急性経過を示したいわゆるmyeloproliferative syndromeの1剖検例を経験した.症例は42才男子.家族歴,既往歴(-).昭和37年11月ごろから全身倦怠,鼻出血,貧血を認め,昭和38年2月中旬より40°Cにおよぶ弛張性発熱,浮腫および運動時呼吸困難を加え,2月26日入院.入院時顔面浮腫状,貧血著明,表在リンパ節腫脹(-).静脈雑音,貧血性心雑音を聴取,肝1横指触知.脾腫(-),腹水(-).入院時末梢血液像:血色素量27%の正色性正球性貧血,赤血球大小不同(+),奇形赤血球(±), tear drop poikilocyte(-),赤芽球(-),網赤血球0.6%,栓球数6.8×10
3,白血球数1,800,白血球像で少数の骨髄芽球,好中性前骨髄球認めた.白血球a1-P-ase値上昇.骨髄穿刺は繰り返し胸骨,腸骨で行なうも穿刺液を得ること極めて困難.腸骨後上棘からの骨髄生検により骨髄の線維化,細胞密度の減少を認めた.プレドニソロン30mg/日投与により数日で下熱,輪血により貧血改善,小康を得たが,白血球像はほとんど不変. 3月中旬より末梢血中に赤芽球が出現,漸次増加し, 4月下旬には1,300/cmmに達した. 3週間の緩解ののち再び発熱,貧血,出面傾向著明となり,プレドニソロン50mg/日に増量するも効集不明.全身状態悪化し, 5月8日死亡.剖検所見:骨髄に広範な線維化,肝1960g,拡張した類静脈洞内に顆粒球,巨核球,赤芽球の浸潤,髄外造血(+).脾; 300g,細胞数少なく,線維化あり.
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