えた.
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