日本内科学会雑誌
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51 巻 , 2 号
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  • 浅野 健夫, 新谷 善治, 松浦 孝典
    1962 年 51 巻 2 号 p. 101-109
    発行日: 1962/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    担癌生体における血清酵素化学的研究,特に会糖経路に関する研究は多く,数種の酵素については既にその診断的意義も認められている.この解糖系酵素の中で,惡性腫瘍につき特に重要なlactic dehydrogenaseについて担癌動物および癌患者の血清中の活性値を測定し,その臨床的意義に関する検討を行なつた.血清1actic dehydrogenaseはマウスおよびラッテにける実験的発癌過程において漸次上昇し,癌発生と共に最高に達する.また胃癌患者では癌の拡がりと密接な相関を示し,その他の癌,白血病,急性肝炎等でも活性上昇がみられる.一方良性胃疾患,肺結核,慢性肝炎,肝硬変症,再生不良性貧血等では上昇せず,鑑別診断に有用である.またこの血清lactic dehydrogenase上昇機序の解明に組織培養法を用いて検索した結果,従来いわれてきた細胞内酵素の逸脱,代謝異常による産生増加等の他,癌細胞の細胞膜透過性の変化の存在をも示唆する成績が得られた.
  • 隠岐 和之
    1962 年 51 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1962/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    甲状腺刺激ホルモン(TSH)は分子量25,000~30,000と称せられる蛋白体で,当然抗原性を有することが予想せられるが,その分離精製法,動物感作方法,抗体証明方法等の難点のため従来この方面の研究はTSHの抗原性を暗示するに止まつていた.著者はcellulose columnにより分離精製し,超遠心法ならびに濾紙電気泳動法により均一性を確認した豚ならびに人のTSHを抗原とし, adjuvantを用いて家兎を感作し,その血清中にTSH抗体が産生せられることを免疫学的方法(赤血球凝集反応,赤血球凝集阻止反応およびゲル内沈降反応)ならびに生物学的方法(中和実験)を用いて証明し,更に豚と入のTSH間に交叉免疫の成立することを同様の諸方法を用いて系統的に証明した.
  • 依藤 進, 松浦 覚, 上羽 康之, 岩崎 忠昭
    1962 年 51 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 1962/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Acute necrotic myelopathyは稀な疾患であり,予後は絶体的に不良でその発生原因も不明の点が多い.本症例は突然下肢の弛緩性麻痺,Th67の分離性知覚陣害及びTh8以下の全知覚脱失,膀胱直腸障害を来たした1例である.剖検によりTh68の壊死,胃癌とその腺・肋骨・副腎転移を認めた. Necrotic myelopathyは脊髄に広範な壊死を伴なう疾患で,その原因として脊髄の循環障害,ビールス,各種毒素,薬剤等が挙げられているが,これらの原因を種々検討し,本症例は癌病巣より転移した腫瘍細胞塊により脊髄の循環障害を来たし,それにより脊髄の壊死を来たしたものである.
  • 岩崎 栄
    1962 年 51 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1962/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    15才の女子にかなり広い範囲の狭窄のある異型大動脈絞窄症をみたので,ここに報告する. 8才の時心肥大,心疾患を指摘され13才ごろからどうき,胸痛,両下肢の冷感を訴えるようになり,次第に自覚症増強,呼吸困難を加う.上肢における高血圧,血圧の左右差,左側橈骨動脈の触知困離,下半身血圧測定不能。胸部X線単純撮影上,左心室の拡大,肋骨のnotcning,下行大動脈狭窄の所見あり,血管心臓造影にて胸部大動脈の狭窄,左総頚動脈起始部の狭窄,左鎖骨下動脈の完全閉塞,側副路の異常発達の所見をみる.そのほか上記狭窄部位に一致して雜音を聽取するなど,臨床像および諸種検査成績から異型の大動脈絞窄症と考えられる.さらに本症の成因として先天性一部後天性特に炎症性を思わす変化がみられ,今後この種の疾患の病態の解明に役立つものと思われる.
  • 粟屋 博信, 志熊 信敬, 升尾 和彦
    1962 年 51 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 1962/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    典型的な急性ポルフィリン症を経験し,かつ剖検する機会を得た.症例は32才の男.腹痛,高血圧,精神症状,四肢運動麻痺,横隔膜麻痺を主要症状とし,ついに呼吸麻痺のため死亡した.尿は入院期間中,終始,赤褐色ないしブドウ酒色を呈し,ポルフォビリノーゲン強陽性,コプロポルフィリン陽性,ウロポルフィリン弱陽性であつた.剖検により横隔膜神経は左右とも内鞘は浮腫状を呈し,髄鞘は顆粒状変性,崩壊,脱髄などの所見を認め,軸素にも部位的に腫張,顆粒状変性,断裂などを認めた.このことは本症の横隔膜麻痺を裏づける意味あるものと考える.
  • 川井 信義, 後藤 平
    1962 年 51 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1962/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は28才の男.主症状は,(1)右大腿部の有痛性腫瘍(小児頭大で局所熱・圧痛・波動あり),(2)全身の皮膚腫瘍(手掌足底を除き,全身殊に躯幹に小豆大より鶏卵大までの多発性軟性腫瘍),(3)色素斑(全身表皮に散在する粟粒大の淡褐色色素斑点及びCafé-lait斑),(4)X線像で頭蓋骨骨欠損像を認む.生来全身に皮膚腫瘍および色素斑あり,思春期より増惡.大腿部腫瘍は27才の年末より次第に増大,該部の大腿骨には異常なし.腫瘍を剔出したが再発し死亡した.腫瘍は神経鞘芽細胞腫(Antoni-B型).本邦では本症の惡性化は男のそれよりも若く起こる.部位的には下肢の深部の神経腫の惡性化することが最も多い.遺伝性および惡性化の頻度については報告者により一致しないが,最近2年間の本邦例についてみれば4.7%.転移は22%,ほとんど血行性,大部分は肺への転移.従来の報告では惡性変化の種類は大部分線維肉腫であるが,本邦例の統計では悪性神経鞘腫が最も多い.
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