日本内科学会雑誌
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49 巻, 11 号
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  • 山口 昇一, 三橋 駿一, 椎名 益男
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1373-1382
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    各種ジギタリス藥の臨床的効果を比較檢討するため,中等度のうつ血性心不全をもち,心配糖体にたいし平均的な感性をもつ573例につき,主として,藥力学的観察を行なつた.臨床的に,ラナトサイドCの靜脈内使用は安全かつ確実な効果を收め,飽和療法にもつとも適する.しかし,経口的吸収の低いため,とくに,維持療法には不経濟である.これにたいし,アセチル・ジギトキシンおよびラナトサイドAは,吸収および臨床的効果の点で,維持療法に好適である.ジゴキシンおよびジギトキシンの効果はすぐれているが,毒性度の高いことから,用量調節に注意を要する.ジギコリンの効果は,これらの心配糖体に比し,不安定である.戰前・戰後のジギタリス葉末の臨床効果を比較すると,最近の傾向として,毒性が高くとも,効果の安定し,用量調節の容易な製剤が使用されていることがわかる.
  • 世古 口啓
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1383-1397
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝靜脈カテーテル法を用い,肝靜脈ウェッジ圧を測定し,肝靜脈圧,門脈圧と対比檢討すると共に,肝靜脈ウェッジ圧の有する意義について考察を加えてみた.ウェッジ圧は種々の門脈圧の変動に対して,よく相関を保ち,門脈圧を反映し,又肝靜脈圧と比較的大きな較差をもち,呼吸圧変動は腹腔側の立場をとつていた.ウェッジ圧がよく門脈圧を反映する所より,又Hellemsらが,肺動脈ウエツジ血が肺靜脈血類似の酸素飽和度を有することより,類推して,肝靜脈ウェッジ血が門脈血類似の組成を有するや否やを檢討してみた.ウェッジ血は血糖値において,特に門脈血血糖値の高い場合に,門脈血類似の値を示し,又,プロームサルファレン靜脈内投與によりその濃度は,ウエッジ血,門脈血とも近似の値を示した.
  • 高橋 隆一
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1398-1404
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    木村の重層遠心分離法によつて純粋に分離した白血球を使用し, 100例の諸内科疾患についてDdusset法により白血球凝集素を檢索した. 11例(11%)に陽性を認めたが,輸血の影響を檢討する目的で輸血,非輸血2群に分けて檢討した.その結果,陽性例は明らかに輸血群に多く,しかも輸血量が多い程陽性率の高くなる傾向のあることを知つた.又從来陽性例の報告のない胃潰瘍,胃癌,濃瘍性大腸炎,慢性腎炎の4疾患に陽性例を認めたが,いずれも輸血例であり,輸血による同種抗体と考えられる.非輸血陽性例では,白血球減少を認めたが,輸血陽性例では不定であつた.
  • 片山 哲二
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1405-1412
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血中脂質殊にコレステロールが腦動脈硬化に及ぼす影響を知る目的で,本態性高血圧症30例,腦動脈硬化症6例,腦卒中21例,並びに対照群と見做し得る雜疾患19例計76例について, N2O法によつて得た腦循環諸量を血中脂質特にコレステロールと比較檢討した.総コレステロールは肥滿度と最も相関が強く, 30才以降では増加するが70才以降では減少する.一方腦血流量は年令と共に減少の一途を辿る.從つて総コレステロールと腦血流量は若年より50才乃至60才迄は年令を介して,即ち肥滿の因子を介して逆相関にあるが,老年者においては然らず.腦血流量の著しい低下を認める腦卒中後遺症患者の総コレステロールは,同年令の他の疾患に比して高値を示さない.また年令,肥滿度を考慮に入れると,高血圧症では総コレステロールは必ずしも高くない.以上は脂質代謝と腦動脈硬化の関連を否定するものではなく,脂質代謝以外の因子の存在を示唆するものである.
  • 第1編Anoxiaによる肺水種の発生機序について
    岡田 賢計
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1413-1420
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺水腫の発生素因については幾多の研究者達により研究されて来たが,著者は低酸素による肺水腫発生機序を犬ならびに白鼠を用いて,迷走神経切断や輸液を行なつて低酸素ガス吸入時の影響を,血行力学的ならびに肉眼的さらに病理総織学的に追究した.低酸素負荷もしくは迷走神経切断では肺水腫の発生は認めないが,迷走神経切断に加うるに低酸素を負荷すると確実に肺水腫の発生を認める.しかし血行力学的な関與は乏しい.また生理的食塩水輸液による影響は明らかに血行力学的な関與のあることを認めるが,これに低酸素を負荷すると肺水腫発生はさらに増大する.このことから,低酸素によりまず肺毛細管の透過性が亢進して肺水腫の準備状態が形成され,迷走神経切断はこれを助長し,その結果,輸液によつて肺水腫の発生が容易になることを確認した.
  • 高田 昭, 山田 素良, 小林 一到, 沢田 大成, 高沢 嘉人, 船木 悦郎
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1421-1427
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全経過が約1年5カ月のHeilmeyer-Schoner型と思われる赤白血病の1例を経驗し,剖檢の機会を得た.患者は45才の男で微熱,眩暈,出血斑を主訴とし,蒼白な皮膚と出血性素因の他,肝,脾の腫大を認め,末梢血では著明な貧血と多数の赤芽球の出現があり,白血球は軽度の増加と幼若型の出現を,血小板は減少を,網状赤血球は増加を認めた.骨髄では赤血球系細胞の著明な増加と巨赤芽球様赤芽球のほか異常赤芽球が認められた.白血球系には著変がなかつた.入院後は出血性素因強く一般状態も悪化したが,輸血及びCortisoneの投與で改善され約7カ月の緩解が得られた.その後肺炎を併発し,消化管出血で死亡した.剖檢では各造血臓器は濃赤~暗赤色を呈し,著明な赤芽球の浸潤と散在性の幼若白血球の浸潤が見られ,赤白血病と診断された.輸血とSteroidhormoneがある程度治療効果を示したが, 6MP, Nitrominの投與は流血中の細胞の減少を見るも,一般状態の改善は認められなかつた.
  • 天野 美代子
    1961 年 49 巻 11 号 p. 1428-1432
    発行日: 1961/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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