日本内科学会雑誌
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54 巻 , 1 号
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  • 宮守 嵩博
    1965 年 54 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膵と脂質代謝の間には密接な関係があり,膵障害時にその異常をきたすことは古くから知られていたが,構成脂肪酸の面より追求した研究は極めて少ない.本論文においては膵炎時の脂質代謝の一端を窺う目的で,実験的には膵管内胆汁末水溶液注入により作成した急性膵炎犬にっき,経過を追って血漿脂肪酸組成をガスクロマトグラフフィーにより測定し,さらに経口的に脂肪を投与して血漿脂肪酸組成の変動を観察した,臨床的には慢性膵炎患者について同様な観察を行なった.血漿は珪酸カラムクロマトグラフィーを用いて各脂質分面に分離し,それぞれの構成脂肪酸組成を測定した.
    その結果,膵障害により脂質代謝の量的な異常のみならず,質的な異常も存在することを示した.すなわち,膵障害時には脂肪の消化吸収障害が存在するのみならず,吸収された脂質も体内での代謝において正常と異なつた態度を示すことが推測された.
  • 丸山 善啓
    1965 年 54 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    造血因子とceruloplasmin(以下CPと略す)との関係は既に1958年に著者らの教室より提出ざれているが,本論文においては造血因子としてのCPの本態を明らかにせんとして,そのactive centerの検討を行なつた. CP 0.05mg/m1の溶液を1/6N塩酸でpH 4.5にadjustし,この沈殿分西を0.1M Na2HPO4, 0. 5M NaClで溶解した分画に造血活性があることを確認した.またCPのDEAEcellulose column chromatographyを行なうとI~IVの分画に分かれた.精製された新しいCPのcolumn chromatographyでは大きなIの分画と小さなIIの分面に分かれ,保存されたCPは漸次III, IVの分画に移行した. CPから酸処理によつて分離した物質の造血活性は,このI分画のCPから作製した場合に高く,注射量に比例して造血活性の上昇が認められ,かっ煮沸,透析および凍結乾燥によってもその活性が保たれることを指摘した.
  • 山田 克浩
    1965 年 54 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近銅代謝の過程が解明され,血清銅の大部分はceruloplasminとして存在することが知られた.著者はp-phenylendiamin hydrochlolideの酸化能を利用するRavinの方法に若干の修正を加えて正常入および各種疾患時のceruloplasminを測定した.正常成人36例の平均は38.3±4.6mg/dlで女が男に比しやゝ高値をとった.食事により1~2時間後に10%位増加するが4時間以内に前値に,戻った.惡性腫瘍,肝硬変症,重症筋無力症,感染症では著明に増加していた.とくに胃癌では増加の程度が著しかつた. Wilson病では著明に減少し,ポルフィリン症でも大部分は減少していた.
  • 山田 克浩
    1965 年 54 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    中福神経と銅代謝の関係が問題にされ,間脳の刺激により血清銅の増減が報告されている.著者は血清銅の大部分を占めるceruloplasmin(CPと略す)の変動に自律神経系が関与しているものと考えられるので,自律神経毒薬物としてadrenalin, insulin, pilocarpinの皮下注射および髄腔内空気注入の方法でヒトおよび家兎の血清CPの変動を調べた. adrenalin, insulinの皮下注射でヒトおよび家兎の血清CPは増加したが, pilocarpinの皮下注射では家兎の血清CPの変動をみなかつた、髄腔内空気注入によつてはCPの増加を認め, adrenalin, insulinによる刺激に比して前値に戻る時間が延長していた.
  • 笠倉 栄治
    1965 年 54 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Pyruvate kinase (PK)は解糖系に関与する酵素であり,人体の解糖を行なつている部位にあまねく分布しているものと考えられている.赤血球中におけるPKは種々の溶血性疾患について報告されているが,血清中のPKについての報告は殆どみられない.
    著者は正常者および諸種肝疾患患者血清中の本酵素活性値を測定し,これと平行して諸種肝機能検査,諸酵素活性値を測定し,その変動ならびに相関について観察した。
    PK活性値は急性肝炎発黄期にトランスアミナーゼ活性値の上昇よりはやゝ遅れて上昇し,回復期に再び一時的に上昇する例が多かつた.肝硬変のPK値は肝炎より高い値を示したものもあるが,他の肝機能との相関はみられなかつた.閉塞性黄疸では閉塞の進行するにつれてPK値の上昇がみられ,黄疸指数・アルカリフォスファターゼ(al-P-ase)とある程度の相関が認められたが,長期間の閉塞を示した症例では,かえってPK値が低下し,黄疸指数・al-P-aseと逆相関を示したものも認められた.
