甲状腺疾患ならびに,その他二,三の疾患について,血漿蛋白と
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4,または
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3との結合状態を臨床的に明らかにする目的で行なつた.まず,その結合状態を間接に表わすと思われる赤血球の
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4または
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3摂取状態を著者考案の赤血球血漿比で求め,そのさい,血漿稀釈を行ない,これによる摂取状態の変動を追求した.この方法によると,従来の
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3より一層生理的な
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4を用いて赤血球の甲状腺ホルモン摂取能を測定しうることを立証し,その結果がよく甲状腺機能を反映することをみた.つぎに血漿蛋白と
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4または
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3の結合状態を直接知る方法として,著者考案の血漿蛋白結合率を測定し,その血漿稀釈による変動を追求した.その結果, 36~54倍稀釈における
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4結合率が最もよく甲状腺機能を反映することをみ,サイロキシン結合蛋白の結合能の変動を適確に知りえた.
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