日本内科学会雑誌
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53 巻 , 1 号
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  • 尼子 隆章
    1964 年 53 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1-14C-palmitateおよび1-14C-palmitate標識乳糜を用いて,脂質動態を追求し, CCl4障害時における脂肪肝の発生並びに黄疽時に脂肪肝の発生し難き事実の機作を明らかにした. CCl4障害4時間後のラットでは,血中の中性脂肪および燐脂質への1-14C-palmitateのとりとみの著明な減少を認めるが,この際の肝よりの脂質動員の減少せる機作について検討を加え,かつ燐脂質の脂質動員にかんする重要性を確認した.胆管結紮により黄疸を生ぜしめたラットにおいては,血中脂質への1-14C-palmitateのとりこみは多量かっ速やかであり,肝よりの脂質動員が増加していることを認めた.乳糜の処理能はCCl4障害ラットでは著しく障害され,胆管結紮ラットにおいてはむしろ処理能の亢進がみられる.肝脂肪の蓄積には外因性脂肪よりも内因性の遊離脂酸の動員亢進の関与が大きい.
  • 小山 勝一
    1964 年 53 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    グルカゴンが生体内で脂肪組織に直接働いて脂肪分解作用を有するかどうか,グルカゴンの糖代謝以外の効果がグルカゴンによる高血糖のため生じた二次的なものかどうかを見るために,ブドウ糖投与時の変動をグルカゴン投与時のそれと比較した.また,肝疾患,糖尿病ではグルカゴン投与時どんな反応が生ずるかを観察した.血漿非エステル型脂肪酸(NEFA)はグルカゴン筋注後,初期に一過性の上昇をみて後に下降したが,ブドウ糖投与では初期の上昇がみられず,直ちに低下する.さらに,グルカゴン定速注入中, NEFAは上昇を示し,注入中止とともに低下したことはより,グルカゴンが,直接,脂肪組織に働いてNEFAを招来することがわかった.若年性糖尿病患者と肝疾患患者では,グルカゴンの血糖上昇効果は極めて弱かつたが,一方,グルカゴン注入によるNEFAの増加が著しかった、治療により病状が改善されると,血糖上昇効果は高まり, NEFAの上昇はおさえられて,正常人と同じ反応を示すようになる.
  • 寺元 彪
    1964 年 53 巻 1 号 p. 21-37
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脂質の消化吸収機序に関しては,なお,未開拓の分野が多く,特に,消化管ホルモンとの関連性を追求した報告は少ない.著者はガスクロマトグラフィーを応用し,ヤシ油投与犬にcholecystokinin, pancreozymin, secretinを使用し,胸管リンパ,門脈血血漿,末梢血血漿,十二指腸粘膜,十二指腸粘膜下層,空腸粘膜および空腸粘膜下層の総脂酸のスペクトル変動を分析した.胸管リンパ総脂酸の経時的変動は, pancreozymin投与時に最も大で,ついでsecretin, cholecystokininである.胆汁は膵リパーゼより,脂酸吸収に及ぼす影響が大である.門脈血および末梢血における脂酸のスペクトルの変動は著明ではない.腸管壁では,一般に,粘膜下層より粘膜上皮に脂酸スペクトルの変動が著明で,部位的には,ヤシ油単独投与, pancreozymin併用,膵液体外誘導後cholecystokinin併用例の十二指腸粘膜に脂酸吸収が多く, cholecystokinin投与例, secretin投与例では,逆に空腸粘膜に脂酸の吸収が多くみられた.結局,小腸上部が脂質吸収の主要な場と考えられた.