  • 上田 英雄, 井上 清, 山口 潜, 斎藤 昌三, 杉下 靖郎
    1965 年 54 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性経過を示したいわゆるmyeloproliferative syndromeの1剖検例を経験した.症例は42才男子.家族歴,既往歴(-).昭和37年11月ごろから全身倦怠,鼻出血,貧血を認め,昭和38年2月中旬より40°Cにおよぶ弛張性発熱,浮腫および運動時呼吸困難を加え,2月26日入院.入院時顔面浮腫状,貧血著明,表在リンパ節腫脹(-).静脈雑音,貧血性心雑音を聴取,肝1横指触知.脾腫(-),腹水(-).入院時末梢血液像:血色素量27%の正色性正球性貧血,赤血球大小不同(+),奇形赤血球(±), tear drop poikilocyte(-),赤芽球(-),網赤血球0.6%,栓球数6.8×103,白血球数1,800,白血球像で少数の骨髄芽球,好中性前骨髄球認めた.白血球a1-P-ase値上昇.骨髄穿刺は繰り返し胸骨,腸骨で行なうも穿刺液を得ること極めて困難.腸骨後上棘からの骨髄生検により骨髄の線維化,細胞密度の減少を認めた.プレドニソロン30mg/日投与により数日で下熱,輪血により貧血改善,小康を得たが,白血球像はほとんど不変. 3月中旬より末梢血中に赤芽球が出現,漸次増加し, 4月下旬には1,300/cmmに達した. 3週間の緩解ののち再び発熱,貧血,出面傾向著明となり,プレドニソロン50mg/日に増量するも効集不明.全身状態悪化し, 5月8日死亡.剖検所見:骨髄に広範な線維化,肝1960g,拡張した類静脈洞内に顆粒球,巨核球,赤芽球の浸潤,髄外造血(+).脾; 300g,細胞数少なく,線維化あり.
  • 甘利 正哉, 花里 重利, 城崎 輝美
    1965 年 54 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    先天的腎尿細管再吸収障害または後天的腎炎疾患により,腎性糖尿,蛋白尿,アミノ酸尿,骨軟化症,血清Ca, P低下などの症状を呈するFanconi症候群成人型は今日まで31例報告されているが,本邦においては僅かに1例報告されているに過ぎない。われわれは潜在していたと思われる腎尿細管機能異常が腎切験後の吸収乃至代謝障害が加わることにより急激に顕症化したと考えられるFanconi症候群成人型の1例を報告する.患者は47オの男で,蛋白尿と,糖尿を指摘されていたが,十二指腸潰瘍で胃切除を受けた.術後全身倦怠感,下肢の脱力感および関節痛による歩行障害が現われ,漸次増強し入院.腎性糖尿,蛋白尿,アミノ酸尿,血清P, Ca低下, Cl増加,尿中電解質排泄増加,動脈血CO2含量減少,アルカリフォスファターゼ(al-P-ase)上昇,骨粗鬆化が認められた.腎生検ではswan neckはみられなかつたが,先天的疾患の存在を推測させた.蛋白同化ホルモン,ビタミンD,睡液腺ホルモンを投に与したところ症状および各種代謝障害がある程度改善され,半治退院した.
  • 村上 元孝, 横山 鉄夫, 竹田 亮祐, 宮保 進, 日置 長夫, 竹越 襄
    1965 年 54 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1965/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    31才,男.やせ型.糖尿病の遺伝なし. 25才糖尿発見以来斷続的にインスリン治療を受けた.初め12単位でコントロールできたが,次第に必要量が増加した.インスリンアレルギーの既往なし.理学的所見正常.空腹時血糖174~328mg/d1,尿糖1日約400g.正規インスリン100単位静注で血糖降下ほとんどなし. NPHインスリン300単位で治療効果なく,ステロイドを追加した所,インスリンに反応するようになり,現在レンテ・インスリン80単位とn-butyl biguanide 150mgで尿糖1日5g位に抑えられている. agar gel electrophoresis等で著明なインスリン結合抗体が証明されたこと,患者血清がマウスでインスリンの血糖降下作用を抑制したこと,感染,酸性症,他の内分泌疾患がなくて300単位・インスリンでコントロールできず,ステロイドによりインスリン抗体価の減少とともにインスリンに反応するようになつたこと等から,慢性インスリン抵抗性の糖尿病と考えられる.
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