日本内科学会雑誌
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50 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • イヌの脳電気刺激による副腎静脈血中17-Hydroxycorticosteroidsおよび副腎血流量の変動
    佐々木 英夫
    1961 年 50 巻 3 号 p. 221-235
    発行日: 1961/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    下垂体-副腎皮質系の中樞性調節を研究する目的で,イヌの腦電気刺激による副腎靜脈血中17-OHCSおよび副腎血流量の変動を観察した.麻醉條件を檢討の結果EtherとMorphineの併用が最も良く,またいわゆるEther Stressは認められなかつた.腦電気刺激による17-OHCSの変動は,視床下部では前部および中部の内側で著増,後部の外側で著減を示した.血液の変動は,視床下部,前部のみ増加が著しく,中部および後部では著変なく,そのほかの部位でも変動はみられなかつた.以上より副腎皮質分泌促進の中樞は視床下部の前,中部の内側が最も関連深く,そのほかに扁桃核,視床上部も関係するものと考えられる.また視床下部後部の外側に副腎皮質分泌抑制野が観測された.血流の変動は17-OHCSの変動と必ずしも平行しないことが注目され,その調節機構に若干の考察を加えた.
  • 第39報 創傷治癒に及ぼすAzulenおよびHinokitiolの影響について
    荻原 敬三
    1961 年 50 巻 3 号 p. 236-246
    発行日: 1961/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    不飽和七員環化合物であるアズレン(Azと略す)及びヒノキチオール(Hiと略す)の創傷治癒に及ぼす影響について家兎を使用して実験的研究を行なつた.薬剤は軟膏として使用し,その効果は創傷の全治日数を主とし,動揺期の長さ,治癒係数を参考として可及的に客観的に判定した.機械的創傷に対してAz (10%~0.05%)及びHi (0.1%~0.05%)は創傷治癒促進作用を示し, Azの効果はHiに優ると思われる.非結核性細菌性創傷に対してはAzは高濃度のもの程効果が大であり, AzとHiではほゞ同程度に治癒促進が見られる.結核性創傷に対してはAzは殆ど無効であうが, Hiには治癒促進が認められる. AzとHiの併用は非結核性細菌性創傷の場合はもちろん,結核性創傷の場合にもそれらを単独で使用するより更に強力な効果が認められる. Azは抗炎症・抗アレルギー・肉芽形成作用を有し, Hiは抗炎症・肉芽形成作用に加うるに強力な殺菌作用を有することから, AzとHiの併用は両者の協力作用が期待でき,ステロイドホルモンと強力な抗生物質の併用に比せられる.
  • 金尾 一郎
    1961 年 50 巻 3 号 p. 247-254
    発行日: 1961/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病血管合併症,特にAngiopathia diabeticaは特異な糖蛋白を含み,血管合併症の発生病理に関連して問題となつている.著者は糖尿病患者82例について血清蛋白結合非グルコザミン多糖類および血清グルコザミンを測定し,血管合併症との関連を検討した.糖尿病患者は健常者に比し血清成分の増加を示し,腎症,網膜症において有意である.総蛋白結合多糖類は,腎症,網膜症に同程度の増加を示し, Angiopathia diabeticaに対する特異性を思わせる.グルコザミンは非合併症群に対し合併症群ですべて増加を示した.罹患期間5年以上のものは,それ以下のものに対し血清成分の増加をみた.一般に代償不全のもの,コントロール不良のものに血清蛋白結合多糖類の増加傾向が認められ,又臨床的或は剖検によつて認められた血管傷害度とは一定の傾向の認められぬことから,血清蛋白結合多糖類の変動は糖尿病自体の代謝異常と主たる関連を有し,血管傷害の影響はその二次的な反映と考えられる.
  • 久田 忠男, 秦 親憲, 清水 進, 田中 信夫, 大川 辰二郎
    1961 年 50 巻 3 号 p. 255-261
    発行日: 1961/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    佐藤氏等はウロペプシンの測定は胃癌のScreening Filterとして高く評価している.我々は胃症状を訴える胃,十二指腸疾患,肝疾患並びに,薬物投与中の肺結核症.糖尿病,リウマチ性疾患等のウロペプシンを測定し,おのおのの疾患について検討し,ウロペプシン排泄機序に対して,胃及び副腎機能の関連性を検索した.胃癌,萎縮性胃炎では既に知られているごとく低値を示し,かつ無酸が増加し,胃,十二指腸潰瘍ではかなりの増加を示すが,潰瘍の性質,すなわち潰瘍の活動状態と思われる症例は鎮静期のものに比してより高値を示した.リウマチ性疾患,糖尿病では治療のためのホルモン剤の投与により,萎縮性胃炎等を合併している症例以外は増加を示した.肝疾患では症例の僅少もあつて,有意差は認められなかつた.肺結核症では上腹部痛を訴えるものはウロペプシンの増加と過酸が多く, PAS使用量3600g以上,並びに肺結核罹患年数3年以上では,減少の傾向が見られたが,同時に軽度副腎機能低下も認められた.このようにウロペプシンの排泄は胃のみならず,副腎機能にも関与していることがわかる.
  • 及川 稔, 吉田 保
    1961 年 50 巻 3 号 p. 262-268
    発行日: 1961/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ザルコイドージスは本邦においては比較的稀なものとされていたが,近年に至りその報告も多くなつて来た.われわれは集団検診にて肺門リンパ節の腫脹を認め,肺結核として化学療法を施行中,全身のリンパ節,耳下腺,肝,脾の腫脹を見るに至り,ザルコイドージスなることを診断し得た症例を経験したので報告する. 11才の女児,全身倦怠感,微熱のほか咳,喀痰はない.ツ反応は陰性,リンパ節の腫脹は頚部,腋窩,肘窩,鼠径部に見られ,組織学的には類上皮細胞を主とした結節が見られ,その中に巨細胞が認められた.眼科的には動脈周囲炎があり,血清蛋白では総蛋白の増加, A/Gの減少,グロブリンの増加がある.プレドニゾロン使用によりリンパ節,肝,脾の腫脹が縮小し,臨床検査成績も改善された.
  • 甘利 正哉
    1961 年 50 巻 3 号 p. 269-274
    発行日: 1961/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は60才,男,農業,生来健康で酒を好む.昭和32年11月頃より運動時呼吸困難を覚え,皮下点状出血斑が現われ昭和34年当科に入院し,血小板減少性紫斑病と診断され, Dexamethasoneの投与を受け軽快退院した.その後再び出血斑,浮腫,呼吸困難が増惡し,昭和35年2月再入院した.出血斑を伴なつた高度のうつ血性心不全は次第二増強した.経過中粘液水腫を疑つたが,甲状腺末,ジギタリス剤等無効であつた.昭和35年4月急死した.剖検で全身諸臓器の間質に類殿粉質の沈着を認め,その程度は心,肺,消化管,脾,膵に最も高度で肝,腎には軽度,肝は表面顆粒状で硬く,輪状肝硬変を伴なつていた.
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