日本内科学会雑誌
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49 巻 , 3 号
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  • 中村 克衛
    1960 年 49 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Sodium dehydrocholate (DHC)およびUrsodesoxycholic acid (Urso)のNa2HP32O4, Co60Cl2, Co60 vitamin B12の胆汁内排泄におよぼす影響を知るためウサギを使用して実驗し,次の結果を得た.P32.筋肉注射したP32の胆汁内排泄量はDHCの靜注により,著しい水利胆と共に増加し,濃度も高かった.その際, P32投與6時間後の肝のP32攝取量は対照よりも少量であつた.又UrsoによつてもP32は増加し,胆汁内濃度も高くなった.Co60Cl2:筋肉注射により投與したCo60Cl2の胆汁内排泄はDHG, Ursoによつて殆ど影響を受けず,濃度にも変化は見られなかつた.Co60 Vitamin B12: Co60B12は耳靜脈注射により投與し,その胆汁内排泄はDHCにより減少し, B12投與7時間後の肝B12攝取率は対照よりも多量であつた.これら代謝の様相を異にする三つの放射性物質の肝内で受ける利胆剤の作用はそれぞれ異なる事が分かつた.
  • 坂口 大吾
    1960 年 49 巻 3 号 p. 216-226
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高年者の肺気腫には閉塞性気道障害を中心に進展したと考えられる慢性肺気腫と,気道障害の著明でない,いわゆる老人性肺気腫とがある.気管支喘息の既往がなく, Air trappingの見られぬものを老人性肺気腫と定義して,慢性肺気腫と比較しながら心肺動態を観察した.老人性肺気腫では,換気機能障害, Anoxia, Hypercapniaの存在,ガス血液分布関係の失調および軽度の肺動脈高血圧症など心肺動態の全般にわたって障害が見られるが,慢性肺気腫では以上の諸値がすべて一般にさらに高度に障害されていることがわかつた.肺生理学的には兩者の本質的な差は器械的な気道障害のみであつて, Air trappingの有無とともに肺胞内圧変動の差や肺動脈圧の呼吸性動揺の差としてあらわれ,慢性肺気腫においてこれらは一そう著明である.加療により慢性肺気腫の気道障害が減少すると肺機能障害の程度も全般に軽度となり,老人性肺気腫のレベルに近づく傾向が見られた.このことは兩群を通じて共通な心肺機能障害があり,これはある程度非可逆的な変化化が大きい部分をしめているが,この上にさらに気道の障害が加わると,換気能率の低下とあいまつて,さらに機能障害が高度になつて肺性心へ移行する危險が増すと考えられる.
  • 河村 真人
    1960 年 49 巻 3 号 p. 227-234
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近糖尿病血管合併症の発生に対して,糖尿病代謝異常による血清蛋白,脂質,蛋白結合多糖類の異常との関係が論じられている.著者は当内科教室における104例の糖尿病患者について,血清蛋白,蛋白分劃,血清Cholesterol,燐脂質を測定し,これと血管合併症およびその促進因子とされる糖尿病controlとの関係について檢討した.血管合併症とくにAngiopathia diabeticaではα-globulinの増加がみられ,間時に測定した蛋白結合多糖類の成績と一致をみた。またβ-globulinの増加は血清脂質増加によるものと考えられ,定型的なネフローゼ症状を呈するKimmel-stiel-Wilson症候群ではalbumin減少とともに, β-globulin, cholesterol, β-lipoproteinの増加がみられたが,腎の針生檢によつてはじめて診断しえた例,および網膜変化のみをみとめる例(網膜症)ではさしたる増加はみられないことから,これらは腎傷害と関係するものと考えられる.control不良のものは血管合併症を発現する頻度が高いが,腎傷害等による影響を考慮してこれらを分離して檢討すると,非合併症群あいは合併症群で, control良不良による変化はみられなかつた。
  • 近藤 七郎
    1960 年 49 巻 3 号 p. 235-252
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胆汁分泌機構の形態学的解明をはかるために, (1)正常対照, (2)クルクマ油筋注, (3)デヒドロコール酸ソーダ靜注, (4)單独ネズミ総胆管結紮, (5) Parabiosis後一側の総胆管結紮等種々の胆汁分泌機能相を作り,その形態学的変化を研究した. Forsgren顆粒がミトコンドリアの周囲にて細胞質中の胆汁分泌物質の凝集したものであり,また, Golgi空泡内の小顆粒がCajal染色の発現に大きな意味を持つ事を示す所見を得た.総胆管結紮群では初期には分泌物質のうつ滞像を認めるが,末期にはその減少乃至消失をみる.濃厚胆汁を分泌するクルクマ油注射群及びParabiosls非結紮側ではForsgren顆粒の染色性が強く,この際R. N. A.,粗大ミトコンドリア及び糖原の増加を来たすと共に, Golgi体の肥大が著明である. Hydrocholereticaであるデヒドロコール酸ソーダ注射群では,糖原の消失,脂肪の出現及びGolgi体の微細化が極めて特徴的である.
