日本内科学会雑誌
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51 巻, 1 号
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  • 木下 康民, 笹川 力, 山田 彰夫, 横山 芳郎, 高橋 実, 堀川 隆助, 平沢 由平, 渡部 義一, 福地 勝郎, 香曽我部 謙志, ...
    1962 年 51 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗生物質puromycinの誘導体であるaminonucleoside (AN)はラッテにおいてヒトのネフローゼに極めて類似した腎傷害を若起するため, ANによる腎傷害は最近ネフローゼ症候群の実験的モデルとして注目されている. ANの作用機序についてその構造がadenine,またはadenosine等の核酸前駆物質と似ているために, ANがこれらの物質と競り合うためであるとか,あるいはadenineおよびpyridine nucleotide産生がANにより抑制されるため等と推定されている.そこでわれわれはANによるラッテの実験的腎傷害の発生にたいしてadenine, ATPおよびFADを併用してその抑制効果を検討した.ANにたいし, FADの併用は特に効果を認めず, adenineの併用では初期変化の軽度抑制を認めた。ATPの併用は適量によっては尿蛋白,血清残余窒素およびコレステロールの増量が軽度で,かつ組識像でも特に尿細管の変化がAN群にくらべて軽度であつた.われわれはANによる実験的腎傷害の発生にたいしてATPが抑制作用を有する事実を初めて明らかにした。
  • 熊谷 朗, 矢野 三郎, 浅沼 克次, 武内 和之, 刀祢 健治
    1962 年 51 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖質ステロイド投与中止後の下垂体副腎機能を臨床的に観察した結果,副腎不全のみならず下垂体機能の異常も認められた,次いで,コーチゾン投与ラットにACTHあるいはanabolic steroid (AS)を併用し,投与中止後の下垂体副腎機能について詳細に検討した結果, ACTH併用は副腎の形態学的萎縮を予防したが,投与中止後の一時的な下垂体副腎系の機能低下はまぬがれ得なかつた。一方,AS併用は副腎重量の減少を防止し得なかつたが,副腎のin vitroにおけるACTH-effectは比較的維持され,下垂体ACTH量も中止後早期においては正常,あるいはそれ以上に保たれていた。しかしACTH量はその後漸減し,ACTH併用と同様の傾向を示した。以上の成績より続発性副腎不全の予防に関し,ACTHとの併用という従来の方法は必ずしも満足すべきものではなく,なしろASを併用し,投与中止後にACTHを短期間使用するのが最も合理的な予防方法であると考えられた。
  • 安芸 基雄, 鬼頭 昭三, 積良 愚
    1962 年 51 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖質ステロイド投与中止後の下垂体副腎機能を臨床的に観察した結果,副腎不全のみならず下垂体機能の異常も認められた.次いで,コーチゾン投与ラットにACTHあるいはanabolic steroid (AS)を併用し,投与中止後の下垂体副腎機能について詳細に検討した結果, ACTH併用は副腎の形態学的萎縮を予防したが,投与中止後の一時的な下垂体副腎系の機能低下はまぬがれ得なかつた.一方, AS併用は副腎重量の減少を防止し得なかったが,副腎のin vitroにおけるACTH-effectは比較的維持され,下垂体ACTH量も中止後早期においては正常,あるいはそれ以上に保たれていた.しかしACTH量はその後漸減し, ACTH併用と同様の傾向を示した.以上の成績より続発性副腎不全の予肪に関し, ACTHとの併用という従来の方法は必ずしも満足すべきものではなく,むしろASを併用し,投与中止後にACTHを短期間使用するのが最も合理的な予防方法であると考えられた.
