各種ジギタリス藥の臨床的効果を比較檢討するため,中等度のうつ血性心不全をもち,心配糖体にたいし平均的な感性をもつ573例につき,主として,藥力学的観察を行なつた.臨床的に,ラナトサイドCの靜脈内使用は安全かつ確実な効果を收め,飽和療法にもつとも適する.しかし,経口的吸収の低いため,とくに,維持療法には不経濟である.これにたいし,アセチル・ジギトキシンおよびラナトサイドAは,吸収および臨床的効果の点で,維持療法に好適である.ジゴキシンおよびジギトキシンの効果はすぐれているが,毒性度の高いことから,用量調節に注意を要する.ジギコリンの効果は,これらの心配糖体に比し,不安定である.戰前・戰後のジギタリス葉末の臨床効果を比較すると,最近の傾向として,毒性が高くとも,効果の安定し,用量調節の容易な製剤が使用されていることがわかる.
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