感染症の抗生剤治療に及ぼす副腎ステロイドの影響をみる目的で, Goodnerの方法に倣い家兎皮内に肺炎球菌I型を接種した.これにペニシリン(以下Pc)およびコーチゾン(以下CS)の単独あるいは併用治療を実施した.(1)菌接種2時間後に少量のPcと大量のCSとの併用では,局所所見に若干の効果をみるが,菌血症は助長される.(2)同様,大量のPc単独治療では,菌血症はみられず,局所所見も軽度ではあるが,なお滲出性変化が明らかにみられる.(3)同様, PcとCSともに大量の併用では,菌血症の助長をみず,しかも局所所見に対し著しい効果を示し滲出性変化は全く認められない.(4)菌接種後24時間では, Pc, CSともに大量の併用を行なつても好影響は得られなかつた.結論的には, Pc, CSの併用は感染早期に,しかもPc, CSともに大量使用した場合にのみ好影響を得ることができる.
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