近年抗生剤とsteroidhormoneの使用がその一つの誘因となつて真菌症が増加してきたが,私共も全身性エリテマトーデス(SLE)にクリプトコッカス症を合併した1例を経験した.患者は20才の女性.最初手掌,手背,両頬に紅斑が出現,次いで発熱,蛋白尿,顔面浮腫を来たし,某病院でSLEとしてsteroidhormoneを投与され,間もなく当科に転院した、続いてテトラナイクリンと共にsteroidhormone療法を行なつたが,約1年後に高熱と共にLE細胞が証明され, prednisolone 1日70mgの大量を与えても効果なく,やがて頭痛,嘔気,嘔吐,霧視,複視,外転筋麻痺及び欝血乳頭を認め,髄液にcryptococcus neoformansを証明した.次いで嗜眠状となり,腱反射消失,項部強直と病的反射が出現, nystatinで効なく, amphotericin Bを点滴静注中死亡した.剖検により脳脊髄膜,脳実質,腎,肺にcryptococcus性肉芽腫と菌を,又腎にwireloop lesion,脾にonionskin様変化を認めた.
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