日本内科学会雑誌
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54 巻 , 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 柊山 幸兵
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1129-1137
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腺熱の病原学的研究の一環として,とくに蛍光抗体法間接法を用いて, rickettsia sennetsuの免疫学的性状の究明と,併せて腺熱の特異血清診断法への応用を企図した.すなわち各地で発病した腺熱患者から分離した宮山株(福岡),吉本株(広島),小嶋株(八代)ならびに浜砂株(宮崎)および対照としてr. orientalis大関株とKarp株とを組織培養L細胞に培養して抗原とし,またこれらの各株による感染ハムスターから抗血清を作成し,腺熱患者血清としては,宮崎市,北九州市および広島市で発病し,病原分離に成功した患者のうち,経過を追つて採血しえたものを用いた. r. sennetsu接種ハムスターの蛍光抗体価は,接種2週後に上昇しはじめ, 4週後に最高値に達したのち,少なくとも10週までその価を持続し,感染の経過と一致した.各地の腺熱患者から分離されたr. sennetsuの各株は交叉試験の結果,いずれも同一の免疫学的性状を示し, r. sennetsuとr. orientalisとの間には類属反応は認められなかつた.さらに,腺熱患者の回復期血清には蛍光抗体価の上昇を認め,用いた抗原が比較的長期の保存に耐えうることとも併せて,本法は腺熱の特異血清診断法として用いうる最も優れた方法と考えられる.
  • 川口 正光, 佐野 良英, 高木 新
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1138-1146
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/08/14
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素投与ラットおよび各種肝疾患々者の肝細胞内GOT, GPTを分画測定し,さらに同血清GOTの殿粉電気泳動分析を試みた.四塩化炭素投与ラットでは肝組織にほとんど光学顕微鏡的変化を認めない早期よりGOT, GPT活性の血中上昇があり,極期には肝上清およびmitochondrial GOT, GPT活性の著減, mitochondrial GOTの血中出現をみた.急性肝炎血清同酵素活性上昇極期にも肝上清およびmitochondria同活性の著減,血清GOTレベル200単位以上の症例では全例mitochondrial GOTの血中出現が確認された.肝硬変では血清GOT, GPT活性の有意な上昇を認めない例でも肝mitochondrial GOT, GPT活性は著減,一方肝上清同活性は正常レベルにあつた.なお,本症例群では血清GOT活性の高低に拘らずほとんどmitochondrial GOTの血中出現を認めなかつた.以上の結果は,肝障害時のGOT, GPT血中遊出機序は各病態によつて異なることを示唆し,肝細胞壊死の他に,細胞代謝障害などにもとずく膜透過性の変化も関与することを推定した.
  • 村上 春雄
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1147-1155
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    新鮮心筋硬塞,急性肝炎ではおのおの特徴的なLDH isozyme (LDHi)のpatternが知られているが,その他の疾患では未知の分野も少なくない.著者はLDHiの診断的意義を解明する目的で諸内科疾患144例について血清LDH, HBD活性, LDHiを観察した.新鮮心筋硬塞6例ではLDH, HBD, LDHiは在来の知見と一致したが, LDHiでI分画がII分画より大きいpatternは,このほか陳旧性心筋硬塞,高血圧動脈硬化症,狭心症,うつ血性心不全,慢性肝疾患,悪性腫瘍などの症例でも証明された.急性肝炎7例ではLDH, HBD, LDHiは在来の知見と一致,類似のpatternは悪性腫瘍など3例にみられたにすぎない. LDHiのIII分画ないしIIIおよびIV分画が正常より高値を示した症例は悪性腫瘍,肺感染症,腎炎,白血病などに証明された.従つて,新鮮心筋硬塞のLDHi patternは急性肝炎に比し特異性に乏しい如く考察される,その他のpatternについては疾病の特異性には乏しく,病態生理学的意義を除くと結論はえられなかつた.
  • 吉川 政己, 寺尾 寿夫, 茂在 敏司
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1156-1161
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーによる血中アミノ酸の微量分析法を確立すべく,その基礎的検討を行なつた. N-トリフロロアセチルメチルエステル誘導体について行なつたが,この誘導体はアミノ酸のみの混合物の分析には適しているが,それ以外のものが混在する場合には厳密にアミノ酸のみを分離しておく必要があるので,血中アミノ酸の測定には適当でない. DNP誘導体のメチルエステルをSE30およびQF-1の充填薬を用い分析条件を検討したところ, alanine, glycine, valine, leucine, proline, aspartic acid, glutamic acid, methionineおよびphenylalanineの9種のアミノ酸についてはシャープな良く分離したピークが得られた.この誘導体は血中から遊離アミノ酸を分離するのにも適当である.ガスクロマトグラフィーによれば少量の試料(血液約1cc)で短時間に分析できるので,微量定量法として充分用いうることが明らかになつた.
