放射性ヨード標識Rose Bengal (
131IRB)を肝臓の病態診断に応用する為の基礎的ならびに臨床的研究を行なつた.基礎的研究としては,静注せる時の
131IRBの血中濃度の変動,血清蛋白との結合状態,臓器分布,肝臓による摂取と排泄動態を追究し,
131IRBの血液減衰曲線と肝摂取排泄曲線の数学的分析を行なつた.臨床的研究としては,肝摂取排泄曲線の測定方法を工夫し,応用を試みた.又曲線を初期上昇値,摂取時間,摂取最高値,摂取率,排泄率の五つの要素に分析して考察し,初期上昇値は肝血流量,摂取率は肝細胞の色素摂取能,排泄率は胆汁の流出状態を表わすことを証明した.摂取率とBSP値,排泄率と血清Alkaline Phosphatase (血清A1. Ph.)値との間に相関性が求められる.肝生検組織所見に基づく肝実質細胞の病変と摂取率,間質の病変と排泄率の間にも一定の相関性が証明された.肝疾患の鑑別診断に肝摂取排泄曲線を応用し,有用であることを推計学的に検討した.
抄録全体を表示