  • 西村 俊夫
    1964 年 53 巻 1 号 p. 38-51
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リウマチ性心疾患と溶連菌感染が密接な因果関係にあることは,各方面より実証されているが,なお,不明な点が多い.そこで著者は,溶連菌型特異抗体の面より,これを検討しようと試みた. A群β溶連菌は感染防禦に関与するといわれる蛋白質性のM抗原と呼ばれる型特異的な物質によつて分類されている.したがつて, M抗原に基づく菌型の分類は,人体の溶連菌感染症における免疫,ひいては,疫学においても有意義なものであると考えられる.このため, M抗原を使用して種々の方法が試みられているが, Bactericidal testを除いては特異性に乏しい.また,その方法の実施は臨床家にとつて,必ずしも容易でない.ここにおいて,著者はBoydenの感作タンニン酸赤血球凝集反応の改良法(熊谷)を,初めて溶連菌感染症に応用し,菌液による吸収試験,抗原液による抑制反応, Bactericidal testとの比較,抗原のトリプシン処置等種々の方法で型特異性を証明し,本法が患者血清中の型特異抗体の研究に用いうることを示した.
  • 西村 俊夫
    1964 年 53 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Boydenの感作タンニン酸赤血球凝集反応の改良法を,初めて,溶連菌感染症に応用し,種々の方法で,その型精異性を証明し,本法が,患者血清中の型特異抗体の研究に用いうることを第1編において報告した.第2編においては溶連菌感染症,特に,リウマチ性心疾患々者および,その他の患者合計301例について, A群β溶連菌のLancefieldの42型の全部の型の抗原を用い,感作タンニン酸赤血球凝集反応を実施し,次の結果をえた.すなわち,リウマチ性心疾患の患者では,健康者や他の原因による心疾患に比して,単に,抗体価が高いのみでなく,高い抗体価を有する型の数が多いという事実が認められ,それが,リウマチ熱の再発,リウマチ性心疾患の増悪と関連するごとき成績がえられた.また,リウマチ性心疾患と溶連菌感染とが密接な関係を有し,ペニシリン使用によつてリウマチ熱の発生および,再発の予防,リウマチ性心疾患の増悪防止を行なうことの必要性が確認された.
  • 横田 素一郎, 安日 晋, 浜島 正端, 大津留 信, 中山 巖
    1964 年 53 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    X線学的に骨破壊像を認めず,原発性副甲状腺機能亢進症を思わせるような高Ca血症症状を呈した細網内皮症の剖検例について報告した.症例は48才の男子国鉄職員で,入院1年前より,再三腰を捻挫し, 2週間前より悪心,嘔吐,食欲不振,筋力低下,全身倦怠,神経質などの,いわゆる高Ca血症症状が現われた.血清Ca上昇,血清P正常,血清al-P-aseの上昇がみられ,全身骨のX線像では,骨の透過性がやゝ高まつている以外,著変はなかつた.臨床的に原発性副甲状腺機能亢進症を疑つたが,入院8日目に心衰弱で死亡した.剖検で,副甲状腺には異常がなぐ,病理診断は細網内皮症であつた.骨は肉眼的には異常はなかつたが,組織学的に骨髄内に著明な細網内皮細胞増殖がみられ,同時に骨皮質の吸収と新生の所見を認め,両側腎にも細網細胞増殖および高度な石灰沈着がみられた.
  • 熊原 雄一, 宮井 潔, 阪上 明, 福地 稔, 桝井 秀雄, 岩坪 治雄
    1964 年 53 巻 1 号 p. 66-70
    発行日: 1964/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Basedow病患者血中に正常TSHに比し長時間作用の持続する甲状腺刺激物質のあることが見出され, long-acting thyroid stimulator (LATS)と呼ばれ, Basedow病病因との関連性が注目されて来たが,その起源については不明であった.最近われわれはBasedow病剖検例を経験し,その下垂体抽出液にTSH bioassayで時間反応曲線は正常TSH型を示すにかゝわらず,抗TSHは血清により中和されない,換言すれば正常TSHと免疫学的に異なる異常TSHともいうべき物質の存在を証明した.なお本患者血中にはTSH bioassayにより活性を認めなかったので, この下垂体異常TSHとLATSあるいはshort-acting thyroid stimulatorとの関係は明らかでないが,これは今後検討さるべき問題である.
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