  • 関 宗光, 森 治樹, 大沢 仲昭, 三上 理一郎
    1962 年 51 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    われわれは最近尿崩症を伴なつたサルコイドージス(サと略す)の1症例を経験した. 23才の男子会社員で,偶然両側肺門リンパ節腫脹を発見され,ほゞ同一時期にブドウ膜炎及び尿崩症を呈して来た.サの診断の目的で行なったリンパ節生検の結果,サの所見は得られなかったが,アメリ力抗原(サ脾)によるKueim反応は陽性であり,臨床的にサと診断しうると考える.尿崩症の診断はカーター・ロビンス試験及ぴニコチンテスト,アトニンテスト, water-deprivation test, free water clearanceによりなされている.本例の尿崩症は,下垂体後葉を主体とするサ病変によつて生じたものと考えられる.本例においてはステロイド療法によりブドウ膜炎及び両側肺門リンパ節腫脹は改善したが,尿崩症には改善がみられなかつた.尿崩症を伴なったサは極めて稀であり,文献的に現在迄26例が報告されているにすぎず,本例は本邦第1例と考えられる.サは全身性疾患であることを考慮し,単に呼吸器系のみでなく,神経系や内分泌系領域にも関心を向けるべきであると考える.
  • 星田 昌博, 外山 圭助
    1962 年 51 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    髄膜炎菌及びインフルエンザ菌以外の急性化膿性髄膜炎は,すべて原病巣急有する二次的な髄膜炎である.われわれは鼻腔内髄膜瘤によって再三髄膜炎に罹患し, 16才まで生存し得た1症例を経験し,化学療法施行後外科的に手術し救命し得た.先天性髄膜瘤は3,500~4,000人に1人の割に発生し,鼻腔内の場合は更に稀で,しばしば鼻茸,線維腫等と誤診され,化膿性髄膜炎に罹患し死亡することが多い.鼻腔内髄膜瘤の診断は生下時より存在し,眼間距離が広く,鼻根部が隆起し,鼻閉塞の症状があり,鼻茸と似ている.髄液性鼻漏があれば頚静脈圧迫,頭部の下垂等で鼻漏は増加し,髄液と同定するには糖含有量を測定することがよい.本症を放置しておけば髄膜炎を起こすことは必発で,化学療法によつて容易に治癒しても髄膜炎を反復することが特徴である.
  • 木下 康民, 笹川 力, 中野 敏, 荒川 正昭, 森田 俊, 庭山 清八郎
    1962 年 51 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年抗生剤とsteroidhormoneの使用がその一つの誘因となつて真菌症が増加してきたが,私共も全身性エリテマトーデス(SLE)にクリプトコッカス症を合併した1例を経験した.患者は20才の女性.最初手掌,手背,両頬に紅斑が出現,次いで発熱,蛋白尿,顔面浮腫を来たし,某病院でSLEとしてsteroidhormoneを投与され,間もなく当科に転院した、続いてテトラナイクリンと共にsteroidhormone療法を行なつたが,約1年後に高熱と共にLE細胞が証明され, prednisolone 1日70mgの大量を与えても効果なく,やがて頭痛,嘔気,嘔吐,霧視,複視,外転筋麻痺及び欝血乳頭を認め,髄液にcryptococcus neoformansを証明した.次いで嗜眠状となり,腱反射消失,項部強直と病的反射が出現, nystatinで効なく, amphotericin Bを点滴静注中死亡した.剖検により脳脊髄膜,脳実質,腎,肺にcryptococcus性肉芽腫と菌を,又腎にwireloop lesion,脾にonionskin様変化を認めた.
  • 谷川 久一, 西村 弥彦, 桧垣 有徳, 荒木 英爾, 窪谷 静子
    1962 年 51 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1962/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    21才及び33才女子の症例.両例とも黄疸の再発,関節痛,月経不順,間歇的発熱等の病歴をもつて入院.臨床所見では面皰,クモ状血管腫,出血斑,肝腫大を有し,又貧血,血沈の著明な促進肝機能変化著しく特にその血清ア性フォスファターゼの上昇が目立った.血清蛋白分画ではγ-グロブリンの異常な増加あり.又肝性検では活動性慢性肝炎の像を示し,特に黄疸再発時の肝細胞実質障害が著明で経過と共に結合織の増生を示した. 1例に好酸性の巨細胞を認めたのは注目を要する。電顕所見では肝細胞原形質小器管の変化と毛細胆管障害が目立った. 1例にLE細胞陽性を示した.両例ともステロイドホルモンの投与により改善をみとめたが,再発ずる傾向にある.以上2例はMackay(1956年)により呼称されたルポイド肝炎に相当するものと思われる.本邦においては最初の症例報告と思われ,こゝに報告した.
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