日本内科学会雑誌
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53 巻, 3 号
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  • 帯状回電気刺激時の頸静脈血中ACTHの変動について
    内川 澄
    1964 年 53 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 1964/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    下垂体副腎皮質系の中枢性調節機序解明の目的で,大脳辺縁系に属する帯状回の電気刺激実験を行なつた.成犬を用い,モルヒネ前処置後,帯状回前部および後部に直視下に電気刺激を加え,頚静脈血中ACTH量の変動を逐時的に,オキシセルローズ吸着,下垂体摘出ラット副腎アスコルビン酸減少法をもつて測定した.刺激により帯状回前部および後部いずれの部位においてもACTH量の急激な上昇が認められ,同時に散瞳,呼吸抑制,血圧変動(多くの場合低下),排尿等の自律神経性反応もみられた.下垂体摘出後にはACTHの変動は消失するが,自律神経性反応はなお認められた.これに対して上前頭回刺激時には,血中ACTHの変動も,自律神経性反応もみられなかつた.以上の成績から,帯状回は,自律神経性機能の高位中枢であるとともに, ACTH分泌調節にかんしても大脳辺縁系の一環として関与していると結論した.
  • 橋本 恭治
    1964 年 53 巻 3 号 p. 255-262
    発行日: 1964/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝疾患と心臓との関係を究明するため,肝疾患患者のベクトル心電図を木村法(148例), Frank法(22例)により撮影し,これらと肝機能,血清蛋白,血清電解質および心電図を比較検討した. QRS, T環最大ベクトルの大きさは急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変症の順に小となり, QRS-T夾角は逆の順に大となる.また, QRS, T環最大ベクトルの大きさは,肝機能障害の強くなるにつれ,また血清蛋白のうちγ-globulinの増加群で小となる.この関係はとくにT環で著しい. QRS-T夾角は逆に大となる.心電図上ST-T融合型を示す例では, T環の縮小, QRS-T夾角の開大がみられ,この事よりST-T融合型は心筋障害を意味するものと考えられる.血清電解質のうちでは血清カリウムの減少によりT環の縮小傾向がみられた.
  • 高橋 稔
    1964 年 53 巻 3 号 p. 263-272
    発行日: 1964/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    蛋白同化ステロイド4-chloro-testosterone acetate (4Cl-TA)および19-nortestosterone phenylpropionate (19-NAPP)の家兎網内系機能に及ぼす影響を鶏血球法により観察した.その結果,両者とも網内系機能充進作用を認めたが,その作用は4Cl-TAの方がやゝ強く,かつ両者とも投与日数に比例して亢進作用も強まる.また同時に比較検討したtestosteroneおよびestradiolもまた亢進作用を認めたが,蛋白同化ステロイドの亢進作用はこれらとほゞ同じ程度の作用であつた. cortisoneは網内系機能を抑制したが, 4Cl-TAと併用するとcortisoneの抑制効果はある程度相殺される.また脾摘家兎に4Cl-TAを投与しても,その亢進作用は発揮されない.よつて4Cl-TAは脾を介して網内系にはたらくものと考えられる.去勢家兎の網内系機能は亢進を示した. gonadotropinは網内系機能亢進作用を現わした.網内系機能亢進家兎の脾体重比は低下家兎に比べ大きく,逆に肝体重比は小さい傾向を認めた.
  • 安部 喬樹
    1964 年 53 巻 3 号 p. 273-288
    発行日: 1964/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    甲状腺疾患ならびに,その他二,三の疾患について,血漿蛋白と131I-T4,または131I-T3との結合状態を臨床的に明らかにする目的で行なつた.まず,その結合状態を間接に表わすと思われる赤血球の131I-T4または131I-T3摂取状態を著者考案の赤血球血漿比で求め,そのさい,血漿稀釈を行ない,これによる摂取状態の変動を追求した.この方法によると,従来の131I-T3より一層生理的な131I-T4を用いて赤血球の甲状腺ホルモン摂取能を測定しうることを立証し,その結果がよく甲状腺機能を反映することをみた.つぎに血漿蛋白と131I-T4または131I-T3の結合状態を直接知る方法として,著者考案の血漿蛋白結合率を測定し,その血漿稀釈による変動を追求した.その結果, 36~54倍稀釈における131I-T4結合率が最もよく甲状腺機能を反映することをみ,サイロキシン結合蛋白の結合能の変動を適確に知りえた.
  • 小林 和雄
    1964 年 53 巻 3 号 p. 289-301
    発行日: 1964/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の副腎皮質機能および成長ホルモン分泌が,食餌性stressによつて如何に変動するかを,尿中17-KGS,血漿中成長ホルモン様活性等を指標として観察した.ブドウ糖,バター各400cal.負荷後の17-KGSの変動率の増加程度から,糖尿病をD1型<D2型<D3型の3型に分類した。空腹時血糖値,合併症,耐糖能からD1型は比較的軽症型, D2型は比較的重症型, D3型はsteroid糖尿病患者の1例であつた.牛肉負荷後には17-KGSの160%以との増加を示した症例はなかつた.糖尿病患者では食餌性stressが成長ホルモン分泌を促進させる可能性がみられた.牛肉負荷では,健康人にも同様の傾向がみられた.
  • 北山 稔, 河田 義郎, 江沢 英光
    1964 年 53 巻 3 号 p. 302-308
    発行日: 1964/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国では, 1876年E. Baelzによる温泉医学の導入後も,水治療法は治療学中の傍系的存在で今日に到つたためか,温泉治療を含む水治療についての知識について,一部の専門家を除いてはほとんど知られていない.ところが近年整形外科の独立と普及化に伴ない,米国的physical rehabilitationの概念に基づく水治療がわが国でも一般化しており,内科方面へも主として脳卒中後遺症の理学療法の形で応用されつゝある.しかし一面,内科疾患では機能障害以外に基礎疾患が存在するので,直ちに直訳的にそれらを利用することには問題があり,他面,慢性疾患の増加とともに再び温泉療法の効果についての認識が亢まつている.以上のような事実から,一方では日本における水治療の現状について調査した成績を示すとともに,他方では水治療の対象疾患として重要な脳卒中後遺症とリウマチ疾患についてのわれわれの経験を纒めて,水治療の利用効果について述べた.
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