  • 上羽 康之
    1960 年 49 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    視束前野破壊による肺水腫は頚髓切断により発生が阻止され,破壊時の循環動態の変化がアドレナリン大量靜注時の変化と一致していることより,視束前野破壊効果は交感性であり,そのインパルスは脊髓交感神経系を経て身体末梢に傅達されると思われる.これをさらに確実ならしめるために,血中カテコール体の化學的定量を行なつた.すなわち視束前野破壊時の血中カテコール体の量は対照群および視床下部破壊群のそれに比しきわめて増加を示しており,アドレナリンによる肺水腫発生時の血中カテコール体と同濃度に達しうるものがあつた. 以上より視束前野破壊による肺水腫は,交感神経系の興奮に基づく循環動態の変化に成因を求めることができると考える.視束前野破壊時の血中カテコール体の量は,対照群および視床下部破壊群に比し,きわめて増量しており, アドレナリンによる肺水腫発生時の血中カテコール体の量に達しうるものがあつた.また靜注したアドレナリンは時間の経過とともにすみやかに減少し,通常20分以内に消失することが明らかにされた。よつて著者は視束前野破壊による肺水腫の成因は,交感神経系の興奮により惹起された循環動態の変化の結果であると思つている.
  • 柴田 敏雄
    1960 年 49 巻 3 号 p. 259-270
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アスピリン(Aspと略)は糖尿病の高血糖,尿糖を改善するので,著者は臨床および動物実験から経口的糖尿病治療剤としてのサリチル酸塩(Salと略)の價値およびその作用機序を檢討した. 3~6gのAspを單独またはInsulinとの併用で,糖尿病の高血糖,尿糖は低下し,投與中止後再上昇した.ケトン尿の1例はAsp單独投與により消失した.食欲不振,耳鳴りなどの副作用が多く,うち半数は投與を中止した.アロキサン糖尿家兎の高血糖,尿糖は, Salで低下するが低血糖には至らず,しかも健常家兎の正常血糖値は影響しない. Salは,またアドレナリン高血糖を抑制し,さらにコーチゾン糖尿家兎の高血糖,体重低下を改善した.またヒトおよび家兎でブドウ糖負荷試驗の糖忍容カを増加し,焦性プドウ酸値を低下し,血清無機燐の滅少率を低下せしめた.以上より副作用に難点はあるが,経口的糖尿病治療剤として将来性があると思われる.
  • 山県 英士
    1960 年 49 巻 3 号 p. 271-288
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    癌の化学療法を行なうときには,その癌に対して最も効果のある,或制癌剤を選び治療するのが適当である.しかし,この制癌剤の選択の方法にはまだ適当なものがない.この問題を考慮して, Warburg檢圧法によつて測定した吉田肉腫細胞の嫌気性解糖に及ぼすmethyl-bis (beta-chloro-ethyl) amine-N-oxide hydrochloride (NMO), triethylene thiophosphoramide (TSPA), p-phenylenediphosphoric acid tetraethyleneimid (RC4), 8-azaguanine (8AG), sarkomycin (SM), mitomycin C (MM)およびprednisolone (PRD)の抑制効果を観察した.in vitro及びin vivoの実驗では,制癌剤の吉田肉腫の嫌気性解糖抑制効果は非常にまちまちであつた. in vitroおよびin vivoにおいてNMOは臨床的常用量において僅かに抑制効果があつた.他の制癌剤は期待できなかつた. NMO, 8AGおよびMMの臨床的常用量および10倍用量吉田肉腫細胞の嫌気性解糖抑制効果を観察した.そして,抑制効果のあつたNMOを腹腔内に注射した3匹の吉田肉腫移植ラツトに一時的であるが治療効果が認められた.抑制効果のなかつたNMO, 8AGおよびMMでは治療効果がなかつた.以上のことから,嫌気性解糖抑制効果よりみた吉田肉腫の制癌剤に対する感受性に差があること,また抑制効果より選んだ制癌剤をその移植ラツトに投與して,ある程度の治療効果が期待できることがわかつた.
  • 松園(旧姓柳沢) 裕
    1960 年 49 巻 3 号 p. 289-294
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    5例の患者にChloramphenicol單独経口投与し, 5~15日後同一患者にChloramphericol-SFを投与し,おのおのについて前後の血中および尿中のB2量の比較を行なつた.Chloramphenicol單独投与では,投与前に比し1例を除いては血中総B2,エステル型B2ともに減少の傾向を認め,それに伴なつて尿中B2排泄量の増加傾向があり, Chloramphenicol-SF投与では全例に総B2およびエステル型B2の増加傾向を認め,尿中B2排泄量の著明な増加を認めた.これら血中B2濃度おホび尿中B2量の平均値の変動は, Chloramphenicol投與により血中総エステル型濃度は減少し,尿中B2排泄量の増加が知られ, Chloramphenicol-SF投與では血中総B2のみならず,エステル型濃度は増加を認め,尿中B2の排泄量がいちじるしく増大することを認めた.本実驗の結果,遊離型B群の大量添加が,血中エステル型B2の減少を防止するのみならず,むしろ増加する傾向のあることが知られた.
  • 松園(旧姓柳沢) 裕
    1960 年 49 巻 3 号 p. 295-300
    発行日: 1960/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    私はCM-SFの投与がCM單独投与よりもビタミンB2代謝に好影響を与えうることを臨床的に檢討し,第1報に報告した.今囘,抗生物質の共軛燐酸化障害にもかゝわらず,添加された遊離型B2のエステル化が充分行なわれる機序を檢討するために,廿日鼠肝ホモヂェネートを用い, CM, AMに各種量の遊離型B2を加えin vitroで合成せられたエステル型B2の絶対量を測定比較した. AMまたはCMの存在はビタミンB2の附燐を阻害するが,加えられるB2の量が多ければ附燐率は悪いがAMまたはCMの存在にもかゝわらず,充分結合型の生産が行なわれることが認められた.
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