日本内科学会雑誌
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50 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 黒田 良作
    1961 年 50 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液の滲透圧変化を感受し抗利尿ホルモンの分泌を調整するosmoreceptorを脳波的に究明するため,ウレタン麻酔下の家兎脳内に双極性深部電極を挿入し, vasopressinおよび各種高張液を静脈内に注入し脳波変化を追求した. vasopressin注入により2分30秒ないし4分の潜時をおいて扁桃核領域において13~15c/sec.,振幅50~150μVの特異な自発的発射波が現われ, 20秒程持続,さらに9~12分の潜時をおいて前回と同様な波形の変化がくり返される.抗利尿ホルモンの分泌刺激となる高張食塩水,高張ブドウ糖液を注入しても, vasopressinの場合と同様の特異な波形変化が繰り返し出現する.しかし高張尿素液,生理的食塩水では変化は起こらないし,又,実際に抗利尿作用も認められない.これらの実験より血液滲透圧の増加により抗利尿ホルモンの分泌増加を来たし,さらに又抗利尿ホルモンを血中へ増加せしめるためにvasopressinを注入することにより,扁桃核領域に特異的な反復する脳波形の変化が起こる事実から,扁桃核が血液滲透圧変化並びに抗利尿ホルモン分泌機序に密接な関係を有することが判明した.
  • 特に副腎機能との関連(続報)
    丸本 晋, 伊地知 浜夫, 山下 昌哉, 新田 俊子, 岸 泰三, 横田 敬
    1961 年 50 巻 4 号 p. 314-316
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    前報告1)において私どもはATPが肝のΔ7P分画の代謝活性を亢進し,その作用を発現に副腎の存在が不可欠のものであることを正常並びに副腎剔出マウスについて証明し,さらにATPとAMPの作用機作に若干の差異があることを推論したが,今回は肝部分切除動物におけるこれらの関係を追究し,肝機能障害時においてもこの関係が成立することを証明するとともに,二,三ホルモンの影響について検索したので,その結果について述べる.
  • 乾 成美, 林 慶一, 鈴木 誠, 後藤 俊, 渡辺 文彦
    1961 年 50 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変症乃至いわゆる前硬変状態の患者血清中には恐らくheterogeneousで,かつほぼ疾患に特異的と考えられる異常なγ-グロブリン成分の存在が確認され,われわれの肝硬変症血清γ-グロブリンから作製した抗血清を健康者多価血清で吸収した抗体成分と,一般肝疾患患者血清との間の沈降反応は肝硬変症の診断に有用と考えられる.なお,本反応と一般肝機能検査,血清蛋白分画値及び肝生検による病理組織所見との関係を検討し,血清硫酸亜鉛試験(Kunkel),血清γ-グロブリン値の増加ならびに間質のfibrosisの程度と比較的密接な関係が認められた.さらにこの異常蛋白成分の産生機構について若干の考察を加える.
  • 宮保 進, 蓮井 克夫, 金田 又衛, 茶山 敬子, 大月 五, 斉藤 和哉
    1961 年 50 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    33才,男,家族歴および既往歴に特記すべきものなし.数年前よりの糖尿を主訴として入院.顔面,側頚部,手背に灰褐色の色素沈着.肝は3横指触れ,両側睾丸萎縮し性毛の発育不良.末梢血に軽度の貧血を認め,骨髄ではhemosiderinの著明な増加を見る.肝機能は血清transaminaseの軽度の上昇以外はほゞ正常.血清鉄は常に上昇し総鉄結合能は正常,飽和度の上昇を見る.中等度の糖尿はinsulinおよびDMBGでcontrol可能.内分泌検査において性腺,副腎,甲状腺の機能低下を証するが,下垂体不全に続発したものと考えられる.肝biopsyにより肝細胞を主としKupffer細胞,胆管上皮にも認められるhemosiderin沈着およびportal tractのfibrosisの所見を得た.また皮膚biopsyで基底層の色素増生及び汗腺固有膜のhemosiderin沈着を認めた.
  • 福田 正雄, 深田 典則, 宿里 守, 酒井 照記
    1961 年 50 巻 4 号 p. 332-335
    発行日: 1961/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    われわれは術前に胃X線検査および胃カメラ検査によつて胃ポリポージスと診断し,切除胃標本の組織学的検査によつて胃粘膜癌と決定された1例を記載し,いわゆる胃ポリープの癌化について考究した.症例は32才の男,坑員.主訴は空腹時上腹部痛,悪心,上腹部膨満感.家族歴および既往歴に特記することはない.現病歴は約10年前から胃のもたれ,上腹部鈍痛などの症状が出没,一進一退の経過をたどつていた. 1カ月前から胃症状が強くなつて当科を受診.現症は体格中等,栄養はよくない,舌は薄い白苔に被われ浅く亀裂する.頚部リンパ節は触れない.上腹部に圧痛がある.小野寺氏圧痛点(〓).胃液は低酸を示し,乳酸および潜血反応陰性である.
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