水俣病の原因は,水俣病研究班の多くの研究の結果,メチル水銀化合物による中毒であることが確認された.著者はCH
3HgSCH
3, (CH
3Hg)
2S, CH
3HgCl, CH
3HgIおよびC2H5HgI, (C
2H
5Hg)
2HPO
4をネコに経口投与し,臓器内水銀量および尿,便中水銀量をdithizoneを用いる比色定量法により測定し,動物水俣病のぞれと比較検討した.さらに, (C
2H
5Hg)
2HPO
4にV.B
1, BAL, peaicillamineをそれぞれ併用してネコに投与し,その治療効果を検討した.これら水銀投与ネコの肝、腎、脳、毛には水銀量が多く,これらの中でCH
3HgSCH
3投与ネコと動物水俣病の臓器内水銀分布が最もよく一致していた.また,尿中水銀排泄量は便のそれに比し少量であり,総水銀投与量に対する尿,便中水銀排泄量は比較的少量であつた. (C
2H
5Hg)
2HPO
4にV. B
1, BAL, penicillamineをそれぞれ同時投与したネコでは, (C
2H
5Hg)
2HPO
4単独投与ネコに比較して,腎内水銀量が少量であつた. (C
2H
5Hg)
2HPO
4にBALまたはpenicillamineを同時投与したネコの尿中に,著しい水銀量の増加を認めた.
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