日本内科学会雑誌
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49 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第2報不整脈患者のバリストカルヂオグラム
    佐藤 辰男
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1255-1260
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    従来,不整脈の研究は,主として心電図によつて行なわれ,これを血行力学的立場から取扱つたものは比較的少ない.著者はvon Wittern型Low-frequency table型装置を用いて,期外収縮17例,心房細動26例のバリストカルヂオグラムを解析して次の結果を得た. (1)期外収縮時のIJ波高は基礎調律時のそれより小で,期外収縮に続く第1拍目のIJ波高は,基礎調律時のそれより大であつた。すなわちStarlingの法則がバリストの上からも観察された. (2)心房細勤のバリストでH波の消失した例はなく,したがつてH波の生成は心房収縮とは無関係であることを知つた. (3)心房細動例には,先行するRR間隔とこれに対応するIJ波高とが直線的関係を示す例と,全く統一性を欠く例とがあつた.後者に属する例は,一般に弁膜症を基礎に持ち,心肥大が著明でかつ細動持続期間が年餘に及ぶものであつた.心房細動のさい,ジギタリス,キニジンなどの治療上パリストが有力な示唆を与え得るものであることを知つた.
  • 鴻上 達郎
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1261-1275
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リウマチ(リと略)疾患に対するアスピリン(Aspと略)の効果を再検討するために,リ熱およびリ様関節炎患者にAspを投与し,臨床効果および作用機序を検討した.リ熱では中毒症状gでも消失するが,急性期反応物質のすみやかな改善は6gのみに見られた.さらに心雑音の消失はは3なかつたが,心電図上房室伝導障害は改善された.リ様関節炎ではClass, StageがI, IIのものにはGradeII程度の効果がみられ,比較的大量短期間投与でも朝のこわばりの消失からその有効性が証明できた.リ熱で6g投与時尿中17KSの増加,血中好酸球数の減少が有効群のみにみられ, ACTH様作用が証明され, Aspの抗リ作用はかゝる機序に基づくものも一因と推測される.サリチル酸血中濃度は6gで平均30mg/dlに達し,治療上必要な濃度と考えられる.副作用は2/3の症例に胃腸障害,耳鳴りなどが出現し,かゝる点は難点であるがリ熱にはもちろんリ様関節炎でも軽症例に,またステロイド剤との併用でその効果を期待し得るものと思われる.
  • 斉藤 昭
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1276-1285
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    先に著者は手術により摘出した癌組織,癌患者尿および癌患者体腔液より佐藤氏法により抽出した癌毒素を用いて,犬の胆汁流出に対する影響について観察し,著しい胆汁流出の変化があることを発表した.今回はKIK反応と同様の手技によつて得たKIK因子を,一次的胆管胆嚢瘻設置健康麻酔犬に静注し,胆汁流出に著しい変化が起こることを明らかにした.これにより胃癌の疑いある患者より材料を得てKIK反応と本法を併用するときは,胃癌診断にさらに確実性を増すことができると考える.
  • 中尾 喜久, 白倉 卓夫
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1286-1291
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    下垂体と造血能との関連については,種々論議されてきたが,なお未解決の問題が残されている.著者らはガマ(Bufo vulgaris)の造血能に注目し,また下垂体摘出術も比較的容易であることより,ガマを用いて下垂体と赤血球産生との関連を追究した.ガマ赤血球はin vitroで盛んなheme合成能を示し, in vitroでは0~4°Cでも赤血球が産生されるという。鳥類・哺乳類と比して特異な点を有している.またガマ赤血球産生も体液性調節を受けている.下垂体摘出ガマは造血能が低下し8~10日頃に最低に達するが,下垂体摘出ガマにACTH, Cortisoneを投与すると造血能は回復する.しかしそれだけでは不充分である.下垂体摘出ガマ血漿中では, in vitro heme合成促進因子活性が弱くなり,赤血球自体のheme合成能も低下していろ.後者については必ずしも目下説明が容易でないが,赤血球のうちに陳旧のものが多くなつているためかも知れない.下垂体摘出ガマをAnoxic Anoxiaにすると, in vivo造血能はむしろ正常ガマよりも著しく活発となる.正常あるいは下垂体摘出ガマ“Anoxic Plasma”中には,ほゞ同程度の造血促進因子活性が証明出来る.たゞ,下垂体摘出ガマは造血促進因子には,甚しく鋭敏になつている.その理由はなお不明であるが,下垂体が造血促進因子の産生器官でないことは白明である.
  • 大藤 正雄
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1292-1300
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    放射性ヨード標識Rose Bengal (131IRB)を肝臓の病態診断に応用する為の基礎的ならびに臨床的研究を行なつた.基礎的研究としては,静注せる時の131IRBの血中濃度の変動,血清蛋白との結合状態,臓器分布,肝臓による摂取と排泄動態を追究し, 131IRBの血液減衰曲線と肝摂取排泄曲線の数学的分析を行なつた.臨床的研究としては,肝摂取排泄曲線の測定方法を工夫し,応用を試みた.又曲線を初期上昇値,摂取時間,摂取最高値,摂取率,排泄率の五つの要素に分析して考察し,初期上昇値は肝血流量,摂取率は肝細胞の色素摂取能,排泄率は胆汁の流出状態を表わすことを証明した.摂取率とBSP値,排泄率と血清Alkaline Phosphatase (血清A1. Ph.)値との間に相関性が求められる.肝生検組織所見に基づく肝実質細胞の病変と摂取率,間質の病変と排泄率の間にも一定の相関性が証明された.肝疾患の鑑別診断に肝摂取排泄曲線を応用し,有用であることを推計学的に検討した.
  • 井手 美彦
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1301-1314
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    著者は, (1)犬に四塩化炭素を投与して慢性肝障害を起こさしめ,血中アンモニア,乳酸,焦性ブドウ酸,クエン酸, α-ケトグルタール酸を測定した.この結果クエン酸以外の上記諸物質は徐々に増加し,クエン酸のみ一旦増加後減少する傾向を示した. (2)肝性昏睡患者の血中アンモニアと上記諸物質は著しい高値を示し,肝硬変症患者の大部分はこれらが正常範囲内にあつた.肝硬変症で週を追つてこれらの物質を測定すると症状の変動とほゞ平行して増減を示した. (3)肝障害犬に混合アミノ酸製剤を投与すると,血中アンモニアの増加,乳酸,焦性ブドウ酸の減少,クエン酸, α-ケトグルタール酸の一時増加後減少する傾向を認めた. (4)肝障害犬に対してアルギニン・グルタメートを投与し血中アンモニア及び上記諸物質の減少傾向を認めた. (5)以上の結果より高アンモニア血症を伴なう肝障害時には三炭酸回路の中で特にクエン酸, α-ケトグルタール酸代謝の障害があるものと予想された.
  • 木村 元, 藤宮 松太郎
    1961 年 49 巻 10 号 p. 1315-1320
    発行日: 1961/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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