  • 中尾 喜久, 寺尾 寿夫, 茂在 敏司, 吉川 政己
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1162-1164
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    前報で報告したガスクロマトグラフィーによるアミノ酸の微量分析法を負荷実験に応用した. l-phenylalanineを静注または経口的に投与し,種々の時間の後に採血を行なつた.血漿中遊離アミノ酸はDNP誘導体としてガスクロマトグラフィーで分析し,その経時変化を観察した.カラムはQF-1を用い,内部標準としてcholestaneを加えた.静注の場合には注射直後に急激に増加した血中phenylalanine濃度は直ちに減少をはじめ, 10~20分後には比較的なだらかな減少カーブになる.経口投与では1~2時間でピークに達し, 3時間で減少しはじめ, 4時間で投与前よりやゝ高い値まで減ずる.本報告にみられるごとく,ガスクロマトグラフィーによるアミノ酸の定量の利点は少量の血液で迅速に測定できることであり,アミノ酸代謝の研究に大いに役立つ方法と考えられる.一方,欠点は定量できるアミノ酸の種類が限定されていることであり,これについてはさらに研究が必要である.
  • 中川 英雄
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1165-1174
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    今日ビリルビンの定量法には,臨床上Van den Berghの分画定量法が重視され.ジアゾ化法が広く実施されている.著者はアルカリ性の条件でビリルビンに銅イオンを作用させるとき, 860mμに固有の分光学的特性を示すビリルビン銅塩の生ずること,さらにこの銅塩に蛋白を結合させ“ビリルビン銅蛋白複合体”とすると,同じ分光性を示し極めて安定化することを見出し,この特性を利用するビリルビンの新定量法を考案した.本法の基本反応となるビリルビン銅塩生成はビリルビンにのみ固有のものとみられるので,血清ビリルビンの定量のみならず,従来正確で簡易な定量法のない尿中ビリルビンの定量にも応用出来,その測定精度も極めて高く,黄疸尿のビリルビンを約1.0%の偏差で定量しえた.なお本法は間接型ビリルビンとしての総ビリルビン定量法と考えられ,直接間接両型を分画する定量は望みえないが,従来法に比し簡易かつ精度の高い定量法とみなされる.
  • 中川 英雄
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1175-1187
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    黄疸時の尿中ビリルビンの臨床的所見は血清ビリルビン値とともにその意義は大きい.しかし尿中のビリルビンを正確に定量することはかなり困難なことで,臨床的には定性的または半定量的な方法でこの量が検討されて来たに過ぎない.著者は尿中のビリルビンを簡易,迅速かつ正確に定量しうる新定量法を考案し,この方法で黄疸患者の早朝空腹時における尿中ビリルビンの定量を試み,また諸種黄疸例の各経過中における尿中ビリルビン量を連日定量的に観察し,黄疸と尿中ビリルビン量との臨床的相関を検討した.その成績から, 1)血清ビリルビン値と尿中ビリルビン量とには正の相関性が認められ, 2)閉塞性黄疸時の尿中ビリルビン量は肝細胞性黄疸時のその量に比しはるかに多く, 3)早朝空腹時1時間の尿中に排泄されるビリルビン量を連日定量的に観察すると,黄疸の性質と経過が詳細に追求でき, 4)黄疸時のビリルビン腎クリアランスは閉塞性,肝細胞性,溶血性の各黄疸間に有意の差がみられ, 5)溶血性黄疸例の尿中ビリルビン量は常に健常者の量と同じであること等の臨床的意義を認めた.
  • 宮原 光夫, 森山 浩, 向 醇, 星川 弘紀, 森 〓三, 杉田 順一
    1966 年 54 巻 10 号 p. 1188-1193
    発行日: 1966/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    われわれは, 15才の男で右上肢の末梢に強い筋萎縮,筋力低下および軽度の知覚鈍麻を主徴候とし,成書にみられる運動ノイロン疾患のいずれにも該当しない症例を経験した.病変部位がやゝ広範,かつ強く,知覚障害が存在するという点を除けば,東大冲中内科より分離記載された若年性片側上肢筋萎縮症に類似する.しかしながら,健全と思われる他肢の筋電図検査および筋生検により潜在性の筋萎縮が全肢に存在している事を知つた.ひるがえつて,若年性片側上肢筋萎縮症の中にも対側の相当筋で筋電図上異常を認める例も存在すると報告されている.したがつて若年性片側上肢筋萎縮症なるentityに若干の問題があると思われ,著者らの見解を述べた.
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